浮世絵のきもの[1]「ボストン美術館 浮世絵名品展」

f0134963_11124612.jpg


先週「ボストン美術館 浮世絵名品展」を観に行って感じたことなど。

ボストン美術館は浮世絵収蔵において世界最大の数量と質を誇っているそうで、今まで見たことがないような初期の浮世絵作品から北斎、広重、写楽、歌麿などのビッグネームまで、全部で159作品を鑑賞して、あらためて、今まであまり浮世絵を観ていなかったことに気づきました。

これまで浮世絵の美人画といえば「遊女のブロマイド」という側面を強く感じていて、裾が長く、何枚もの重ね着しているのも、遊女ならではの衣装と思っていたのだけど、冒頭の絵、鳥居清長の「日本橋の往来」(1786年頃)は、当時の正月の正装を描いたものなのだけど、全員今のきものとは違い、かなり身幅のゆったりした着物を幅広の帯で締め、裾は地面に広がるほど長い。

左の黒頭巾の女は、解説によると「女房」とだけあるので、階級はわからないんですが、帯を前で結んでいます。こんな風に帯を前で結ぶのは遊女が衣装を華やかにするためとばかり思っていたのだけど、、そういえば郭では客とは夫婦ということになっていて、遊女は「女房」なので、別の遊女と遊ぶと「浮気」になるとか。。帯を前で結ぶのは「女房」の記しだったんですか?(そんなことも知らなかったのかと突っ込まれてます??)

右は武家か裕福な商家の娘と二人の侍女と小僧の一行。角隠しは嫁入りのときだけでなかったんですね〜裾だけでなく、袖まで地面につきそうです。みなさん、お着替後、どんな手入れをしてたのやら。

こういう裾の長い着物は別に正月に限らず、日常を描いた絵も同じで、襦袢は裾から見えて当然、歩くときは前がはだけて八掛けがチラチラじゃなくて、何枚か重ね着した襦袢(襦袢ていうのかな?)を常に見せているのが普通のようです。

この展覧会で展示されているのは1705〜1859年頃の絵なので、江戸時代後期まで網羅しているのですが、幕末の頃も特にこういった衣装の変化は見られない。

それで、ふと思ったのですけど、このような着物では「正座」ってできませんよね。
少なくとも現在のような着物を膝の下に敷くような正座はできませんね。平安時代は立て膝だったということは知っていましたが、この衣装を見る限り、椅子の生活に慣れた現在の生活以上に「正座」をしていたとは思えません。

(ウィキペディアより省略引用)

正座とは、元々、神道での神、仏教で仏を拝む場合や、征夷大将軍にひれ伏す場合にのみとられた姿勢であった。日常の座法は武士、女性、茶人などでも胡座(あぐら)、立膝、で座る事が普通であった。
江戸時代初期、正座の広まった要因としては、江戸幕府が小笠原流礼法を採用した際に参勤交代の制定より、全国から集められた大名達が全員将軍に向かって正座をする事が決められ、それが各大名の領土へと広まった事が一つ。また、別の要因として、この時代、庶民に畳が普及し始めた頃であったことも要因であるという。

(引用終了)

ということで、江戸初期から正座が広まったと、ウィキペデイアにはあるのだけど、確かに、江戸時代の寺子屋の就学率は70~86%と言われていて、一校あたりの生徒数は10人から100人ぐらいらしいので、そういった学校では子供が学習時に正座をしていたことが想像できるのですが、大人の女性が絹物の衣装で「正座」をするのは、かなり日常から離れた行為だったのではないでしょうか。
書道に励む上流階級の娘や(1793〜96)、「画」をたしなむ上品な女性の浮世絵(1794〜98)などを見ても、いずれも膝と膝の間に腕があって、正座ではないことがわかります。

現在、きものといえば茶道。茶道といえば「正座」ですよね。私は「正座」が大嫌いなんですけど、体勢がキツいだけでなく、正座のまま「にじり寄る」とか、なんか屈辱的で、絹物にどうしてそんなことをと、いつも思っていました。実際、韓国では昔の日本と同様に立て膝で、「正座」は囚人の姿勢と言われています。正座は身分制度をなくした明治維新後の日本人を全員一から「礼儀指導」するための「教育」だったかもしれませんね。「道」には大体そのような側面がありますからね。

やっぱり「江戸」はいいなぁ〜。

☆浮世絵のきもの[2]「ボストン美術館 浮世絵名品展」(Ⅰ)辰巳芸者とは?に続く

____________

◎ボストン美術館 浮世絵名品展 特設サイト
http://www.ukiyoeten.jp/

◎ほぼ日刊?着物新聞
http://plaza.rakuten.co.jp/mmarri/diary/200810200000/

あるYoginiの日常
http://memeyogini.blog51.fc2.com/blog-entry-415.html

[PR]
トラックバックURL : http://nikkidoku.exblog.jp/tb/9472836
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by 梅まり at 2008-10-24 21:41 x
リンクとコメントありがとうございました!すご~く濃くて深くて面白いブログですね!
遊女はファッションリーダーだったなんて言いますけど、一般庶民はどんな感じだったんでしょうね?帯が後ろ結びに定着したのは結構最近(?)とも聞きましたが。。。
また遊びに来ます!!
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by yomodalite | 2008-10-24 11:29 | きもの | Trackback | Comments(1)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite