木暮実千代ー知られざるその素顔/黒川鍾信

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今日からカテゴリに「美男・美女」を追加しました。

ここ数年、最新作の映画はほとんど観ないで「日本」と「きもの」への興味で昔の邦画や雑誌を見ていて、作品とか、演技も二の次、とにかく好きな「顔」をいっぱい集めたいという気持ちが強くなってきました。



思いつく名前を挙げてみると、、男性なら、ピストル系では宍戸錠、田宮次郎、成田三樹夫、天地茂。刀系では鶴田浩二、三船敏郎....文芸系では岡田英次、オヤジ系では山形勳、早川雪州、大友柳太郎、お父さん系では十朱久雄....

女性は、淡島千景、鰐淵晴子、淡路恵子、木暮実千代、修羅雪姫の梶芽衣子、佐藤友美、真理アンヌ、真行寺君枝、中島ゆたか、鈴木清順<浪漫三部作>の大楠道代....

現在では、見ることが出来ないタイプの素敵な男女をコレクションしてみたいと思っています。

で、第一弾(大げさな!)は、木暮実千代。

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ほんの子ども時代に初めて見た彼女は、典型的なイジワルな中年女性を演じていて、子どもには怖いような印象だったのですが、

そのとき母が「この人昔はキレイだったのよ」という一言が妙に記憶に残っていて、その後、彼女の若い時の写真を見て、とても驚いたという想い出があります。

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大げさに言えば、女が年をとるということを最初に意識させてくれたのが彼女だったかもしれません。でも印象に残ったのはそれだけではなくて、やっぱり彼女のあの顎にあるホクロが醸し出す、上流婦人でありながら、自由な雰囲気、妖艶であって、庶民性のない独特のセレブ感が永く心に残っていたので、本著の存在は感激ものでした。

今現在発売されている木暮実千代のDVDは、『雪夫人絵図』、『お茶漬けの味』、『祇園囃子』など、キモノ姿のものが多いのだけど、私のイメージの中の木暮実千代は、洋装の上流婦人なので、この本のカバー写真は記憶を甦らせてくれるのに役立ちました。このツンと上を向いての流し目、これこそが木暮実千代!ですね。


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当時日本で数人しかいなかった大学生だったこともあり、「インテリなのに、くねくねっとコケティッシュ」で、ファンもインテリ層が多かった木暮実千代が、実は中学まで男子顔負けのガキ大将で、何かの拍子で女の子と知った初対面の人がたまげるほどで、成績は下の下。

地元の名門中学に入るのにも苦心惨憺、今で言う「スポーツ入学」でようやく入学が叶った話や、彼女に瓜二つの性格と言われた父親「輔」の奔放なバカ息子っぷりなど、意外な話が多くて読ませます。

著者は、執筆の動機のひとつに、文芸春秋の「昭和の美女ベスト50」に木暮が選ばれなかったことを挙げています。

ちなみにそのメンバーは、吉永小百合、原節子、山本富士子、夏目雅子、高峰三枝子、高峰秀子、若尾文子、岸恵子、森光子、田中絹代、山口淑子、曾野綾子、伊藤絹子、向田邦子、櫻井よしこ、阿川佐和子、白州正子、沢口靖子。

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女優だけでなく、作家なども加えた人選で、20位の山口淑子で52票という出版社の内部投票がバレバレの票の少なさ。現在進行形で気を使いたい阿川、櫻井、白州というメンバーを考えれば致し方ないのでしょうか。

木暮実千代の甥にあたる著者の黒川鐘信氏は、「一千万人にひとり出るか出ないかの、ハリウッドでも充分に通用する大スターだった」と締めくくっていますが、私はハリウッドなどどうでもいいですけど、木暮実千代さんの魅力は永遠で、もっと相応しい表現があるといいのですが、、最も早く「自立した」美女だったと思っています。

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【文中の意外なエピソード】

◎喜びを表現するときには、食べきれない程の焼き芋を脳裏に描く。涙を流すときは、おなかを空かせて家に帰ったらお兄ちゃんが焼き芋を全部食べちゃった。悔しい表情は、最後の一本をお兄ちゃんが取ってしまった。常に焼き芋が演技の不可欠な小道具だった。

◎『酔いどれ天使』で黒澤監督は、木暮ならヤクザの情婦役を地でこなせると思っていたことを後に「ぼくがメガネ違いをしたのは初めてですよ」と語っているが演技は好演だった。

◎「少年の家」という養護施設の後援会長や、女優として初めて「保護司」にもなった。仮釈放中の懲役囚を何人も自宅に住まわせ、昭和55年には自らすすんで「日本中国留学生研修生援護協会」の常任理事も引き受け、留学生も自宅に住まわせ下着の洗濯までした。

木暮の通夜の日は保護司として面倒をみた人の「先生!」と泣き叫ぶ人が跡を絶たず、出棺まで泣き続けた人や「ぼくのお母さん!」と叫び泣く中国人留学生たちも大勢いた。

この時の葬儀で使われた写真が本著の表紙で、木暮が生前選んだものだった。

《参考サイト》
◎「asahi.com」
◎「藤沢摩彌子あれこれ」
◎「トラウマの天地茂ブログ」
◎「渓流斎日乗」黒川鍾信著「木暮実千代 知られざるその素顔」はお勧め五重丸
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【内容説明】昭和13年、共学の大学で学ぶ女子大生は、スカウトされて松竹を代表するスターになるが…。日本映画の黄金時代を支えた往年の大スター・木暮実千代。初めて明かされるその生涯。ドラマのような72年の歩みをえぐる評伝。日本放送出版協会 (2007/05)


《木暮実千代さん出演作品》

【有名映画監督作品】 
『青い山脈』(監督:今井正)田舎芸者梅太郎
『酔いどれ天使』(監督:黒澤明)のヤクザの情婦
『雪夫人絵図』(監督:溝口健二)夫の放蕩に苦しむ旧華族の妻「昼は天使・夜は妖女」の典型的な役柄
『男はつらいよ・翔んでる寅次郎』マドンナ役の母親で、木暮の地がよく出ている。
『宮本武蔵』(監督:内田吐夢)一部冒頭の演技は甥である著者も激しい性の衝動を覚えたほどのエロチシズム。

【TV作品】
『パパだまってて』(TVドラマ脚本:久世光彦)尾上松緑と夫婦役で大人気だった。
『大奥』『大阪城の女』『徳川おんな絵巻』(昭和44〜連続TVドラマ)意地悪なお局役として、街で後指を指されるほどの悪役演技だった。





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Commented by インエフ at 2009-11-19 13:46 x
若尾文子、も是非☆
『心の日月』(当時、20才くらい!)
にクラっときた私でした。

今月『日本映画専門~』で、
今日含めて、あと3回やりますので、
「その環境」おありでしたらごらんになって下さい。
(未DVD化ですので、この放映は貴重です)
Commented by yomodalite at 2009-11-19 15:21
若尾文子さんは、とにかく作品に恵まれていて、高齢になってからもキレイなので、取り上げる作品に迷いますね。それと、今イチ知られていないけど、記憶に残したい美人に特に注目していて。。多分、若尾さんは、人気・実力・作品ともに日本一の女優さんだと思うんです。。インエフさんのベストは『心の日月』ですか?こちらは未見なのですが、二十歳頃の作品だとすれば、めちゃめちゃカワイイ頃の作品でしょうね。『日本映画専門~』で観てみます。オススメありがとうございます。
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by yomodalite | 2008-10-03 17:56 | 美男・美女 | Trackback | Comments(2)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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