着物の悦び/林真理子(新潮文庫)

着物の悦び―きもの七転び八起き (新潮文庫)

林 真理子/新潮社



今から16年前に出版された林真理子氏の初心者向けガイドにもなっている着物奮闘記。私もまだまだ初心者なので、着物関連で知りたいことは山のようにあるのだけど、正直この本ではそれはあまり叶えられないし、現在の多くのきもの初心者にとってもそうではないかと思う。

16年後に読む本著は、ガイド本としての魅力ではなく、林真理子氏の戦いの記録というか、女流作家の心意気というか、なでしこジャパンや、女子ソフト金メダルと同じような、不細工な女の純情一途な清々しさを味わせてもらいました。林氏は何度も経済力があってこその着物道楽と認めていますが、それにしても氏が着物に目覚めたのはもっとも着物が高いうえに、良いものの数が少ない時期だったと思う(コンテナに詰まっている着物の数々は多分「林真理子コレクション」として、後年まで残るものではないでしょう)。

いくら有名作家でも、著作だけでここまでの経済力は無理ではないかなど、林氏ぐらいの有名作家になると著書収入以外の収入がかなりあるんだな〜など、めずらしく他人の懐が気になってしまうのも、着物だからでしょうか。

とはいえ、作家はやはり筆一本で稼いできたに違いなく、そのお金を加賀友禅や、越後上布に換えたのだ。なんて綺麗なお金の使い方だろう。綺麗なのは支払いだけではない。グレース大賞を受賞したときの「京都織物商業組合」での講演も、『着物をめぐる物語』の連載開始の経緯が書かれている文庫版あとがきも、ああ、本当に綺麗なお金の使い方をされたんだなぁと、じんわり目頭が熱くなりました。

今まで林氏のエッセイが嫌いで小説もほとんど読んだことがなかったのだけど、作家「林真理子」にとって、考え抜かれた戦闘フォームだったんだなぁ〜ということが少しわかり、小泉純一郎や奥谷禮子らとのつきあいも、こういう本が書かれるためにあったのだと一応納得w


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by yomodalite | 2008-09-25 12:49 | きもの | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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