宮崎アニメは、なぜ当たるースピルバーグを超えた理由 (朝日新書)/斉藤守彦

宮崎アニメは、なぜ当たる スピルバーグを超えた理由 (朝日新書)

斉藤 守彦/朝日新聞出版




著者の斉藤守彦氏は、1961年生まれで、映画業界紙『東京通信』記者を経て、現在はフリーの映画アナリスト。1988年以降の宮崎アニメが出た年ごとにスピルバーグ映画と興行成績を中心に比較している。

宮崎駿の作品解説や読み解きはなく、鈴木敏夫を中心としたジブリの興業戦略に光をあて、宮崎アニメが流行ることにより、映画界がどのように変わっていったか、という点が面白い。ヒット映画の代名詞だったスピルバーグ映画と比較することにより、宮崎アニメが、一部のマニアから、日本の映画業界の中心になっていく過程がわかる。

「宮崎アニメ」がなぜ受けたか?への解答は直接的ではないが、いくつかのヒントは提示されている。そのひとつは、宮崎アニメが、最初から洋画を上映する劇場での公開をねらっていた。というもの。今ではシネコンがあたりまえになっているが、数年前までは、デートが出来そうなキレイな映画館は、ほぼ洋画をやっていた。宮崎アニメの洋画劇場への進出が、ひいては、シネコンという劇場改革につながり、邦画の興行成績が洋画を上回るという原因のひとつとなったという点は今まで気がつかなかった。

下記は『千と千尋の神隠し』に対して感想をのべているスピルバーグのインタヴュー。まったく別の道を歩んだ日本とアメリカの映画界だが、スピルバーグの子供の反応が世界共通であることが興味深い。(『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』公開時)

■「映画ドットコム」ディカプリオ、スピルバーグインタヴュー
http://eiga.com/movie/1031/special/2

――お三方に今年度のベストムービーを選んでいただきたいのですが。
スピルバーグ:「わたしは発言を控えさせてもらうよ。いまは賞レースの真っ最中で、うかつにコメントすると、あとでいろいろまずいことになってしまう。立場的にいろいろあってね(笑)」
――なるほど(笑)
ディカプリオ:「ぼくは平気だから言わせてもらうけど、自分が参加させてもらった2本の映画(『ギャング・オブ・ニューヨーク』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』)を無視すれば、『千と千尋の神隠し』がベストだと思う。ぼくがいままで見たどの世界とも違ったオリジナルな世界観で、2時間の上映中、ファンタジーのなかに完璧に浸ることができた。あの映画には日本的な要素が多分にあるんだろうけど、同時にそれだけじゃないものも見て取れて、別の惑星かなんかで作られた映画を観ているような気分だったよ」
――監督は「千と千尋の神隠し」をご覧になりましたか?
スピルバーグ:「もちろん大好きな作品だよ。実はレオからずっと勧められていて、2週間ほどまえに、家族と一緒に観たんだ。幼い連中は怖がったけれど、終わったとたんにもう1回観たいって言い出して。わたしが特に気に入ったキャラクターは、空腹のゴーストだ。お面をかぶった」
――あ、カオナシですね。
スピルバーグ:「そうそう。本当に素晴らしい作品で、映画の中盤になるころには、アニメーションを観ていることを忘れ、卓越したおとぎ話に入り込んでいた。素晴らしく、天才的な作品だと思う」

書評:『宮崎アニメはなぜ当たる』ジブリ映画興行の秘密を探る本
http://animeanime.jp/goods/archives/2008/09/post_27.html
______________

【BOOKデータベースより】現在の日本映画の興行収入の一位から三位まですべてを占める宮崎アニメ。映画を宣伝する三つの方法、アドバタイジング・パブリッシング・プロモーションに注目し、宮崎アニメが牽引してきた、この二十年間の日本映画界をひもとく。朝日新聞出版 (2008/7/11)

【目 次】
1988ゴールデン・ウィーク―「となりのトトロ」「火垂るの墓」/「太陽の帝国」;
1989夏―「魔女の宅急便」/「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」;
1992夏―「紅の豚」/「フック」;
1997夏―「もののけ姫」/「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」;
2001夏―「千と千尋の神隠し」/「A.I.」;
2005正月―「ハウルの動く城」/「ターミナル」;
2008夏―「崖の上のポニョ」/「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」



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by yomodalite | 2008-09-11 17:49 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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