バイバイ、エンジェル (創元推理文庫)/笠井潔

バイバイ、エンジェル (創元推理文庫)

笠井 潔/東京創元社




『国家民営化論』『本格ミステリの現在』や島田荘司氏との共著『日本型悪平等起源論』など理論家としての笠井潔氏の著作は読んだことがあったのだけど、ミステリ本は順番も無視して『哲学者の密室』『天啓の器』をジャケ買いしたものの長らく放置状態のまま、今に至るまで未読でしたが、とうとう決意を固め、矢吹駆シリーズ第一作をようやく読んでみました。

本格ミステリに目覚めたのは遅くて今から10年程前だったので、なんとなく『バイバイ、エンジェル』とか『サマー・アポカリプス』などのカタカナタイトルが「ニューミュージック(笑)」のようで、しかも革命とか現象学も「マジ」な感じだったのが、むしろ娯楽本の方に手が出なかった理由。で、結論から言えば大変楽しめました。特に、

「(略)事件の進行過程では具体的な質問に一切答えないつもりだ。だから犯人が誰かというようなことを尋ねても無駄だよ。僕の関心はひとつの犯罪が現象としてどのように生成していくのかを、始めから終わりまではっきりと見届けることにのみある。そのためには知りえた事実を全部語るわけにはいかないのだ。もしもそんなことをすれば、現象の固有のあり方が外部から恣意的に歪められてしまう危険性が生じる。そうなっては、犯罪の現象学的考察は不可能になるからね」


という箇所。名探偵が連続殺人事件に当初から関わっていながら、その後の殺人を食い止めることができず、最大限の被害者を出した後、事件の真相を語りだすという、パターンへの解答に現象学とは。。。(* ̄ ̄ー ̄ ̄)。

それと『バイバイ、エンジェル』のエンジェルの意味も(* ̄ ̄ ̄ー ̄ ̄ ̄)ニヤリ。。ですね。

三つ星レストランに行って、評価に相応しい極上の味が想像以上であったような感じ。
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【出版社/著者からの内容紹介】アパルトマンの一室で、外出用の服を身に着け、血の池の中央にうつぶせに横たわっていた女の死体には、あるべき場所に首がなかった! ラルース家を巡り連続して起こる殺人事件。警視モガールの娘ナディアは、現象学を駆使する奇妙な日本人矢吹駆とともに事件の謎を追う。日本の推理文壇に新しい一頁を書き加えた笠井潔のデビュー長編。東京創元社 (1995/05)


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by yomodalite | 2008-08-30 23:17 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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