戦争における「人殺し」の心理学/デーヴ・グロスマン

戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)

デーヴ グロスマン/筑摩書房




序盤では、通常の人間が、いかに「人を殺すことに抵抗があるか」が、様々な戦争での実例により説明されている。

第二次世界大戦では米軍歩兵の平均的な発砲率が、わずか15〜20%にすぎなかった。ほとんどの兵士は発砲の際も命中することを求めず、とにかく敵を撃ちたがらない。

兵士の多くは弾を込めるフリをし続けることで、ひたすら発砲の責任から逃れていたらしい。ところが、ベトナム戦争では発砲率は90%へと一挙に駆け上がる。殺人への抵抗感を克服した「脱感作」、「条件づけ」とはどのようなものか、終章では、アメリカの10代の殺人率の異常な増加との関連を探る内容。名著。


◎「ゲーマーのための読書案内」

◎「#もの書きWik」

【目 次】
第一部/殺人と抵抗感の存在ー【セックスを学ぶ童貞の世界】
・闘争または逃避、威嚇または降伏
・歴史に見る非発砲者
・なぜ兵士は敵を殺せないのか
・抵抗の本質と根源

第二部/殺人と戦闘の心的外傷ー【精神的戦闘犠牲者に見る殺人の影響】
・精神的戦闘犠牲者の本質ー戦争の心理的代価
・恐怖の支配
・疲○の重圧
・罪悪感と嫌悪感の泥沼
・憎悪の嵐
・忍耐力の井戸
・殺人の重圧
・盲人と象

第三部/殺人と物理的距離ー【遠くからは友だちに見えない】
・距離ー質的に異なる死
・最大距離および長距離からの殺人ー後悔も自責も感じずにすむ
・中距離・手榴弾距離の殺人ー「自分がやったかどうかわからない」
・近距離での殺人ー「こいつを殺すのはおれなんだ。おれがこの手で殺すんだ」
・刺殺距離での殺人ー「ごく私的な残忍性」
・格闘距離での殺人
・性的距離での殺人ー「原初の攻撃性、解放、オルガスムの放出」

第四部/殺人の解剖学ー【全要因の考察】
・権威者の要求ーミルグラムと軍隊
・集団免責ー「ひとりでは殺せないが、集団なら殺せる」
・心理的距離ー「おれにとってやつらは畜生以下だった」
・犠牲者の条件ー適切性と利益
・殺人者の攻撃的要因ー復讐、条件づけ、2パーセントの殺人嗜好者
・すべての要因を盛り込むー死の方程式

第五部/殺人と残虐行為ー【ここに栄光はない。徳もない】
・残虐行為のスペクトル
・残虐行為の闇の力
・残虐行為の罠
・残虐行為のケーススタディ
・最大の罠ー汝の行いとともに生きよ

第六部/殺人の反応段階ー【殺人をどう感じるか】
・殺人の反応段階
・モデルの応用ー殺人後の自殺、落選、狂気の確信

第七部/ベトナムでの殺人ー【アメリカは兵士たちになにをしたのか】
・ベトナムでの脱感作と条件づけー殺人への抵抗感の克服
・アメリカは兵士になにをしたのかー殺人の合理化ーなぜベトナムでうまく働かなかったのか
・心理的外傷後ストレス障害とベトナムにおける殺人の代償
・忍耐力の限界とベトナムの教訓

第八部/アメリカでの殺人ー【アメリカは子供たちになにをしているのか】
・暴力のウイルス
・映画に見る脱感作とパブロフの犬
・B・F・スキナーのラットとゲームセンターでのオペラント条件づけ
・メディアにおける社会的学習と役割モデル
・アメリカの再感作
______________

【BOOKデータベース】
本来、人間には、同類を殺すことには強烈な抵抗感がある。それを、兵士として、人間を殺す場としての戦場に送りだすとはどういうことなのか。どのように、殺人に慣れされていくことができるのか。そのためにはいかなる心身の訓練が必要になるのか。心理学者にして歴史学者、そして軍人でもあった著者が、戦場というリアルな現場の視線から人間の暗部をえぐり、兵士の立場から答える。米国ウエスト・ポイント陸軍士官学校や同空軍軍士官学校の教科書として使用されている戦慄の研究書。 筑摩書房 (2004/05)

【著者略歴】米国陸軍に23年間奉職。陸軍中佐。レンジャー部隊・落下傘部隊資格取得。ウエスト・ポイント陸軍士官学校心理学・軍事社会学教授、アーカンソー州立大学軍事学教授を歴任。98年に退役後、Killology Research Groupを主宰、研究執辞活動に入る。『戦争における「人殺し」の心理学』で、ピューリツァー賞候補にノミネート。

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by yomodalite | 2008-08-28 13:57 | 戦争・軍隊 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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