奇縁まんだら/瀬戸内寂聴 (著)、 横尾忠則 (イラスト)

奇縁まんだら

瀬戸内 寂聴/日本経済新聞出版社




各冒頭の略歴に添えられているのが墓の写真というのもユニークなんですが、それに続き、横尾氏によるイラストが3点づつ掲載されています。生前の顔が定かでない人もいましたが、横尾氏のイラストは鮮やかにその印象を語っていて、瀬戸内氏の文章をより豊かにしてくれている。

登場する男性作家は、瀬戸内氏によれば、ほぼ全員美男子で自殺した作家をのぞき比較的長寿であるのも少し意外でした。豪華な挿絵本にもかかわらず定価2000円は魅力。


○島崎藤村(71) 
女大生だった著者が初めて見た作家。美男子ぶりに惚れ惚れする。

○正宗白鳥(83) 
円地文子が生涯の恩人だと語った。

○川端康成(72)
「かの子のことで、色々お世話になっていてありがとうございます」

○三島由紀夫(45) 
27歳の時に出したファンレターに返事が来た。ノーベル賞が二人の作家を自殺させた。。

○谷崎潤一郎(79)
ヤクザが谷崎家に来たとき日本刀をひっさげて玄関で睨みを効かせたのは今東光だった。松子夫人の妖艶な美しさ

○佐藤春夫(72)
谷崎の妻千代の譲渡事件の驚くべき真相。千代は谷崎の弟子和田六郎と同時不倫していた。

○舟橋聖一(71)
文士劇での女形ぶり。晩年は口述筆記により作品を書いた。

○丹羽文雄(100)
自費で後進のために同人誌を出した。美男子で艶聞に事欠ず、晩年は認知症になった経験を描いた夫人の本もベストセラーになった。

○稲垣足穂(76)
日本文学大賞受賞後、長年愛用した机を寂聴に譲った。

○宇野千代(98)
女流文学者会の中でもひと際オーラを放っていた。

○今東光(79)
清張、東光、寂聴の三人組での旅行の思い出。寂聴の出家の面倒を見た。生涯で政治にかかわった事のみ悔いていた。

○松本清張(82)
絶世の美女だった赤坂の芸者A子は清張をこよなく愛し、C子は清張夫人の座に執着し困らせたが、清張は、C子のおかげで悪女がかけるようになった恩人と語った。

○河盛好蔵(97)
若い時から貧乏知らず、美人の妻を娶り、物わかりのいいインテリの伯父さんは、老いても尚元気で長寿を全うした。

○里見弴(94)
有名芸者「照葉」は38歳で智照尼になったが、98歳で亡くなるまで里見弴に恋心を抱いていた。

○荒畑寒村(93)
死ぬまで色気を失わなかった革命家の葬儀の棺は真っ赤な赤旗で包まれていた。

○岡本太郎(84)
『かの子撩乱』を愛読、「ぼくの知らないかの子をずいぶん教わった」。しかし、寂聴にぼくの仕事を手伝えと言い、断ると「つまらん小説を書いているよりずっと生き甲斐があるのに、と言う。敏子には、私が死んだら寂庵に太郎を引き取って欲しいと言われていた。

○檀一雄(63)
壇ふみは、NHKラジオのレギュラーとして一緒になったことを父に話したところ「徳島に行ったら瀬戸内さんにモラエスのお墓に連れて行っていただくよう申しました」。

○平林たい子(66)
平林家の九官鳥は『幸福だわ。幸福だわ』と、『愛してます。愛してます』しか言わなかった。

○平野謙(70)
受賞後第一作『花芯』を酷評されるが、その五年後『夏の終わり』を金無垢の私小説と絶賛した。

○遠藤周作(73)
朗らかで、陽気でスマートだった遠藤氏が編集者に抱き抱えられて対談が始まった。長い廊下を遠ざかる氏を見送りながら、こらえられず私は泣いた。

○水上勉(85)
作家として才能の幅が広く、講演会では聴衆を泣かせ、文士劇では各地の色町のキレイ所がずらりと並び、人気女優との噂も華やかだった。仕事ぶりは、松本清張と並ぶ程だったが、障害のある女児の将来のため、稼がねばならないと決死的になっていた。

※( )内は没年齢

「今日はちょうどよい日和だから」
http://d.hatena.ne.jp/naoko_1999/20080725/1217119039
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【内容紹介】いまや日本を代表する女流作家が、藤村、川端、三島から岡本太郎まで、21人の物故巨匠作家との奇縁を綴った随想集。誰にも書けない日本文学史“ライブ”であり、“自立した女性”の魁となった著者の精神史でもある。日本経済新聞出版社 (2008/4/16)

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Tracked from 今日はちょうどよい日和だから at 2008-09-20 18:01
タイトル : [読書2008]瀬戸内寂聴『奇縁まんだら』
奇縁まんだら 作者: 瀬戸内寂聴, 横尾忠則 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2008/04/16 メディア: ハードカバー  日本経済新聞土曜日の朝刊に連載されていたものをまとめた、その前篇とか。瀬戸内寂聴さんが作家となってから今までの生涯で、出逢い縁を結んで... more
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by yomodalite | 2008-07-08 14:54 | 文学 | Trackback(1) | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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