2008年 05月 11日
石に泳ぐ魚/柳美里 |
初版も、裁判記録も読んでいないので、被害者の痛みは計り知れませんが、柳氏が、この作品で流した血は「被害者」の痛みを遥かに上回っているように思われます。
裁判後の改訂版すら出版すべきでないと主張する人々には「何か別の理由」があるのか、もしくは愚かな煽動に乗せられているのでしょう...安易に被害者に同調する風潮と、リストカッターの増加は比例しているのかも。
また、ペンで身を削るという意味が理解されていないという状況は、同時期に読んだ『1976年のアントニオ猪木』にも描かれていたような、リアルファイトへの歪んだ感情にも似ているのかもしれません。
★★★★☆
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[MARCデータベース]わたしたちは石の海に放たれた魚。魂の血を流しながら、泳ぎ続ける…。94年『新潮』に発表されたが、裁判により出版差止になった作品の「改訂版」。「改訂版」についての出版差止請求は棄却され、この判決は確定している。新潮社 (2002/10)
by yomodalite
| 2008-05-11 17:36
| 文学
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