石に泳ぐ魚/柳美里

石に泳ぐ魚

柳 美里/新潮社

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初版時も、出版差し止めが話題になっている時期も読み逃していましたが、今回始めて読み、これを処女作とする著者への評価が格段に上がりました。作品への真摯な態度、緻密な構成は完成度が高く、しかも「処女作」らしい瑞々しい美しさに満ちていて心が揺さぶられずにはいられませんでした。

初版も、裁判記録も読んでいないので、被害者の痛みは計り知れませんが、柳氏が、この作品で流した血は「被害者」の痛みを遥かに上回っているように思われます。

裁判後の改訂版すら出版すべきでないと主張する人々には「何か別の理由」があるのか、もしくは愚かな煽動に乗せられているのでしょう...安易に被害者に同調する風潮と、リストカッターの増加は比例しているのかも。

また、ペンで身を削るという意味が理解されていないという状況は、同時期に読んだ『1976年のアントニオ猪木』にも描かれていたような、リアルファイトへの歪んだ感情にも似ているのかもしれません。

★★★★☆
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[MARCデータベース]わたしたちは石の海に放たれた魚。魂の血を流しながら、泳ぎ続ける…。94年『新潮』に発表されたが、裁判により出版差止になった作品の「改訂版」。「改訂版」についての出版差止請求は棄却され、この判決は確定している。新潮社 (2002/10)



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by yomodalite | 2008-05-11 17:36 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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