芸術と青春 (知恵の森文庫)/岡本太郎

芸術と青春 (知恵の森文庫)

岡本 太郎/光文社




岡本太郎の知恵の森文庫で復刊されている3部作、『今日の芸術』(1954)、『日本の伝統』(1956)、『芸術と青春』(1956)を一気読み。

まずは、今回初めて読む『芸術と青春』。
1929年、太郎は18歳でフランスに行き、1940年、29歳で帰国している。31歳で徴兵検査を受け中国で4年間軍隊生活を送り、1946年に復員した。1947年に敏子に会い、復員の8年後に、『今日の芸術』刊行。本著はその2年後に出版されています。

大成功した親の2世として、当時は非常にめずらしかったであろう留学経験。しかもパリが芸術の都として最も華やかな時代に、その綺羅星たちのほとんどに太郎は交流を果たした後一転して軍隊生活へ。終戦後の多くの文学者が、日本軍の惨めな実情をとおした反戦哲学や、日本批判をすることでしか世界意識を獲得できなかったのとは異なり、太郎は、日本とフランスを比較して日本を批判するようなことは一切していない。

鋭敏な感受性を持ちつつ、夏目漱石のように神経症にも陥ることなく、通常の日本人より落差が大きかったであろう軍隊生活を経て『今日の芸術』が書かれたことはまさに驚異的。芸術の都での太郎は、いわゆる日本の伝統を心の拠り所にしていたわけではない。太郎のその誇り高い魂の源であった岡本家の真実、かの子と一平の夫婦生活についても、実の息子でありながら、的確な評価をし、尊敬しつつも、超えようとする太郎の強い意志。。。この本を十代までに読めなかったことが本当に悔やまれる。

【目 次】
はじめに/岡本敏子
1/青春回想
色気と喰気、はたち前後、青春の森、ソルボンヌの学生生活、銃と私 ほか
2/父母を憶う
母、かの子の想い出、私の好きな母の歌、かの子文学の鍵、父の死 ほか
3/女のモラル・性のモラル
処女無用論、日本女性は世界最良か?、春画と落書き、女性に興ざめするとき ほか
解説/みうらじゅん
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【BOOKデータベースより】「青春は無限に明るく、また無限に暗い。」—岡本太郎にとって、青春とは何だったのか。パリでの旺盛な芸術活動、交遊、そしてロマンス…。母かの子・父一平との特異ではあるが、敬愛に満ちた生活。これらの体験が育んだ女性観。孤絶をおそれることなく、情熱を武器に疾走する、爆発前夜の岡本太郎の姿がここにある。 光文社 (2002/10 初出1956年河出書房)

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by yomodalite | 2008-04-22 14:10 | 現代文化・音楽・訳詞 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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