「彼女たち」の連合赤軍 — サブカルチャーと戦後民主主義/大塚英志

「彼女たち」の連合赤軍―サブカルチャーと戦後民主主義 (角川文庫)

大塚 英志/角川書店

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永田洋子の手記とその乙女チックなイラストから、連合赤軍の女たちを政治運動や左翼的な言説から一度解放し、1970年前後の日本の消費社会の中に位置づけ直すという、大塚英志氏の目のつけどころに感心しました。この当時の政治活動者の男性と、現在のオタクとの親和性には気づいていましたが、現在のサブカルチャーの書き手による連合赤軍を論じた本はあまりないように思います。

当時の男性活動家の女性への理解の浅さというか、レイプを基本とした男女関係には、やはりという感じもありつつも驚かされましたが、その後のフェミニズム運動に一定の評価を認めつつも、女性の女性性の問題には確固とした答えを導きだせず、政治活動、少女マンガ、オウムの女性信者へと続く「彼女たち」の物語としてとらえた歴史は、少なくとも『革命的な、あまりに革命的な−「1968年の革命」史論』(絓 秀実著)が、68年の革命が若者による日本国内のサブカルチャーの一形態であったにもかかわらず、相変わらず「世界」や「政治」と勘違いしたまま、論じているようなダメオタクっぷりは見られない。
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【Amazon.co.jp】1960年代末から1970年代初頭にかけての時期は、学園紛争が吹き荒れる一方でサブカルチャーが隆盛の兆しを見せ始めるという、今考えると非常におもしろい時代だ。終戦以降の戦後民主主義社会の見直しと、今に続く高度消費社会への準備とを、世の中全体が同時に行っていたわけで、その意味では、政治、経済面ではもちろん、社会、文化、風俗面から見ても、日本の精神史の山脈に表れた一番大きな分水嶺と言えるのではなかろうか。

連合赤軍事件が起きたのは1972年のこと。本書は、この事件の裏側に、70年代以前の時代精神と、以降の消費社会的な感性との対立があった事実を指摘した本である。山岳私刑(リンチ)の発端が女性活動家の指輪にあったこと、同じ女性が党派の首領を「かわいい」と評したエピソードの紹介など、一見何でもない発見のように見えるが、事件の担い手たちのその後を、獄中手記などを手がかりに記述する著者の詳細な分析にかかると、この事件が70年代という時代の結節点を、見事に象徴していることに思い当たるのである。

著者は「ぼくの関心は『矮小』なるものの歴史化に向けられる」と言う。「(それが)サブカルチャーとして生まれた世代の唯一の『成熟』の形ではないか」と。連赤同世代の相対的な沈黙に比し、後続世代がかくも真摯な分析を行ったことを、どう考えればよいのだろう。ちなみに著者は1957年、森恒夫は44年、永田洋子は45年の生まれなのである。(今野哲男)

【出版社/著者からの内容紹介】永田洋子はなぜ「乙女ちっく」な夢を見たのか?
獄中で乙女ちっくな絵を描いた永田洋子、森恒夫の顔を「かわいい」と言ったため殺された女性兵士。連合赤軍の悲劇をサブカルチャー論の第一人者が大胆に論じた画期的な評論集がついに文庫化!新たに重信房子論も掲載。角川書店 (文庫版2001/05)


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by yomodalite | 2007-11-09 15:51 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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