ひどい感じ 父・井上光晴/井上荒野

井上光晴氏に関しては、映画『全身小説家』を見たのみで、荒野氏の作品も初めてなんですが、作家の娘が父(母)を語ることの興味から読んでみました。

タイトルは井上氏の作品から。その作品を知っている人なら感慨深いものかもしれないのですが、単純に「ひどい父」を想像していた私には意外なほど、光晴氏は良き父親であったようで、対外的なイメージと、家庭でのそれはさほど変わらない様子。

〜母は、「父専業」主婦みたいなものだった。〜

〜察するに、ささいな怒りがたちまち思想や文学観に変換されてしまうような難儀さが、父と母の間にはあったのだと思う。だから二人は、仲が良かったというよりは、関係が深かった、というほうが正しい気もする。たとえば父の虚実に関して、私たち家族には故意に無関心だったところがあるわけだけれど、その家風は母が率先して醸していたとも思われる。〜


荒野氏の父への見方は愛情あふれるものの的確な印象。「文学伝習所」の存在、ガン闘病記など、光晴氏の内面がよくわかる。

次は、井上荒野氏の『もう切るわ』も、読んでみようかな。

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【本の内容】没後十数年たっても愛され続ける作家・井上光晴。その生涯は多くの謎に包まれていた。旅順生まれ、炭鉱での労働経験、それらはすべて嘘だった。何事もドラマチックに仕立てなければならない、「全身小説家」井上光晴の素顔とは?そして、ガン闘病の真実。小説家・井上荒野が父の魅力のすべてを書きあげる。






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by yomodalite | 2007-12-10 11:44 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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