台所のおと(文庫)/幸田文

台所のおと (講談社文庫)

幸田 文/講談社

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マイブームの幸田文。知ると知らないとでは、人生が変わるほどの作家です。

『台所のおと』
料理人の佐吉は、病床で聞く妻の包丁の音が、微妙に変わったことに気付いて...

『濃紺』夫を見送り今は1人住まいのきよは、土曜の午後は息子の家へ行って寛ぐのが習慣になっていた。はたちの頃に買い求めた、粋でめずらしい下駄は、30年を経て、はな緒の「紺」も落ち着いて、より深い色になっていた。来週は嫁に由来をきかせよう。

『草履』若い女のひとは、春の感じのひとも秋の感じのひともいます... 私は当分焚火のにおいを身につけている女でありたく思うのです。

『雪もち』『食欲』『祝辞』『呼ばれる』『おきみやげ』『ひとり暮し』『あとでの話』

◎[参考記事]神主さんのひとりごと
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【出版社/著者からの内容紹介】 女はそれぞれ音をもってるけど、いいか、角(かど)だつな。さわやかでおとなしいのがおまえの音だ。料理人の佐吉は病床で聞く妻の庖丁の音が微妙に変わったことに気付く……音に絡み合う女と男の心の綾を小気味よく描く表題作。他、『雪もち』『食欲』『祝辞』など10編。五感を鋭く研ぎ澄ませた感性が紡ぎ出す幸田文の世界。講談社 (1995/08)

庶民の哀歓を写す幸田文学の達成点。繊細な感覚と文体、清澄な名作集。

暮しのなかのなにげない音に絡みあう男と女の意気地。生きる哀しみを捉える確かな視線と透徹した感性。

すり鉢の音は、台所の音のなかではおもしろい音だった。鉢の底とふちとでは音がちがうし、すりこ木をまわす速度や、力のいれかたでもちがうし、擂るものによってもその分量によってもちがう音になる。

とろろをすればくぐもった音をだすし、味噌はしめった音、芝海老は粘った音、胡桃は油の軽くなさを音に出す。早くまわせば固い音をさせ、ゆるくまわすと響く。すりこ木をまわすという動作は単純だが、擂るものによっては腕がつかれる。

そういう時は2つ3つ、わざとふちのほうでからをまわすと、腕も休まるし、音もかわって抑揚がつく。擂る人がもしおどけるなら、拍子も調子も好きにできるところがおもしろかった。—本文より  講談社 (1995/08)
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Commented by sakura-kanade at 2008-09-08 15:01
はじめまして。
私も最近やっと「幸田文」を読んでもいい歳になったかなーと
読み始めました。
異色の「崩れ」から読み始めましたが、すっかりとりこです。
今度は「きもの」を読んでみようかなと思っています。
また参考にさせて下さいね。
Commented by yomodalite at 2008-09-08 18:34
コメントありがとうございます。「崩れ」は未読でした。思い出させてくださって感謝です。「流れる」もブログアップしてませんでしたが傑作です。sakura-kanadeさんのブログも参考にさせて頂きました。
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by yomodalite | 2007-11-09 18:27 | 文学 | Trackback | Comments(2)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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