僕はパパを殺すことに決めたー奈良エリート少年自宅放火事件の真実/草薙厚子

僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放火事件の真実

草薙 厚子/講談社



第9章に書かれている少年の障害は「高汎性発達障害」。自閉症、アスペルガー障害などを含む、生まれつきの資質に基づく発達障害のこと。

著者に依れば、佐世保の小六の少女や、静岡で母親に毒物を投与した16歳の少女、実母を殺害し、少年院出所後すぐに見知らぬ姉妹を虐殺した山地悠紀夫もそうらしい。

著者は、この著作により法務省より謝罪勧告を受けたようですが、ひどい人権侵害が頻繁に行われているマスコミ取材や報道と比較して、はたして、それが公平といえるのかどうかはよくわからない。

「序章」より

本書はこの事件に関する奈良県警の約3000枚の供述調書を公開したものである。
著者は本書をためらいながらも出版した。

後押ししたのは非業の死を遂げた継母のご両親の「娘が存在した証を残してほしい。真実を伝えてほしい」 という言葉だったという。

本書では少年事件という事情から、登場人物の氏名はすべて匿名であるが、継母だけはご両親の許可を得て下の名前を実名で記してある。

彼女の名前は民香(みんか)という。

【J-Castニュース】 を下記に引用

奈良県で少年が自宅を放火した事件について綴った書籍の出版社と著者が、著しく少年のプライバシーを侵害したとして法務省から謝罪勧告を受けた。問題となった書籍は、この事件について少年の心理や家庭環境を警察の捜査資料に基づいて詳細に綴ったもの。その中ではマスコミの「事実誤認」報道を指摘するなど、社会的メッセージの強いものだった。

「警察の作成した供述調書が引用される」
問題となった書籍は2007年5月に 講談社 から出版された『僕はパパを殺すことに決めた』。元法務省東京少年鑑別法務教官でフリージャーナリストの草薙厚子さんが執筆した。06年6月に奈良県田原町で、少年が自宅を全焼させ妻子3人が死亡した事件を巡って、捜査資料や事件で死亡した少年の継母の両親への取材に基づき、詳細に事件の背景を追ったもの。

書籍の冒頭では奈良県警の「供述調書」を含む捜査資料をA4判用紙で約3,000枚収集したことが記されており、実際に本のなかでは「供述調書」と思われる文章が50箇所以上にわたって引用されている。

草薙さんは同書の冒頭で次のように述べている。
「本書を世に出すことに、批判の声もあるかもしれない。なぜなら、少年事件において警察の作成した供述調書が手に入ることは、いかなる取材をもってしても本来ありえないことだからだ。私自身ためらいもあった」

草薙さんは、「それでもあえて、供述調書に記された少年の肉声を公開することに決めた」理由として、(1)少年事件で審判が公開されず、少年の内面について何一つ確かな情報が報じられなかったこと、(2)膨大な報道のなかに多くの事実誤認があり、報道の間違いを正すことが使命だと感じたこと(3)事件で死亡した少年の継母の両親が「娘が存在した証を残してほしい」と草薙さんに語ったこと、を挙げている。ただし、手に入るはずのない「調書」の入手経路などは書籍の中でも触れられていない。

書籍では、少年が、放火に至った理由を「供述調書」の引用を交え、説明している。ワイドショーなどの報道で、事件の動機が「継母との確執」などと報じられたことを否定している。

「少年のプライバシー保護のために勧告に至った」
しかし、この書籍の出版直後から、草薙さんの懸念通りに、「供述調書」が多く引用されたことを法務省などが問題視。奈良家裁が07年6月に講談社と草薙さんに対し「少年審判の信頼を著しく損なう」などとする抗議文を送付したほか、法務省も人権侵犯事件として捜査に乗り出した。そして、 法務省 は2007年7月12日、講談社と草薙さんに対し、謝罪と被害拡大を防止するよう勧告した。
法務省人権擁護局調査救済課は J-CASTニュース に対し
「書籍のなかで、少年審判事件の記録、供述調書を引用しつつ、少年の生育歴や家庭環境などのプライバシーを詳細に記録したため、少年のプライバシー保護のために勧告に至った」

と説明する。また、この書籍をめぐっては同省同局に、少年の父親から「被害申告」があったという。

一方、講談社広報室は「今回の勧告については真摯に受け止めております。今後も少年法の精神を尊重しながら、社会的意義のある出版活動を続けていく所存です」とのコメントを発表。草薙さんも講談社を通じて、「今回の勧告につきましては、出版元である講談社と見解を一にしています」とのコメントを発表している。

J-CASTニュースは草薙さんが所属する事務所にも取材を試みたが、事務所側は「講談社と同じスタンスということなので、対応は講談社になる」としており、草薙さんは口を閉ざしたままだ。講談社はこの書籍の増版を中止することを検討するという。

【目 次】
序章 逮捕/焼け落ちた絆
第1章 計画/殺害カレンダー
第2章 離婚/学歴コンプレックス
第3章 神童/飛び級と算数オリンピック
第4章 家出/継母が打ち明けた苦悩
第5章 破綻/カンニング
第6章 決行/6月20日、保護者会当日
第7章 逃亡/ひたすら北へ
第8章 葛藤/娘を殺した「孫」との面会
第9章 鑑定/少年が抱えていた「障害」
終章 慕情/裁判所で流した涙
______________

【内容紹介】IQ136の天才少年はなぜ、自宅に火をつけたのか——。
2006年6月20日、奈良県で発生した事件は日本中を震撼させた。全国でも屈指の進学校・私立東大寺学園高校に通う16歳少年が自宅に火をつけ逃走、焼け跡からは少年の継母と異母弟妹の3人が遺体となって発見された。事件後、少年は中等少年院に送られたが、事件の真相は少年法の厚いベールに包まれていまだに明らかになっていない。

著者の草薙厚子氏は、独自に入手した3000枚の捜査資料をもとに、少年と家族の実態に迫る。 警察が作成した供述調書には、少年の振り絞るような肉声が残されていた。

僕はこれまでパパから受けた嫌なことを思い出しました。パパの厳しい監視の下で勉強させられ、怒鳴られたり殴られたり蹴られたり、本をぶつけられたりお茶をかけられたりしたことを。なんでパパからこんな暴力を受けなければならないんや。一生懸命勉強してるやないか。何か方法を考えてパパを殺そう。パパを殺して僕も家出しよう。自分の人生をやり直そう——。
僕はそう思うようになりました。(「第一章 計画/殺害カレンダー」より)

少年は4歳の時から、医師である父親にマンツーマンの勉強指導を受けていた。
指導はやがて鉄拳制裁とセットになり、少年は十年以上にわたって虐待に近い暴力を受け続けた。 少年はついに、父親殺害を決意する。中間テストの英語の点数が平均点に20点足りない——。

直接の引き金となったのは、ただそれだけのことだった。そして実際に犠牲になったのは、憎んでいた父親ではなく、罪のない継母と弟妹だった。
本書には、少年が父親を殺そうと決意してから家に火をつけるまで、みずからの心の動きを赤裸々に記した直筆の「殺害カレンダー」が掲載されている。

父親は少年が医師となることを強く望んでいた。医師となるためには良い大学に行かなければならない。 そのためには勉強を強要するのもやむをえない——。

そうしたひとりよがりの愛情が、いつしか少年を追い詰めていた。今回の事件は、「特殊な家庭の特異な出来事」と言えるのか。過熱する受験戦争の中、わが子を「所有物」だと思っているすべての親は、この父親の予備軍かもしれない。
本書はいま改めて、「家族のあり方」を世に問う一冊でもある。 (講談社 2007.5.21)

【著者紹介】草薙厚子(くさなぎ あつこ) /元法務省東京少年鑑別所法務教官。 地方局アナウンサーを経て、米通信社ブルームバーグL.P.に入社。テレビ部門のアンカー、ファイナンシャル・ニュース・デスクを務める。その後、フリージャーナリストに転身し、少年事件を中心に週刊誌、月刊誌に多くの記事を発表している。講演活動やテレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。
著書に『少年A矯正2500日全記録』(文藝春秋)、『子どもが壊れる家』(文春新書)、『追跡!「佐世保小六女児同級生殺害事件」』(講談社)などがある。





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by yomodalite | 2007-08-10 11:25 | 裁判・法律・犯罪 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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