昭和の三傑—憲法九条は「救国のトリック」だった/堤堯

昭和の三傑―憲法九条は「救国のトリック」だった (集英社文庫)

堤 堯/集英社

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以前から気になっていた本を、憲法改正議論の中ようやく読了しました。

以下のサイトより引用

吉田茂と幣原喜重郎が、アメリカのダレスの再軍備要求をうっちゃって「憲法九条」による、アメリカの「日本永久占領」を受け入れる選択をしたというのは、 堤暁氏の『昭和の三傑』(集英社) が発刊されていらい、もはや定説になっている。

名著『現代の戦略』 を書いた永井陽之助氏は、これを「吉田ドクトリン」と名付けて、軍需ケインズ主義に日本が傾斜することを戒めた。
日本の戦後の繁栄は吉田茂の重要な決断に基づいていた。この決断によって、日本はベトナム戦争という闘われる必要の全くなかったアメリカの暴走した国家戦略に追従することを免れ、軍需景気だけを享受することができたのである。

この世から戦争を無くすことはできないにしても、余分な戦闘にわが国は関わらないことはできる。この問題は宮澤喜一が昔、「モラリティのない日本」という問題意識で提示した問題でもある。(注2)宮澤元首相は、モラリティのない日本をやや批判しておられた。だから、私は国連決議があれば派兵には原則としては賛成である。ここでモラリティは確保できる。今のアメリカはモラリティだけの外交、しかもそのモラリティがイスラエルの安全保障を守るための隠れ蓑になっており、これもまた問題なのである。

しかし、「日米同盟に基づく派兵はできないとという風に口で言わなくても制度としてそうなっている」今の制度が実に素晴らしいと思う。しかも、憲法押しつけの責任はアメリカ側にある。
だから、今の憲法を変える必要はないのである。

つまりこういう事だ、

わが国は国際協調の名の下で「一国平和主義」を掲げるべきなのである。

(注) 吉田茂の発言は次の通りとされる。

(引用開始)

…だが、壇上の夏目晴雄学校長の口をついて出た言葉は僕の予想とは似ても似つかないものだった。

(校長は)「その上で、防大の生みの親である吉田茂元首相が諸君の先輩にこう言われたことがあります」と前置きして、防大OBの間で長年にわたり語り継がれてきたその言葉を紹介した。

…『「君たちは自衛隊在職中決して国民から感謝されたり歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。ご苦労なことだと思う。

しかし、自衛隊が国民から感謝され、ちやほやされる事態とは外国から攻撃されて国家存亡のときとか、国民が困窮し国家が混乱に直面しているときだけなのだ。言葉をかえれば、 君たちが日陰者であるときの方が、国民や日本は幸せなのだ。耐えてもらいたい。」

……諸君の先輩は、この言葉に心を打たれ、自らを励まし、逆風をはねのけながら、ひそやかな誇りを持ち、報われることの少ない自衛官としての道を歩んだのであります。』

杉山隆男「兵士に聞け」新潮文庫、pp57-58。
(引用終わり)

(注2)この問題については田原総一朗との宮澤氏の対談を参照。

(引用はじめ)

「実は私は、外務大臣のときに次官以下の幹部の諸君に宿題を出したのですよ。まず、こう問いました。日本は憲法によって戦争の放棄を宣言し、どこの国とも仲良くするということを外交方針にしていると、私は考えているのだが、間違いはないか、とね。げんに、憲法の前文に『諸国民の公正と信義に信頼して……』と書いてあるのですよ。みんな、間違いない、その通りだと答えました。そこで私は言ったのです。もしも、どこの国とも仲良くするということを、実際に行うとこれは大変にモラリティの無い外交にならざるを得ない、とね。そうでしょ」

-わかりません。どうして、です?

「どこの国とも仲良くすると言うことは、たとえ、どんなひどい、不正や非人間的な事が行われていても、その国に対して、制裁行動は起こさないで仲良くするということでしょう。これはモラリティの無い外交ではないですか」

宮沢氏がイランやソ連の行動を指しているのだろう、とは、容易に推察できた。

-非人間的なことが行われていれば、やはり、それに抗議すべきじゃないのですか。

「抗議してやめてくれれば良いのですが、もしも改めなかったらどうするのです」

宮沢喜一氏は、逆に問うた。

「口先でいうくらいじゃ抗議にもならない。まるで効果はない。といって、日本は武力行使はダメ、威圧もダメ、十字軍を出すこともできない。一体、どうすればよいのです」

どうすればよいのか、と、私は宮沢氏の言葉をそのまま口にするしかなかった。

「結局、日本はモラリティのない外交しかできない。また、国民も本心ではそれを望んでいるのではないですか。 一切の価値判断をしない外交。しかし、これは、ごまかし外交でしてね。価値判断と言えば損得勘定だけでしょうな。価値判断がないのだから、何も言えない。言うべき事がない。ただ、頭を叩かれれば引っ込める。世界の空気を眺めて大勢に従う。日本はこれまでそれでやってきたのですよ。念のために言っておきますが、日本の外交、いかにあるべきか、という宿題の解答は外務省の諸君からいまに到るももらってません」 (文藝春秋1980年3月号 「ソ連は怖くないですか」宮沢喜一/聞き手 田原総一郎 から)

(引用終わり)
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【BOOKデータベース】 未曽有の敗戦処理に当たった三代の宰相は、智略の限りを尽くして占領軍アメリカに立ち向かった。憲法九条の発案者はいまだに定まらない。天皇制存続とバーターに押しつけられたとする「定説」を覆し、ビックリ条項に秘めた「救国の経略」を明らかにする。

【MARCデータベース】「憲法第九条」は日本製だった。日本国民が「アメリカの手駒」となることを防ぐための当時の歴代首相の「知恵」とは? 鈴木貫太郎、幣原喜重郎、吉田茂をキーマンに、戦後を総括する歴史ノンフィクション。

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by yomodalite | 2007-05-12 22:48 | 政治・外交 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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