ある異常体験者の偏見/山本七平

ある異常体験者の偏見 (文春文庫)

山本 七平/文藝春秋



名著。戦争の資料にあたるときに、必ず読んでおくべき本。

■ある異常体験者の偏見
文芸春秋での新井宝雄氏の文章から、その発想と思考図式と、一方的断定ともいえる「軍人的断言法」の紹介

■軍隊語で語る平和論
将校が「皇軍」を連発し、兵隊が「ハッ」などと返事をする映画や小説をこっけいと感じる。軍隊内では皇軍とはいわなかった〜軍隊語は戦争語であった〜

■中国兵は強かった
「強大な武器をもった日本」などなかった。ユーザーは皆知っている。ユーザー以外に良心的技術者も知っていた。百人切りはありえない。

■アントニーの詐術
「アントニーの原則」の「三つの詐術」/(1)編集の詐術(2)問いかけの詐術(3)一体感の詐術

■悪魔の論理
商業左翼、商業軍国主義者〜「毛沢東の言葉を権威として引用して、他を律しながら」「毛沢東主義をもって自らを律しない」タイプの人は非常にこまる。

■聖トマスの不信
イエス復活を事実とするムードが盛り上がったとき、弟子のトマスは「イエスの手に釘後を見、自分の指をその穴に差し入れ、自分の手をそのわきに差し入れてみなければ、絶対に信じない」聖書は、このトマスの態度を少しも非難しなかっった。

■アパリの地獄船
「職業意識とは、非常識の別名である」〜「飢えの力」

■鉄梯子と自動小銃
「日本語では戦争はできない」

■マッカーサーの戦争観
「マックの戦争観」と「平和憲法」は絶対に相容れない。朝日ジャーナルは、「全国津々浦々に“東條”が存在した」というが、実際は「無数のマックさん」が健在で、この矛盾にふれると激怒する。

■洗脳された日本原住民
帝国軍人には「可能・不可能」を考える能力がなかった。占領下の言論統制やプレスコードの実態は不思議なほど一般に知られていない。マスコミ関係はこの問題をとりあげると必ず例外的な犠牲者を表面にたて、陰にかくれて、自分達は被害者であったという顔をする。

■横井さんと戦後神話
グアム島での新たな日本兵が現れたというニュースに「兵隊はみな天皇の声を知っているから、天皇の声を録音して放送したら出てくるであろう」という意味の横田さんの談話は、嘘である。兵隊は天皇の声など知らない。「戦後神話」は、戦後創作されたこ神話にすぎないことを最も知っているはずの人がなぜか「事実」と証言する〜「戦前の人間の生き方そのもの」

■一億人の偏見
 食料・石油を封鎖されれば、アパリの地獄船を再現、「是非」以前に「可能・不可能」を考えなければならない、こんなことを一生懸命言わなければならなかったことが、まことに不思議。戦争中に同じようなことを言っていたのに、終戦になると、ケロッと、「そんなことははじめからわかっていた」
その一つの原因は、ヴェトナム戦争における報道の歪みであろう。

●付1/森氏の批判に答える/新井宝雄(毎日新聞編集委員)
●付2/決定的な要素は人間である/新井宝雄
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【内容「BOOK」データベースより】「強大な武器を持っていた日本がなぜ中国に敗れたのか。それは偶然に負けたのではなく、負けるべくして負けたのである…」この発言にショックを覚えた著者が展開する一大論争。みずからの異常体験をもとに論理術のかぎりを尽して、日本人を条理に合う人間と合わない人間に峻別すべきことを緻密に証明してみせてくれる。文芸春秋読者賞受賞。

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by yomodalite | 2007-03-20 22:22 | 戦争・軍隊 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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