和訳 “In The Closet”

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『インヴィンシブル』の和訳が終了したので、今後はこれまでどおり、ゆっくりではありますが、『デンジャラス』や『ヒストリー』も完訳(MJ作のみ)を目指そうと思います。


それで、まず最初に、と思ったのが「In The Closet」。マイケルの曲に「エロ」が登場した初めての曲ですね。


最近は無宗教者の比率が高くなっていると言われるアメリカですが、かつては国民の80%がクリスチャンで、中でもプロテスタントの比率が高かったのですが、同じプロテスタントでも、黒人が多く通う教会と白人の教会には大きな違いがありました。


奴隷としてアメリカ大陸に連行された黒人は、苦しい状況の中で、聖書の福音(ゴスペル)に救いを求め、言語を剥奪された彼らは、音楽によって神を賛美するようになっていく。


そして、ゴスペル(福音音楽)は、リズム・アンド・ブルース(R&B)へと発展し、徐々により都会的な音楽へと変化していったのですが、R&Bにエロい歌詞が多いのは、黒人の宗教観には、愛と性は分離できないもので、SEXの快楽の中にも神の恵みを感じる、ということもあるようです。


しかし、それは性欲や快楽を悪とみなし、禁欲に価値を見出す白人プロテスタントの宗教観とは相容れないもので、白人の黒人への差別や、黒人と白人が聴く音楽が異なっていた背景には、そういった宗教や文化の違いといった要因もあったんですね。


でも、エルヴィス・プレスリーが黒人音楽を取り入れ、80年代には、マイケルやプリンスといったティーンエイジャーの白人にも受け入れられる黒人スターも登場したことで(音楽における)「人種の壁」がなくなった、と言われたわけですが、


アルバム『スリラー』や『バッド』に「エロい歌詞」がなかったのは、マイケル自身の個性や、当時の彼の宗教の教義だけではなく、白人リスナーを取り込むための「戦略」でもあったと思います。


一方、愛と性を分離しないという、これまでの黒人スピリットを踏襲していたプリンスの大ヒットアルバム『パープルレイン』には、相当際どい歌詞もあり、娘が聴いていた曲の内容に驚いた、当時の副大統領の妻ティッパー・ゴアに、卑猥な表現のある歌詞の曲を排除するための委員会を設立させ、その後のR&Bのアルバムにはほとんど「ペアレンタル・アドバイザリー」というステッカーが貼られることになりました。




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「In The Closet」の話に戻りますが、


In The Closet には、自己の真の姿を隠すといった意味があり、同性愛を秘密にしているというスラングにもなっていることから、マイケル自身の恋愛対象について想像をかき立てられるタイトルではあるのですが、ここで表現されているのは、マイケル自身の “秘密” ではありません。


そもそも、愛や平和のメッセンジャーというイメージが強いマイケルには、いわゆる “ラブソング” はすごく少なくて、特に、女性のきもちを掬いとってくれたと感じるような内容は皆無といえるほどなのですが、


この曲の歌詞も、 “女性から男性への欲望” は隠さないで欲しいけど、ふたりの関係は “秘密” にして欲しい・・・という身も蓋もない内容でw


ショートフィルムでのマイケルの美しさにはうっとりはするものの、おそらく多くの女性はこの曲を聴いて、エッチな気分にはならないし、愛も感じられないのではないでしょうか。


この曲は、多くのR&Bのように、性愛を描いてはいてもロマンティックな “ラブソング” ではなく、日常的でどこか殺伐とした、ありふれた男女のSEXそのものの感覚であり、多くの人が、本当は愛とは無関係に望んでいる快感への欲望そのもの。


つまり、それこそが人々が “隠しているもの” (In The Closet)で、これまで、誰も歌にしなかったこと・・・


踊りたいと思う気持ちに理由はいらないし、「そこが疼けば、愛撫が必要」なんですけどね。



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また、艶かしい女性の声は、ショートフィルムでは、共演者のナオミ・キャンベルですが、発売当時はミステリーガールとして名を伏せられていたCDの女性の声は、女優からモナコ公妃になったグレース・ケリーの3人の子供の末っ子である、ステファニー公女。


グレース公妃が亡くなった自動車事故の際に同乗していた彼女は、10代の頃から、数々の男性との噂が報じられるなどゴシップ雑誌を賑わすことも多く、当時は、公室のボディガードと未婚のまま2人の子供をもうけたことも話題になっていました。


聴き比べてみると、セレブリティで白人のステファニーの方が、より「エロい」という点も、人種への偏見と戦ったマイケルの戦略というか、


定番という意味での “王道” ではなく、道なき道を歩んで王となった “覇道” も感じられて・・・エロい気分にはならないものの、とにかく色々と「感じてしまう」曲ですよね!






In The Closet


[Spoken Intro : Princess Stephanie of Monaco]

There's something I have to say to you

If you promise you'll understand

I cannot contain myself when in your presence

I'm so humble

Touch me

Don't hide our love

Woman to man


[ステファニー皇女]

あなたに言わなくちゃ

わかってくれるって約束してくれるわよね

あなたの前では、自分を抑えることができなくて

私は触れられることを

卑しく求めてる

ふたりの愛は隠せない

女から男への欲望も


[Verse 1 : Michael Jackson]

She just a lover(*)

Who’s doing me by

It's worth the giving

It's worth the try

You cannot cleave it

Or put it in the furnace

You cannot wet it

You cannot burn it


[マイケル]

彼女はいわゆる愛人(*)

僕が求めたことを与えてくれる

やってみよう

引き裂こうとしたり

無理やり押し込もうとするんじゃなくね

濡れなければ

燃えることもできないのさ


[Refrain : Michael Jackson]

She wants to give it

(She wants to give it

(Ahh she wants to give it)

Dare me

(She wants to give it)

(Ahh, she wants to give it)

She wants to give it

Yeah

(Ahh, she wants to give it)

(She wants to give it)

(Ahh she wants to give it)


彼女がそれを求めてる

彼女がしたがっているんだ

彼女が僕にしたいんだ・・・

僕に挑むように

そう、彼女が求めているんだ

彼女が求めてる


[Verse 2: Michael Jackson]

It's just a feeling

You have to soothe it

You can't neglect it

You can't abuse it

It's just desire

You cannot waste it

Then if you want it

Then won't you taste it


それはまさに感覚なんだから

鎮めてあげなきゃ

無視しちゃいけないけど

暴走するのもだめ

それが欲望ってものなんだから

無駄にするんじゃなく

欲しいんだったら、

ちゃんと味わえばいい


[Refrain : Michael Jackson]

She wants to give it

(She wants to give it)

Ahh she wants to give it)

Dare me

(She wants to give it

(Ahh she wants to give it)

She wants to give it

(She wants to give it Yeah)

(Ahh she wants to give it No No)

(She wants to give it)

(Ahh she wants to give it)


彼女がそれを求めてる

彼女がしたがっているんだ

彼女が僕にしたいんだ・・・

僕に挑むように

そう、彼女が求めてる

彼女が求めているんだ


[Pre-Chorus : Princess Stephanie of Monaco]

One thing in life you must understand

The truth of lust, Woman to man

So open the door and you will see

There are no secrets

Make your move

Set me free


人生の中で理解しておくことのひとつは

女も男への欲望があるってこと

そう、扉を開けてみればわかるはず

隠すことなんてない

あなたがしたいように

私を自由にして


[Chorus : Michael Jackson]

Because there's somethin about you baby

That makes me want to give it to you

I swear

There's somethin about you baby


ベイビー、君には何かがあって

それで、僕はその気になってしまうんだ

本当だよ

君には何かあるよね


Just promise me whatever we say

Or whatever we do to each other

For now we will be making a vow, to just

Keep it in the closet


約束して

僕たちが話したことや、したことを

今は、僕たちだけの

秘密にすると誓って


[Verse 4 : Michael Jackson + Princess Stephanie]

If you can get it

It's worth a try

I really want it

I can't deny

It's just desire

I really love it


もし、それを君がわかってくれるのなら

試してみる価値がある

僕は本当にしたいし

拒むなんてできない

それは、まさに欲望

そういうのが好きなんだ


'Cause if it's aching

You have to rub it


そこが疼いたのなら

愛撫が必要なのよ


[Refrain: Michael Jackson]

She wants to give it

(She wants to give it

Ahh she wants to give it)

(Dare me)

(She wants to give it

Ahh she wants to give it)

She wants to give it

(She wants to give it)

Yeah

(Ahh she wants to give it)

(She wants to give it

(Ahh she wants to give it)


彼女はしたがってる

(彼女はしたがってる、

ああ、彼女はしたがってるんだ・・)


[Chorus : Princess Stephanie of Monaco]

Just open the door and you will see

This passion burns inside of me

Don't say to me

You'll never tell

Touch me there

Make the move

Cast the spell


扉を開けてみれば、わかるはず

私の中に燃えるような情熱があることを

気がつかないなんて言わないで

私のそこに触れて

したいようにして

魔法にかけて


[Chorus: Michael Jackson]

Because there's something about you baby

That makes me want to give it to you

I swear there's something about you baby

That makes me want

Just promise me whatever we say

Or do to each other

We make a vow for now to just

Keep it in the closet


ベイビー、君には何かがあって

それで、僕はその気になってしまうんだ

本当だよ。君には何かあるよね

約束して

僕たちが話したことや、したことを

今は、僕たちだけの秘密にすると


For now we'll make a vow, to just

Keep it in the closet


今は、僕たちだけの秘密にするって


Because there's something about you baby

That makes me want to give it to you

Because there's something about you baby

That makes me want to give it to you

I swear

There's something about you baby

That makes me want to give it to you


I swear there's something about you baby

That makes me want to give it to you

There's something about you baby

That makes me want to give it to you

There's something about you baby

That makes me want to give it to you


Just promise me whatever we say

Or whatever we do to each other

For now we'll make a vow to just

Keep it in the closet


She wants to give It

She wants to give it

She wants to give it

Ahh, she wants to give it

She wants to give it

Ahh, she wants to give it

She wants to give it

Ahh, she wants to give it

She wants to give it

Ahh, she wants to give it

She wants to give it

She wants to give it

Ahh, she wants to give it

She wants to give it

She wants to give it

She wants to give it

She wants to give it

Ahh, she wants to give it


(訳:yomodalite)



(*)「あなたとマイケル・ジャクソンが殴り合いをしたらどちらが勝つ?」と記者に聞かれたとき、プリンスは、「マイケルは戦う人ではなく、愛する人だよ(Michael is not a fighter he is a lover)」と答えていて、それは、マイケルがポールとデュエットした「Girl is mine」での、”Paul, I think I told you. I'm a lover not a fighter” の引用でもあるんですが、

上記の素敵な記事の中でも、記者が下品な意味にとって笑ったと書かれていますが、一般的に「lover」は「愛する人」とか「愛に生きる人」「恋人」というような意味ではなく、「セックスフレンド」という意味合いが強く、マイケルも、ここではそういった意味で使っていると思います。


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by yomodalite | 2017-12-18 22:31 | ☆マイケルの言葉 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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