物理学者が整理したこと

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前書『物理学者が解き明かす重大事件の真相』は、誰もが知っている重大事件を通して、物理学の世界を垣間見られるという試みが新鮮で、とても面白い本だったのですが、

本書は、タイトルからはまったく想像のできない内容で・・・

第1章 なぜ日本人は哲学がわからないのか
「哲学」とはアリストテレス哲学のことである
・プラトンとアリストテレス
・哲学を信じて虐殺された女哲学者ヒュパティア
・哲学者とはアリストテレス哲学を信奉する人たちという意味である
・『薔薇の名前』にでてくるアリストテレス哲学
・現代につながるアリストテレスの哲学

第2章 星占いの科学
なぜ日本人は星占いが大好きなのか
・現代の星占い
・四神(朱雀、玄武、青竜、白虎)とは四方にある星座のことである
・西暦150年に完成していた中国天文学
・木星の動きからつくられた十二支
・北極星の移動に見る中国と日本の政治思想
・陰陽師が行っていた星占いとは何だったのか

第3章 歴史の謎を天文学から明らかにする
女王卑弥呼とは誰だったのか?
・日本に伝わる妙見信仰
・西播磨の大避神社が示す北斗七星と北極星
・昔の北極星の位置にある大倉山山頂
・歴史から大避神社が星の位置にある理由を探る
・二十四節気が明らかにする日本の古代史
・日本に入ってきた道教
・女王卑弥呼の正体
・道教国家・日本

第4章 金融工学とはどういう学問か
なぜ儲けることができるのか
・金融工学という錬金術
・金融工学の想定外、ファットテイル(fat tail)
・経済物理(econophysics)が予言した2014年1月の株式市場の暴落
・20世紀は数学が世界を席巻していた時代である

第5章 現代物理学は本当に正しいのか?
副島隆彦氏との対談
・物理学とはどのような分野に分かれるのか?
・現代物理学は正しいのか 
・エルンスト・マッハの科学哲学
・科学とは思考を節約するためにある
・文科系の人間は「一定の条件において」を認めない

第6章 STAP事件の真実
なぜ小保方晴子著『あの日』は陰謀論と呼ばれたか
・業績を奪われ激怒していたハーバード大学バカンティ教授
・STAP事件に関する異常な世論誘導
・再現実験での丹羽仁史副チームリーダーの実験データ
・STAP特許はまだ生きている
・STAP細胞関連でファンドを獲得しているバカンティ教授
・故笹井芳樹氏の見た夢

第7章 AIとは何か
経験は知恵に勝る
・プロ棋士と互角の戦いをする将棋プログラム『ボナンザ』
・将棋プログラムの強さは「特徴ベクトル」によって決まる
・プロ棋士の指手をまねる
・「特徴ベクトル」を自分で見つける最近のAI
・脳の機能に似ている深層学習

第8章 なぜ日本人は論理的な文章が書けないのか
論理とはことばとことばの連結である
・論理的な文章とはどういうものか
・パラグラフ・ライティング
・実際の文章例
・文章に必要な要素① flow(流れ)
・テーマの糸
・文章に必要な要素② clarity(明快さ)
・プレゼンテーション(パワーポイント)への応用
・現代日本語は英語の文章作法を基礎としている


厚さ12ミリほどのコンパクトな外観からは、これらすべてが納められているとはとても思えないのですが、どの章も、最近の新書ならそれぞれ1冊にできるような内容で、タイトルには「整理法」とありますが、読者に整理の仕方を教えてくれるというよりは、物理学者である著者の整理された脳内が垣間見れるという感じ。

第1章の哲学から、古代史や天文学、金融工学を経て、第5章の現代物理学までは、門外漢には、とっつきにくい内容ですが、

第6章の小保方晴子氏とSTAP細胞事件では、ニュースやメディアとどう付き合うべきなのか? AI(人工知能)は、教育をどう変えるのか? など、大学で、教養教育について議論する機会が多いという著者の話には、義務教育に携わる方々にも興味深いと思われる内容が多く、

第8章の「論理的な文章が書けない」という問題は、人工知能によって、高度な自動翻訳が可能になったとき、英語教育の充実よりももっと重要な問題のように感じられました。

そんな盛りだくさんの本書ですが、下記は夏休みに行ってみたい場所についてのメモ。

北極星、北斗七星を崇める民間の信仰は「妙見信仰」とよばれている。(…)妙見信仰と「聖徳太子」には、強い繋がりがあって、聖徳太子が持っていたとされる七星剣は、四天王寺にあり、妙見信仰のもっとも古い菩薩像は、よみうりランド内の妙見堂にあるが、この菩薩像は、聖徳太子の若いときの像ではないか。聖徳太子の時代は、北斗七星が崇拝されていて、吉野裕子という在野の民俗学者は、伊勢神宮の天皇の儀式である神嘗祭が執り行われる日付と時刻は、北斗七星の動きと関連していると、『隠された神々』という本の中で明らかにしている。

しかし、高松塚古墳が完成した天武、持統天皇の頃には、北斗七星よりも、天皇を表す北極星の方が重要になったと考えられる。

西播磨一帯には、大避神社という神社が点在し、赤穂浪士で有名な赤穂市から、上部町、相性市にかけて、8神社、その他名前が少し違う大酒神社や、地図に載ってない大避神社までいれると、20ぐらいが点在し、一番有名な神社が、赤穂市の坂越にある大避神社。ここには、生島という島があって、そこには聖徳太子のブレーンとして有名な秦河勝の墓がある。また、この神社は日本ユダヤ同祖論でも有名で、「大避」というのは、ダビデを意味している・・・

「第5章」から、前書に引き続き、ビッグバンを信じないマイケルのためにw。

副島:ヨーロッパの近代法学では、裁判官はまるで実験を実験室(法廷)でやるように、「真実を発見する」という理屈になっている。すべての主観や思い込みを排除していくんですよ。有罪であることの証明作業(証拠から真実を組み立てる)以外の可能性をすべて排除する。しかし、そのとき学問というのは恐ろしい学問犯罪というのを起こす可能性がいつもある。ただひたすら理論の美しさ(これが数学的証明)みたいなところを突き詰める人は、自分たちの欠点を見ようとはしない。そのことの恐ろしさが色々と現代にあらわれているという気がします。数学的に証明された。ゆえに実在している。ゆえに宇宙はこのように成り立っていて、ゆえにビッグバン理論は正しい、という逆の形の証明をこの人たちはしている。このとき、マッハが主張した、実在としての素朴な証明は行っていない、ということでいいですか。

下條:はい。

副島:(…)falsifiability、日本では反証可能性と訳しますが、これはトーマス・クーンという人が言い出したことで、クーンは、ユダヤ人の科学史学者で、ヨーロッパの理科系の学者をアメリカに招聘する係りで、クーンは、ある事実を覆そうとして行われたある実験によって、反対証明が行われなかったらば、その事実やあるいは理論はサイエンスとして正しいのだ、という考えをしたというふうに理解されている。しかし、falsifiabilityという検証のテストストーンはどうもおかしい。トーマス・クーンとカール・ポパーの「科学哲学」は調べなおさなくてはならない。理科系の学者は、自己限定を徹底的にやって、ある極めて限定された世界に予め逃げ込んで置いてから、そこでの証明作業で無矛盾であれば、それで証明されたという行動をとるが、すでに始めのところから、ずるいんじゃないかと私は考えているんです。

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by yomodalite | 2017-07-07 22:54 | 読書メモ | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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