AY対談w「パフォーマンスをしなくなった理由」

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akimさんとのおしゃべりの続き・・・


写真は「Searching For Neverland」と、番組のプレミアムイベントのもの。


A:akimさん Y:yomodalite


Y:デンジャラスツアーを中断した後、ヒストリー期のマルセル・マルローとの「HBOスペシャル・ワンナイト・オンリー」の中止とか、2000年以降、シュムリーの本にも、ビルとジェイボンの本にも、マイケルが色々な仕事を断りまくってたことが書いてあったけど、打ち合わせが進んでいても、最終的にすべて断ってしまった仕事がすごく多かったみたいね。


マイケルが、デンジャラス・ツアーをアメリカでやらなかった理由は、子供の時から国内ではやり尽くしてて、他の世界でやってみたくてしようがなかったってこともあるけど、もうひとつは、喉にしても、ダンスをする肉体にしても、すごくキツかったってことも大きかったような気がするんだけど・・


喉に関しては、普段から小さな声でしゃべるとか、すごく気を使ってたけど、それでも、すごく小さい頃から酷使していて、レコード会社は、声変わりする前にたくさん録音しておきたいし、声変わりしてからも、以前の高音を出し続けなくてはならない上に、ダンスしながら歌わなくちゃならない。しかも、マイケル自身が、両方とも完璧を求めてて、そうでなくては、マイケル・ジャクソンじゃないっていう、マイケル自身の「マイケル像」もあるし・・。


A:たしかにそうかもね。2001年の30周年コンサートのときって、体調も悪かったみたいだけど、相当歌はキツかったっぽいもんね。


Y:うん・・あれよりもずっと前からキツかったんじゃないかな。英米は「口パク」に厳しいし・・ただでさえ、自分に厳しい環境で、これ以上消耗したくない、もっと別の世界のひとに、自分を初めてみるひとに見てもらいたいし、自分ももっと世界を見て回りたい。


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A:ヒストリーツアーはわかるんだよね。ほら、They Don't Care About Usで、プリズン描写の是非問題でSFは放送されないとか、ユダヤ人のいわゆるJew me, Kike me問題とかで、勝手に意味を取り違えられて、それに対して謝罪を求められたりとか、本当にこの国ではマイケルの意図がなーんにも伝わらないっていうの?「そうじゃないんだってば。なんでそうなるんだよ」って言いたかっただろうし、この上ツアーなんかしたら、よけい攻撃されるっていうか、とにかくすっきりした気持ちで国内ツアー頑張るぞっていうには問題がありすぎたという気がするんだよね。


Y:ただ、その手の問題で放送中止になるのも、謝罪を求められるのも、よくあることで、マイケルもエッジの効いた表現がしたかったわけだから、想定外ということはなかったんじゃない? 前回のデンジャラスツアーをやらなかったのなら、よけいにヒストリーツアーはやるべきで、やった方がイメージ回復になったと思うんだよね。やっぱりエンターティナーとして、この人は素晴らしいひとなんだって、大勢の人が再確認できるから。


最近ブログで、玉置浩二がデンジャラスツアーのときの衣装を着てたっていうの紹介したんだけど、彼も、数年前までずいぶん「奇行」のことなんかで叩かれてたじゃない。でも今それをかなり払拭できたのは、やっぱり彼の歌の力だったでしょう。やっぱアーティストは、自分本来の仕事で対抗するのが一番いいと思うんだけど、マイケルが、それをやらなかったのは、「ライブ」で今まで以上のものを出すっていうことに、特に「喉」に関しては、彼自身そうとう不安だったというか、すごく神経質になってて・・


バッドツアー以降、マイケルが生歌で歌うのって、例えばジャクソン5メドレーとか、オープニングの「Jam」とか、いわゆる歌唱力を聴かせる歌じゃないもんね。


A:歌唱力を聴かせるっていうと、たとえばどんな・・・

Y:たとえば、「You Are Not Alone」とか、

A:私は「I' ll Be There」は歌唱力を聴かせてると思うんだけど・・

Y:でも、あれがヒットしたときは、子供の頃だから、レコードとは違うよね。レコーディングとの差がわかるようなのが、嫌だったりして。


A:ああーー、レコードとの差がないようにしたいと。ベアデンとのからみのシーンでもレコードと同じでなくちゃって言ってたよね。


Y:あのシーン大好き!でも、あのとき、ベアデンにはレコードと同じでなくちゃって言ってたくせに、結局マイケル「もっとゆっくり」とか言い出して(笑)、「You gotta let it simmer「ベッドからはいでる感じ」・・とか、Just bathe in the moonlight. 「月光に浸る感じ」とか、なんだかんだ、レコードと違ってること求めてたよね(笑)。それで、THIS IS IT の「Way You Make Me Feel」は、これまでとはまた一味ちがう素敵な感じに仕上がって・・。だから、あれは、「君が勝手に変えないで(すべては僕が決めるんだから)」っていうことかもしれなんだけど(笑)


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A:たしかにね。でも、THIS IS ITのときは、歌う気だったんじゃない?ベアデンとか、オルテガが、全部歌わなくたってって言っても、「いやいや、絶対歌う」って、マイケルは言ってたらしいし。実際はどこまで生歌でいくつもりだったかはわからないけど。仮にやっぱり無理かもなって思う瞬間があっても、THIS IS ITのスタッフは、マイケルが完璧なステージにするためのそういう努力を厭わない人で、現に完璧だったということを、フィルムに残してあげたい、みたいな気持ちが強くあったんだと思うけど・・・どうなのかなぁ。


Y:バッドツアーや、Bad期のグラミー賞のときの「Man in the Mirror」のパフォーマンスはスゴかったけど、


30th Annual Grammy Awards





Dangerous期の大統領就任パーティーのときの「Gone To Soon」は、すごく素敵なんだけど、マイケルに期待されてる圧倒的なレベルとか、何十年も維持され続けた「KING OF POP」の称号を考えると、やっぱり「歌だけ」だと少しものたりないというか、これ以降、マイケルの生声で「うわぁーー!」ってなったことなくて、彼も避けてきたように思うのね。


Clinton Gala 1992


「Gone To Soon」は1:05~



他のアーティストは生演奏をするだけだけど、マイケルは自分のライブの一個一個を「伝説」として遺るものじゃなきゃって考えてたと思うんだよね。THIS IS ITでは、フィルムがマイケルの絶対条件だったけど・・リハーサルであっても、瞬間、瞬間の素晴らしさをなんとか記録できないかっていうのは、マイケルの中に強くあったんじゃないかな。

A:This Is It では、一瞬だけどアカペラで「Speachless」を歌う場面があるよね? あれは、ほんの一瞬なのに「うわぁ」ってなったよね。


Y:うん!もう一瞬なのに絶対に忘れられない瞬間!!だから、ビルやジェイボンが、マイケルの歌っているのを聞いて、すごく感動していたり、THIS IS ITのリハーサルでも、素晴らしい瞬間がいっぱいあったと思うんだけど、歌も踊りもあるステージで、それを何日もっていうのはね・・それで、フィルムにすごくこだわってたんじゃないかな。


私ね、マイケルの地声みたいなのを聞いてると、このひとはレコーディングのときに、100%以上の力でやっているんだなって思うんだよね。完璧とかじゃなくて、それ以上っていうか・・・


声とか、肉体的な部分だけでなく、マイケルが「無理だ」って思うのは、他のアーティストとは基準がちがってて、彼は、子供アイドルではなくなったことで味わった挫折もあって、もう二度と以前の方が良かったなんて言われたくなかったんじゃないかな。


常に自分の過去と比べられるっていうのは、ポール・マッカートニーもそうだったと思うけど、彼の場合は、自分が挑戦したいことを優先して、完成度には、あんまりこだわらなかった。でも、マイケルは常に「最高!」しか求めなかったから・・。


マイケルのツアーは、リハーサルどおりを重要視してて、それは彼の「完璧主義」からきてると思うんだけど、でも、そういった「完成度」は、ツアーごとに終わっていて、彼は繰り返すことにも慎重だった。


「一回性」っていうのは、音楽でもなんでもアートにとって重要なことだけど、長く活躍しているアーティストにとっては、むずかしいことだよね。ファンからいつも求められることを拒否しないといけないから。


A:一番しんどいときに、一番完璧を目指そうとしたっていうのはね・・・目指すこと自体は、マイケルらしいとは思うけど・・でも、最終的には断れなかったよね。このツアーは。いろんな意味で。


Y:断れなかったともいえるけど、やりたかったっていうのも本当だと思うんだよね。コンサート自体じゃなくても、リハーサルであっても、瞬間、瞬間の素晴らしさをなんとか記録できないかっていうのは、マイケルの中にもあったんじゃない。リハーサルからフィルムを入れるっていうのは、彼の希望だったんだから。

『THIS IS IT』で、50歳のマイケル・ジャクソンという「未知の世界」を垣間見た経験は、めちゃくちゃ素晴らしいパフォーマーを見たっていう感動とはまったく次元が違ってて、こんな風に何年経っても、その感動について考えさせられちゃうのは、肉体的にどうしても衰えていく部分と、それでも、前進していくことが出来る「何か」とか、「どこか」っていうのを、マイケルは普通の天才とはまったく違うレベルでずっと求めてきたからじゃないかな・・きっと永遠にそこまでしかわからないような気はするけど。


A:ダンスに関しても、2002年の赤い手袋の「Dangerous」が、最後だったよね・・。








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by yomodalite | 2017-06-20 07:00 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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