わたしは、ダニエル・ブレイク

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イギリス北東部ニューカッスルで大工として働くダニエル・ブレイク。心臓病のダニエルは、医者から仕事を止められ、国からの援助を受けようとしたが、複雑な制度に阻まれ、援助が受けられない。そこには、ロンドンのアパートを追い出され、2人の子どもをもつシングルマザーのケイティもいて、彼女を助けたことから、絆を深めていくダニエル。しかし、ダニエルもケイティも、厳しい現実によって、ますます追い詰められ・・・

2016年のカンヌ国際映画祭で、2度目のパルムドールを受賞した、イギリスの巨匠ケン・ローチ監督の作品を見るのは初めてだったのですが、ふと読んだインタヴュー記事から興味を持ちました。

ケン・ローチ「真のポリティカルコレクトネスとは自由市場に楯突かないこと。私たちを殺しつつある自由市場について指摘するのは『政治的に正しくない』のです」
長年真面目に働き、しっかり税金も払い、妻の介護もしてきた人が、病気になったとき、政府から援助を受けることもできない。そして、そんな困難な状況であっても他人への優しさを失わないダニエルや、ケイティ、その子どもたちも、本当に俳優が演じているということを忘れてしまうぐらいリアリティがあって、強く惹きこまれる。

ただ、監督の言葉にあるような、イギリスの社会状況については描かれていいないせいか、役人の態度についても致し方ないと感じる部分も多かった。ベテラン大工のダニエルは、病気で仕事ができない間、ケイティのためにアパートの修理をしてあげたり、棚を作ってもいる。治療としては薬を飲むぐらいで、就職活動のためにたくさん歩いてもいるので、「求職中」という枠に入れられる判断が「不公平」かどうかはむずかしい。

知り合いに、心臓病の持病をもつ人がいて、一見すると健康そうで、ポジティブ思考の彼は、もっていた障害者手帳がもつ数々の高待遇について、周囲に明るく語っていたこともあって、口の悪い友人から「障害者サギ」などと言われるほど、周囲から羨ましがられてもいた。でも、そんな「特権」を行使しているように見えた彼も、結局若くして突然亡くなってしまった。彼が本当に「重い心臓病」だったことがわかったのは、葬儀でのことだった。

だから、ダニエルのような心臓病患者にとって、病気での申請を審査する係りが行う設問や、目視が不利なものになりがちだということはよくわかるし、ダニエルやケイティはとても身近に感じられるのだけど、社会批判としてはちょっぴりヨワいかな・・。



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by yomodalite | 2017-03-30 07:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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