大統領の政治(2)マイケル・ジャクソンと “ソフトパワー”

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Dancing With The Elephant からの和訳「大統領の政治(1)」の続き・・・

2016年の大統領選では、ほとんどの有名人が支持を表明したヒラリー候補が敗れるという結果になりましたが、今も人気が衰えない偉大なスター、エルヴィス・プレスリーと、ジュームズ・ブラウンは、どう政治に関わっていたのか?そして彼らと、マイケルとは何が違っていたのか・・・



Presidential Politics, Part 2: Michael Jackson and “Soft Power”

大統領の政治(2)マイケル・ジャクソンと “ソフトパワー”


ウィラ:私は、フレデリック・ダグラスを描いている「19世紀に最も写真を撮られた米国人の写真伝記」と呼ばれる魅力的な本を読んでいたんだけど、 ダグラスは解放された奴隷で、精力的な奴隷廃止運動家であり、さまざまな方法で政治目標を推進した人物なのね。

そのひとつは、アブラハム・リンカーンから始まり、その後7人の大統領との関係を継続したこと。 彼は1895年に亡くなるまで、リンカーンからハリソンまでの大統領全員に会っている。

もうひとつは、白人の黒人に対する認識に挑戦するような、彼の写真やパブリック・イメージの使い方。それまで多くの白人が奴隷を人間以下と見なすように訓練されてきていたから、これは、南北戦争のあとには特に重要なことだった。ダグラスは、他の人種も同じ人間だということを白人に気づかせ、新たな見方や、感じ方をするようにさせる力が写真にはあると信じていた。

例をあげると、アメリカ初の黒人上院議員、ハイラン・ローズ・レヴェルズの支持者だったダグラスは、レヴェルズの肖像画を見れば、「人々の偏見がどうであれ、この男が、ミシシッピ州の上院議員であることを認めなければならない」と述べた。私はフレデリック・ダグラスが、社会的変化をもたらすために、自分のパブリック・イメージをどのように使用したかについて、語ることができて嬉しく思っています。ここには、マイケルジャクソンに繋がる魅力的な話がいくつかあると思う。


リシャ:そうね! フレデリック・ダグラスを議論することは、マイケル・ジャクソンの仕事の重要性を説明するのに大いに役立つと思うわ。


ウィラ:特に自らの名声や、徐々に進化していったパブリック・イメージを、彼がどのように利用したか。ダグラスは、マイケル・ジャクソン、写真、パブリックイメージ、アメリカ大統領・・・について話を始めるのに便利な出発点になるんじゃない。


リシャ:フレデリック・ダグラスのように、マイケル・ジャクソンはイメージがもつ破壊的な力を理解していた。これは、彼が米国大統領とどのように交流したかを見れば、特に興味深く意義があると思う。


ウィラ: 例えば、ダグラスはリンカーンの就任式に出席しました。彼は、アメリカの大統領のゲストとして撮影された初めての黒人の中の1人だった。 これは、リンカーンの2回目の就任式のときの歴史的写真。



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リンカーンは表彰台に立っていて、赤い丸で囲んでいるのが、ダグラス。ダグラスはいつも非常に慎重で、落ち着いて堂々としたやりかたを公の場で通していた。この写真のように、遠景でまわりも混沌としている中でもそれがわかるわね。


リシャ:素晴らしい写真ね。 私はそういうものが存在していたかどうかも知らなかった。 今、1865年の写真に、マイケル・ジャクソンが、レーガン大統領と夫人と一緒にホワイトハウスの庭を歩こうとする、1984年の写真を並列させてみると・・




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ウィラ:興奮するわよね! こんな風に2枚の写真を比較できるなんてね。フレデリック・ダグラスが120年前に立っていた場所に、マイケル・ジャクソンが立った。 ホワイトハウスにいる、フレデリック・ダグラスと、南北戦争終結時のアブラハム・リンカーン。そして、アメリカで最も成功し、影響力のある男性の1人である、マイケル・ジャクソンと、ロナルド・レーガン。ホワイトハウスでは、120年の間に多くのことが変わった。

この2つの写真は、120年という長い時間の両端に存在するもので、ともに強力な文化的瞬間を記録している。マイケル・ジャクソンは、ダグラスと同じように威厳のある態度で、自分の役割を果たしきっている。実際のところ、彼は王族のような雰囲気さえ漂わせている。


リシャ:同感ね。 そして、この写真には情報があふれてる。一見すると軍の式典のような雰囲気で、ショービジネスの人らしい輝きや、トレードマークの白い手袋、そして誇り高く、若く、驚くほど裕福なアフリカ系アメリカ人である彼は、自由世界のリーダーよりも輝いて見える!この写真が撮られたとき、マイケル・ジャクソンは音楽業界の常識をひっくり返しただけでなく、同時代の多くのステレオタイプをも揺るがせていた。


ウィラ:いい表現ね。私は、マイケル・ジャクソンが真っすぐ前を見て、レーガンの方が、うやうやしく彼に接して歩いていたことにも心を打たれた。 彼らが一緒にいることで、予想以上の視覚的効果が表れている。 彼らを知らない人が見たら、おそらくマイケル・ジャクソンが政治的なリーダーで、レーガンを補佐官だと思うわよね!


リシャ:まさに。 大胆な力の表現だけど、間違いないわね。 レーガン大統領は、その日の異常な大観衆に対して、「私たち夫婦が、これほど多くの人々を見たのは中国を離れて以来だ! まあ、みんな私を見に来たんだろうね」と、冗談を言った。


ウィラ:それは面白いわ! でも、冗談はときに多くの真実を伝える・・・



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リシャ:マイケル・ジャクソンがすべての注目を集めていたのは確かで、大統領とファースト・レディにとってはかなり異例な経験だったでしょうね。ある記者は、「マイケル・ジャクソンが、その日のワシントンDCで受けたほどの注目や警備や興奮を、国家元首が受けたことはない」と述べた。


ウィラ:結局のところ、私たちの社会は、ますますセレブ文化になってきていて、そこでは、注目されることこそパワーなのよね。そしてその結果、伝統的に理解されているような政治的な領域から、文化/メディア/娯楽の領域へと、パワーが移行しつつある。 また同時に、政治に有名人が導入されている。 レーガン自身は、その変遷の中で重要な人物であり、有名人を一種の政治権力として再利用していた。 彼は元俳優であり、政治的な目的のためにカメラを使用することに非常に熟練していました。


リシャ:ええ、文化批評家の多くは、テレビ俳優から国家元首になったロナルド・レーガンが、私たちの社会にあるパワーの感情的な部分に、いかにアピールしたかについてコメントしている。


ウィラ:それは本当に起こっていることよね。 でも、レーガンの立場とカリスマ性をもってしても、マイケル・ジャクソンは彼を出し抜き、より重要に見える。


リシャ:確かに。レーガンの補佐官のひとりで、今は連邦最高裁判所長官のジョン・G・ロバーツは、あのとき、「ミスター・ジャクソンが来場することで、ホワイト・ハウス職員の一部がこびるような態度を見せること」に対して懸念を示した。彼は、大統領からマイケル・ジャクソンに手紙を送る案が出たときも、それを却下し、「大統領広報局は、マイケル・ジャクソンのPR会社の付属品じゃない」と警告した。ホワイト・ハウスの補佐官が、そういう内容のメモを出すなんて、よほど危険な状態だったに違いないわ。


ウィラ:将来の最高裁判所長官のロバーツが、アメリカの大統領を守るために書いたメモで言っていることだものね。大統領は大きな政治的力を持っている。でも、マイケル・ジャクソンなど、アーティスト、芸能人、有名人は、人々の意見や態度を変える能力を持っている。これは何度も言及したわよね。政治家は一般的に世論に従う必要があると感じている。そういう意味では、人気のあるアーティストが指導者を率いることもある。この時点でのマイケル・ジャクソンの「ソフトパワー」は凄かったし、そういう意味ではレーガンを上回っていたかもしれない。

ところで、マイケルとレーガンの会見について、前に話したところに戻りたいんだけど、これは、1990年のホワイトハウスで、マイケル・ジャクソンが、ジョージ・H・W・ブッシュに会った写真。




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マイケルは、またもや微動だにしないといった感じで、彼の側のいる政治家の方が敬虔な感じね。そして、このジャケットを見て! あなたが指摘した、一見すると軍の式典のような雰囲気は、レーガン、ブッシュと共にこの写真にも浸透している。 これらの写真は、ミュージシャンというよりは、英国王室からの訪問を記録しているみたい。


リシャ:これは、マイケルの写真の中でも大好きな1枚ね。 2012年に、この英国式のミリタリージャケットは、ロンドンのゲッティイメージズ・ギャラリーでも展示されていた。このジャケットは、デザイン、職人の技術、絶妙なディテールなど本当に劇的よね。 写真ではその本当の素晴らしさを表現できないぐらい。マイケル・ブッシュは、この衣装の製作を終えた後、マイケル・ジャクソンがそれを見て、左側に、何か追加したいと言ったことを指摘している。 具体的にいえば、ブッシュ大統領の側の胸に、派手なラインストーンのブローチを置いたこと。ミリタリージャケットでは、人がバッジを見るであろう右側に、バッジやメダルが相応しいと。




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ウィラ:それは興味深い話ね。


リシャ:私はそこに魅了されたの。なぜなら、ここで私たちがここで話していることを象徴するように私を襲ったから。それは、政府が何世紀も恐れてきた芸術による、政治のソフトパワーよね。 マイケル・ジャクソンは芸術家の権力と権威について、絶妙にして、強力なメッセージを作り出し、大衆に影響を与えた。


ウィラ:どう解釈するのか興味深いわ!どこか軍の式典のような雰囲気を醸し出すマイケル・ジャクソンの大きな事例だものね。こういった場合、名誉のメダルは、一般的に職業軍人の場合は左胸に表示されるけど、それを大きく変えるような微妙な変化を作っている。


リシャ:本当に賢いわよね。 歴史的に、軍事的なパフォーマンスは、権力の重要な構成要素で、英国人は特にそれに熟達している。たとえば、英国人がインドを占領したときも、彼らはそれを多く行った。強い力を認識させた精巧な軍のパフォーマンスと、戴冠式は、彼らの支配を維持する1つの方法でもあった。


これは1911年のデリー、ダルバールでの式典におけるジョージ5世と、メアリー女王の写真。



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ウィラ:すばらしい考察と、それを示す驚くべき写真。ここには、権力の象徴となるようなものが余すことなく表現されている。私の目を引いたのは、これだけのパワーや荘厳なショーの雰囲気を生み出すのに、どれほどの演劇的要素が盛り込まれているか、ということ。ここには、演出、舞台装置、手の込んだ衣装、振り付けされた行進、台本をもとにした言葉がある。






リシャ:これらは、素晴らしい舞台の要素をすべて含んでいる。


ウィラ:確かにね。 マイケル・ジャクソンのレーガンとブッシュとのホワイトハウス訪問と同じような舞台感覚。演劇としての演出を見ているようね。


リシャ:そして、これが壮大な舞台のように見えるのは、偶然ではない。 マイケル・ジャクソンは、レニ・リーフェンシュタールの「意思の勝利(Triumph of the Will)」のような映画を通して、軍事パレードや、舞台効果について研究していました。ヒストリー・ティーザーでの、アドルフ・ヒトラーのパフォーマンスの使用については、ここで記事にしたわよね。


それは素晴らしい内容だったけど、HIStoryアルバムのライナーノートに描かれた軍服のまた別の話として、これはロンドンで最も古い、最高のミリタリージャケットのテーラーの1人によって、マイケルのためにカスタマイズされたものなのよね。



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ギーブスとホークスの手によるテールコートは、世界で「ハンド&ロックハンド刺繍の最高品」の1つと言われている。 現存する最高級の英国の軍服のうちの1つが、イギリスの軍隊や王族に属していないというのは魅力的な話よね。それは、マイケル・ジャクソンのものなんだから。


ウィラ:それは結構な皮肉よね?


リシャ:ええ。 マイケル・ジャクソンが、芸術、映像、衣装、舞台を通じて、どのように力を行使できるか、とても慎重に考えていたことは間違いありません。


ウィラ:たしかに。私たちは、英国のロイヤルティとその芸術、イメージ、衣装、舞台芸術について、彼が勉強していたことを知っている。マイケル・ブッシュは、彼の本『キング・オブ・スタイル:衣装が語るマイケル・ジャクソンの世界』でこれについて繰り返し述べている。そして、マイケルは、政治権力によるこういった大きなパーティーにつながっているように見えました。たとえば、ブッシュの著書では、


「マイケルは、英国の伝統と軍事史に魅了されていて、マイケルのお気に入りの格言のひとつは予想もしない人物のものです。「人は、こんな安ピカなものに操られる生き物だ」。ナポレオンは自分の兵士たちに褒美として与える勲章の意義をそう説明していました。ヨーロッパ公演の最中、マイケルは必ず各国の城や古都を訪れて、博物館に展示されている王や王妃たちの肖像画をうっとりと眺めていました。バッキンガム宮殿でも、ロンドン塔でも、国会議事堂でも、マイケルは壁に掛けられた肖像画を熱心に鑑賞し、すべてを吸収していった。華やかさ、魅惑的な美しさ、勲章と名誉のしるし、王族や指揮官を実物より堂々と立派に描く手法・・・そういったもののすべてに、マイケルは強く惹きつけられていた。(P8)


リシャ:それは素晴らしい格言ね! 実際、トンプソン&ブッシュのデザインによる、マイケル・ジャクソンの最後の衣装は、それを非常によく示している。 私は本当にこのデザインが正しいと思う。それは、彼の人生をかけた仕事をどれほど美しくまとめていることか。



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ウィラ:そうね。特にこのジャケットは、ブッシュが、マイケル・ジャクソンのお気に入りと言っていたジャケットを元に作られているから。それは、あなたが以前言ったように、非常に「男性的」なミリタリースタイルと、「女性的」な真珠とブローチを組み合わせた、素晴らしい再解釈よね。 私は、ブッシュが葬儀の前に、このジャケットでマイケルをドレスアップしたことを読んで、とても心が動かされた。


リシャ:私も。マイケル・ジャクソンにとってこれ以上完璧なスーツを想像することはできない。そんな重要な話を中断するのはいやなんだけど、でも、パワーの表現として、身につけているものや勲章について、私が話したいのは、ジョン・レノンがプレス・インタビューで、おそらくは、ファッションの表現として、バスの運転手のバッジをつけたときのこと。それは勲章が本当に意味するものについて、すべての考えを検証しなくては、と考えさせられます。彼はそれについて尋ねられたとき、バスの運転手のバッジだと言っていて、実際に彼が「バスの運転をしていた」ことを意味していた! それは人々に、自分の力と、権威を表現する方法を見つけ出すうえで、芸術的な方法だと思う。また同じようにエルヴィスも、ファッションや、勲章や、権威の表示に魅了されていた。


ウィラ:ええ、それは聞いたことがあるわ。 彼が1970年12月に、リチャード・ニクソンとの会談を要請したのは、勲章を求めてのことだったと。


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リシャ:これは、そういった意味で魅力的な写真ね! マイケルジャクソンが着用したベルトのいくつかに、彼のベルトがどれほど似ているかがわかるわ。それにしても、これが、合衆国憲法を含む国立公文書館で、最もリクエストされているものだって信じられる?


ウィラ:本当? それは知らなかった。よく知られているように、この写真はエルヴィスが発表したくないという理由で、長い間隠されていた。 スミソニアン誌の記事によると、エルヴィスは(銃や違法なドラッグのようなものを持ち込もうとしたとき、税関を通り抜けることを阻止するための)麻薬および危険薬物局の勲章を求めて、この会談を行った。ただ、これはマイケル・ジャクソンのレーガンや、ブッシュとの象徴的な会合とはまったく違う権力への理解を示している。 エルヴィスは、大統領が自分が望む何かを与えることができる強力な人物として、ニクソンに会えるように頼んだ。 それは王座に近づき、王様から特別な品物を要求するような、伝統的な権力への見方よね。


リシャ:そのとおり。ニクソンは、エルヴィスが欲しがったので、BNDD(Bureau of Narcotics Dangerous Drugs)勲章をあげようとした、というのが私の理解。


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でも、マイケル・ジャクソンがレーガン大統領と会ったときは、あなたが示唆するように、力のダイナミックは、別の場所にあった。 マイケルが大統領との会見を求めるのではなく、彼と接触したかったのは、レーガン政権だったし、エリザベス・ドール運輸長官は、公聴会で「ビート・イット」を使用する許可を得たかった。






ランディ・タラボレッリによれば、当初マイケルは興味がなかったが、ホワイトハウスが彼の名誉授賞式を行うことに同意したことで、心変わりしたのだと。


ウィラ:そう、もしそれが本当であれば、あなたが以前に言及したように、インドの植民地時代に、英国王室が帝政尽くしのパフォーマンスをしたように、彼はこの瞬間の儀式的な側面について、かなり意図的に考えていたことを示唆しているわね。そして、まさに重要な点は、エルヴィスは、大統領との写真を公開することを嫌がったけど、マイケルは公開した。 実際、そういった視覚的なイメージを広めることが、彼にとって重要なポイントだったようね。 彼は、カメラにどうやって撮られるのか、これらの写真がどのように公開されるのかをよく知っていた。 彼は、特別大使のための勲章ではなく、力を表現するのは、そのイメージなのだと認識していた。


リシャ:それが正しいと思う。ホワイトハウスの式典は、それ自体がマイケル・ジャクソンに与えられた報酬だったけど、エルヴィスの場合はそうではなかった。大統領の日々のスケジュールを、細心の注意を払って撮影しているホワイトハウス専門の写真家がいなかったら、エルヴィス/ニクソンの写真は、保存されていない可能性もあった。大統領の瞬間が、いつ歴史的に重要になるかを事前に知ることは不可能なので、写真家は、ほぼすべてを記録している。 オバマ大統領は「ナショナルジオグラフィック」誌に、そういうことには慣れたと語っていたわね。事実、いつ何時でも、常に大統領は撮影されている。



National Geographic: The Obama White House Through The Lens [1/4]

(4:30~ ホワイトハウスの写真家ピート・スーザについての部分)






ウィラ:以前その映像を見て、オバマ大統領の言葉に衝撃を受けたわ。彼はこう言った。「絶え間なく観察されていることは、このオフィスを使用する誰にとっても、非常に難しいものがある」と。私はそれは本当のことだと思う。そして、「絶え間ない観察」は、マイケル・ジャクソンの成人期すべてで対処しなければならなかったもの。 しかし、レーガンやブッシュ大統領との会談のようなとき、彼は、伝えたいと思った劇的なイメージのために、何をすべきかを知っていた。


リシャ:私は、大統領が絶え間なく観察されていることは、マイケル・ジャクソンが社会へと踏み出す度に経験したことと非常によく似ていると思う。 ただ、私はマイケル・ジャクソンがこれを「gesamtkunstwerk」(*1)の一形態として、より大きな芸術作品となることを学んでいたと思うわ。


ウィラ:同感。彼が、有名人である自分を、新しいジャンルの芸術として考えていたことは間違いないと思う。 マイケル・ジャクソンが、ホワイトハウスを訪れたとき、あなたが以前に説明したような「一見すると軍の式典のような」舞台を意図的に設定していたこともね。だから、エルヴィスと、ニクソンの会談(特別任務の勲章を与えることで、力を示している)と、マイケルと、レーガン、ブッシュとの会談(マイケルの象徴的なイメージが世界に伝えられている)でのパワーの違いは興味深いわね。


大統領とミュージシャンの別の会合といえば・・・ニクソンがエルヴィスと会った2年後、彼はジェームズ・ブラウンとも会った。写真はエルヴィスの写真と非常によく似ている。 実際に、彼らは同じ場所に立って握手している。




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あらためて思うけど、パワーというものは、本当に面白いわよね。後々、レーガンの側近がマイケル・ジャクソンに連絡したのと同じように、ここでは、ニクソンの側近がジェームズ・ブラウンを捜して、彼に支持を求めている。






想像できることだけど、ジェームズ・ブラウンはこれによって厳しく批判された。でも、彼は、批判されればされるほどニクソンを支持するようになったのよね。


リシャ:エルヴィスのように、ジェームズ・ブラウンは本当にニクソンを尊敬し、彼にとっての重要な問題で、ニクソンの立場を高く評価した。 多くのアーティストがそうであるように、彼はニクソンの政治運動を助けるために、有名人としての文化的な影響力を使った。でも、それはマイケル・ジャクソンがやったこととは違う。


ウィラ:そう、マイケルが絶対にやらなかったことね。 彼は政治よりも芸術の方が強いと思っていて、複数の機会にそれを語り、彼は自分のアイデアや信念や感情を、自分の芸術を通して表現することを選んだ。


リシャ:そうね。それはかなり慎重だった。 それと、ジェームズ・ブラウンがこのインタビューで、党派性ではなく、同郷人を重視していたことも思い出された。 私は、彼がそれを表現しているところに好感をもったわ。


ウィラ:私も。


リシャ:私はまたもや、マイケル・ジャクソンが自分の哲学をどのように描いてきたかに感銘を受けた。 マイケルは、2回連続で共和党政権に表彰された後、次の民主党政権で再び重要な役割を果たし、ビル・クリントン大統領の就任演説ではパフォーマンスを行った。(*2)


ウィラ:そうね。それと、ジミー・カーターと会ったのは、彼が辞職した後だった。 事実、ジミー・カーターはネバーランドにも訪れている。 マイケル・ジャクソンとアメリカの大統領について、私たちは、次の記事でそれについてもっと話をします。


リシャ:まだ、続きます!


source : https://dancingwiththeelephant.wordpress.com/


訳者註__________


(*1)「理想的で普遍的な芸術作品や、包括的なアートワークを含む総合的な芸術形態に対して使われる美学用語。元はドイツ語だが、英語に受け入れられた。


(*2)1993年、クリントン大統領就任祝賀祭典でのパフォーマンス。マイケルはGone Too Soon」という歌の前に、血液製剤の輸血治療により13歳でエイズに感染し、学校から追放された後、エイズに関する広報活動に広く関わってきたライアン・ホワイトの死を悼み、エイズ患者への支援を訴えた。このときの動画は、次回のパート3で紹介します。



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by yomodalite | 2017-02-01 17:00 | ☆MJアカデミア | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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