大統領の政治(1)マイケルとドナルド・トランプ

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「Dancing With The Elephant」の記事の和訳です。

永年のマイケルファンである、英文学博士のウィラと、プロのフルート奏者として30年のキャリアをもち、演劇公演のプロデューサーでもあるリシャによる、マイケルと米国大統領をテーマにしたシリーズ記事で、初回は、大統領選が決着前の2016年9月末、一番最近のパート3は、トランプ勝利後の2016年12月で、このあともまだ続くようですが、


まずは初回から。


Presidential Politics, Part 1: Michael Jackson and Donald Trump

大統領の政治(1)マイケルとドナルド・トランプ


リシャ:さて、今年は米国の大統領選挙の年、それはいつもよりはるかに騒々しいものになっていて、本当に私の頭を傷つけるような何かが起こっている。 ウィラ、あなたはこの選挙に関連してマイケルジャクソンの名前が何回出てきたか気づいたことがありますか?

ウィラ:あるわ。


リシャたとえば先週、プロモーターのドンキングがトランプ氏を紹介したときのことがことが記事になったわね(→)。物議をかもした彼の発言はこんな感じ。




「俺はマイケルジャクソンに言ったんだ、おまえが貧しいなら、貧しい黒人(negro)だ。そのときは、あえて差別用語(N-word)を使ったんだが、おまえが富裕層なら、豊かな黒人だ。 知性があって、知的であれば、知的な黒人。踊ったり、滑るように歩いたり、腰を振っている黒ンボ(nigger)なら・・いや、黒人(negro)だったな(笑)。おまえは、踊ったり、滑るように歩いたり、腰を振る黒人だ。自分だけはちがうと思っちゃいけない。白人に同化するなんてできないんだから。わかってるよな、お前は死ぬまで、黒人なんだからな」

ウィラ:マイケル・ジャクソンが生きてたらこうするだろう、こうしないだろう、と推測するのはいつも躊躇するのだけど、ドン・キングのコメントにはやっぱり感謝しないだろうと、私は思う。これを聞いてすぐ思い出したのは、ビクトリー・ツアーの最後にドン・キングが言ったこと。


「マイケルがわかっておかなければいけないのは、彼が黒んぼ(nigger)だということだ。どんなにすばらしい歌やダンスができても関係ない。彼が陽気に誇らしげにふるまうのもかまわない。世界的メガスターのひとりなんだから。でも、あくまでも黒んぼのメガスターだ。彼はそれを受け入れなくちゃならない。それを理解して、受け入れ、黒んぼでいたいんだ、と示さなくちゃならない。なぜか?黒んぼもメガスターになれる、っていうことを証明するためだ」


リシャ:ああ、それはランディ・タラボレッリの本に書いてあったことよね? ドン・キングはまさにそういうことを言ってたのね!


ウィラ:ほぼ、同じことを言ってるわよね? そして、マイケルジャクソンは、ドン・キングの言葉について、訴えようと思うぐらい怒っていた。 マイケルは、弁護士のジョン・ブランカにこう言ったそうよ、「そいつは、初日以来ずっと僕の神経を逆撫でしている」


リシャ:不思議なんだけど、ドン・キングはマイケル・ジャクソンを本当に叱責したの? それとも、彼はアメリカ文化の人種的分離についての重要な点をついていた? タラボレッリは、他のビクトリーツアーのプロモートに、マイケルが同意しなかったことで、キングが腹を立てていた、と。 私はその意見には同意できないけど。最近のキングのコメントを考えるとね。


ウィラ:あるいはその両方かもね。 私は、ドン・キングは、アメリカの黒人と白人の間には橋渡しができない分野があるのだと言っているのだと思う。マイケル・ジャクソンが、その断裂を乗り越えることができると信じているなら、愚かだと。


Lisha:そうね。ドン・キングが言ったように、「自分だけはちがうと思っちゃいけない。白人に同化するなんてできないんだから」ってことね。ジャーメイン・ジャクソンの本『You Are Not Alone:Brother's Eyes』には、この話について別の説明があって、ジャーメインによる、ドン・キングの発言はまったく異なる文脈でなされたことを思い起こさせる。彼の記述は次のとおり。


ドン・キングは、機転や駆け引きによって評価されたのではなく、自分の巨大なエゴによって、プロモーターになった。彼はすごく効果的だった。「大口たたき」のドン・キングと「静かな男」マイケルとのやりとりを見て、人は「やっかいなおじさんを持った若者が、しょうがないなぁと思いながらおじさんを面白がってる」という風に思うかも知れない。僕たちがショーの方向性について話し合い、会議に出席していたときのことは忘れられない。マイケルは、ファンにどんなお返しすればいいかとか、彼らを元気にし続けたいと話していた。ドン・キングは、「マイケル!」と、そこに割って入り、まるでひとりごとを言うように、

「これを忘れるな。おまえが金持ちの黒ん坊(nigger)か、貧しい黒ん坊か、ふつうの黒ん坊であるかどうかは重要じゃない。おまえがどんなにビッグになっても、この業界はまだおまえを黒ん坊のように扱うということなんだ」

と言いました。言い換えれば、お前はいつまでも音楽業界の奴隷だと言うことです。部屋にいた誰もが固まりました。音楽業界の人は誰もが人を煙に巻くものだけど、ドン・キングは、直裁に厳しいことを言ってのける。でも、それに最初に笑ったのはマイケルで、その後も静かに聞いていた。彼はそれを面白いと感じたようで、怒ることはなかった。僕たちも怒らなかった。インディアナ州ゲイリーで育った人間にとって、黒人が黒人にそんな風に言うのは、別に珍しいことではなかったからね。(P243-244)


ウィラ:ああ、それは根本的に異なる解釈ね。 タラボレッリとジャーメインの異なる解釈を並べてみるのは注目に値する。 同じ話が聞く者によって、劇的に異なる方法で認識され、解釈されるかを如実に示している。


リシャ:そうね。 ジャーメインは、ドン・キングが音楽業界の人種差別主義について重要な点を指摘していると思っているようね。彼の兄弟もそれを理解していると感じるわ。


ウィラ:まあ、それは本当に重要な区別よね。状況に対して、非常に異なる視点を投げかけている。 でも、マイケル・ジャクソンの本当の気持ちを知るのは難しい。 彼は人種と人種差別について率直に話し合い、ジャーメインが言ったように、キングのコメントに感謝していることも示唆したけれど、Victoryツアー中、ドン・キングが自分に話しかけてくれることを望んでいなかったこともきちんと証明されている。 実際、彼は、「ドン・キングが、事前の許可なく、マイケルのために誰とでも話し合うことを禁じる」という書面による命令も出している。


それ以前も、マイケル・ジャクソンは、ドン・キングが、Victoryツアーのプロモーターとして雇われたことを望まないことを明らかにしている。 しかし、彼の父親と兄弟は、大きな報酬を約束したことで、ドン・キングを支えた。 それによって、マイケルの意見は却下され、ドン・キングが雇われることになったんだけど、最終的にマイケルがが正しかったことも証明された。ドン・キングには、Victoryツアーを運営するような経験はなかったのよね。 ただ、こういった歴史をとおして、ジャーメインがどのように物事を描写するか、ある程度は想像できるわね。 彼は表面的な緊張状態にもかかわらず、実は、マイケルはドン・キングを気に入っていたと言っているようで、それは真実かもしれない。


リシャ:同感。 それでも、私はドン・キングが言っていることが確かだとは思わない! 想像だけど、ボクシングと、コンサートのプロモーションとは、かなり遠いので、ドン・キングが、Victoryツアーに取り組んだとき、彼の読みは外れていたと思う。 でも、アメリカ文化と、ビジネスが交差する方法についての発言には、役立つこともあったと思う。そして、それは、ドナルド・トランプのために彼のフィールドで、キングがしていることなんだと思うわ。 彼は声明で、トランプに対する自分の支持は、女性と、黒人に対する不平等に基づいた制度のため、アメリカの政治システム全体が破壊され、再建される必要があるという信念に基づいていると強調している。


ウィラ:差別用語に関する論争にまぎれてしまったけど、それこそが彼の言いたかったことよね。N-wordはマイケル自身も「This Time Around」で使っているしね。二人ともその言葉を、人種とそれに対する認識、という問題に目を向けさせるために使っている。この場合の、差別用語自体は問題ではない。ドン・キングが示した人種差別主義について強い声明の中には、残念ながら、真実がたくさん含まれていることに私は同意します。


でも、マイケルジャクソンが何をやっても、音楽業界の人々も、そして、一般的にはもっと、常に、人種差別のレンズを通して、彼を有色人種の人間として見るといった人種差別はあいかわらずで、 マイケルはそれに強く反対すると思います。彼は人種差別について、特に、年を重ねてからは、より強く発言していましたが、それは、彼の芸術と、独自の文化的地位が、人々の信念や見方を変えるかもしれないという確信のもとになされていた。彼は、芸術を変革の強い力と見ていました。私は、彼が根強い意見や、偏見に挑戦することで、人々の心と精神に永続的な違いをもたらすと熱く信じていたと思います。


リシャ:すべて同感。 マイケル・ジャクソンは、大きな反発に直面したとしても、文化的規範を受け入れることを断固として拒否し、アメリカ社会に強力な影響を与えました。 多分、私たちが理解しているよりもはるかに多く。ドン・キングは、マイケル・ジャクソンを落胆させるより、むしろ、彼が交渉するように依頼されていた、まさに、その限界に逆らうことを励ましていたのかな。


ウィラ:それは面白い問いかけね。「踊って滑るように歩く黒人」以上のものではないということを受け入れろ、というドン・キングのアドバイスは、彼が間違っていることを証明する野望を、マイケルに与えただろうと想像することもできるわね。


リシャ:まさにね。 私はそれ以外のことを想像することができないわ。でも、この選挙でマイケル・ジャクソンを使ったのは、ドン・キングだけじゃない! トランプ自身も、マイケルとの友情について、人々に知らせようとしているし、マイケル・ジャクソンが、実際に、文化をどんな風に推進しているかについては、以前私たちも話したわよね。 たとえば、ロイターの、ジョナサン・エルンストによる写真は、ドナルド・トランプ氏が共和党予備選で勝利したこと関する記事とともに掲載されている。


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トランプのサポーターの1人が、この写真にサインを求めたみたいね。 でも、それにサインして返す代わりに、トランプは振り向いて誇らしげにそれを報道機関に見せた。 これには、打ちのめされたわ。 ちょっと、どのぐらい自分にすごいパワーがあるか見てみますか?マイケルジャクソンと付き合っていた証拠だよ!っていう感じよね


ウィラ:それを解釈するのは興味深いわよね、私はあなたが何か気づいているんだと思う。 結局のところ、彼は翌日、アンダーソン・クーパー(CNNのキャスター)に「マイケル・ジャクソンは実際に私の友人だった」と語っている。






リシャ:つまりね、トランプ氏は、自分は大統領候補者として真面目に取り上げられるべき人間だ、という宣伝の一環として、マイケルジャクソンとの友好関係についてわざわざ話したのよ。


ウィラ:ええ、私もその意味を理解しようとしてた。そのインタビューで、トランプ氏は、マイケル・ジャクソンが事実、自分の世界に興味を持っていたことを強調している(*1)。彼がマイケル・ジャクソンについて言うことの多くは、私と一致しないし、トランプ氏が、マイケルについて語っていること(彼が語ったのは、ふたつとも別の時代)を聞いていると、マイケルをそれほどよく知っているわけではないこともわかる。でも、彼が、親密な友好関係を熱く主張していることに、私は心を打たれた。

あなたが言うように、おそらくそれは選挙のためであり、彼がビジネスマンというだけでなく、ポップカルチャーに触れ合っていることを示す方法かもしれない。結局のところ、トランプはポップカルチャーの力を大いに尊敬している。このひとは、14年間「アプレンティス」という番組に出演していたし、ラトーヤ・ジャクソンを紹介したショーは、カジノ、航空会社といった彼の全帝国が崩壊した後、それを償還するために使用された。現在の彼は、不動産界の大物ではなく、有名人であり、彼の財産は、その資産よりも、名前の方にある。そういった人間は、マイケル・ジャクソンのような有名人の力を大切にするでしょうが、私は、彼が、人やアーティストとして、マイケルを理解したとは言えないと思う。


リシャ:素晴らしいわ。 トランプ自身の言葉は、マイケル・ジャクソンをよく知らないということも同感。 兄のジャーメインもそれについて話していたわね(→)


ウィラ:そうね、ジャーメインはインタビューの後、ツイッターで「マイケルの名前を利用するあなたを良いとは思わない。あなたは選挙に勝てないでしょう。特に偽りの事実を使用するなら」と。


リシャ:ジャーメインは、マイケル・ジャクソンがトランプを支持しなかったということにも躊躇しなかった。(→動画) ただ、マイケル・ジャクソンの興味深い点のひとつは、彼が、政治的に多くの異なる範囲の人々に、好感をもたれたことです。


ウィラ:それは確かね!マイケルが永年トランプ氏を知っていたことも本当のことだしね。 たとえば、彼は1990年のタジ・マハル(トランプ氏所有のカジノ)のオープニングパーティーの間も、彼のそばにいました。






リシャ:ドナルド・トランプについてのさまざまなレポートの中で、私はこの動画を何度見たかわかりません。 彼が成功のひとつの尺度として、マイケル・ジャクソンの関心をどのように引きつけたかについては注目に値します。 タージ・マハルのイベントについて、最近、アレックス・コノック(イギリスの放送局の重役)が、「The Spectator(英国の政治雑誌)」に魅力的な記事を書きました。 (→)彼はトランプのカジノ開店時における熱狂的なマイケル・ジャクソンを描いています。


「クレオパトラが甦ったり、アメックスのゴールドカードを使ってチェックインしても、マイケル・ジャクソンが到着したときの歓迎の様子は、レセプションでの興奮以上のものだった」


失礼ではあるけど、私はこの説明が、そのシーンを完全に捉えていると思う!コノックは、マイケル・ジャクソンが掲載された「National Enquirer(セレブを扱うタブロイド誌)」で、トランプがマイケルとプライヴェートジェットで移動したとき、彼らと一緒に乗っていたことも書いています!



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ウィラ:それって面白くない? 「National Enquirer」を読みながら、マイケル・ジャクソンとドナルド・トランプがふたりで座っているなんて想像できますか? それはあまりにも面白いわ! トランプについての記事の中で、彼らはそれを読んで話していたと書かれているわね。 コノックが写真を撮っていてくれたら良かったのに ...


リシャ:ええ、彼もそうだったでしょうね! でも、彼はカメラで写真を撮るにはあまりにも恐れ多かったと。 あなたは「Enquirer」を読んでいるトランプとマイケル・ジャクソンの写真がどれだけ価値があったか、想像できる?


ウィラ:最近、私たちは、そういうものをたくさんのことを見ているわよね!マイケル・ジャクソンが、何年もトランプタワーにアパートを持っていたという話も聞きました。 あなたはそれについて何か知ってる? それが本当なら、彼らは時々会うこともあったでしょうね。


リシャ:私は最近までそんなに多くは見ていなかったけど、(マイケルがもっていたとされる)そのアパートが売りに出されていて、すてきな写真がいくつか掲載されているのは見たわ。富と有名人の文化的なアイコンでもある、2人の男が一緒にぶらぶらしていたという考えは、間違いなく何らかの興味を生み出している。


ウィラ:そうね。マイケル・ジャクソンがトランプと一緒に過ごす時間を楽しんでいたのは、ある程度は理解できる。 彼は間違いなくカラフルな人間だもの。P.Tバーナムのようなものよね。マイケルジャクソンも間違いなく多彩なキャラクターに描かれていた(→)


リシャ:すべての宣伝が、良い宣伝であるというトランプの主張を聞くたびに、もしかしたら、マイケル・ジャクソンが、トランプ氏に、P.T.バーナムのような方法を教えたんじゃないかって思うんだけど!


ウィラ:私もそう思うわ!( yomodalite:私もーーww)


リシャ:トランプはいろいろな面でショーマンです。近頃は、大統領選のためにそれが便利なようです。 あなたは共和党全国大会でトランプの劇的な登場シーンを面白くしたジミーファロン(米国のコメディショーの司会者)のパロディを見た?






ウィラ:見たわよ! 「Smooth Criminal」のセグメントは素晴らしかった!


リシャ:私は、もうすべてをぶち壊されたって感じ!


ウィラ:でもね、ここは大事だと思うんだけど、何年かの間ドナルド・トランプと付き合いながらも、数年前に、MJアカデミア・プロジェクトが指摘したように、マイケルは『Money』という曲で、彼を微妙に批判しています。『Money』では、無慈悲で、非倫理的な大物のリストがあげられていて、彼はそのリストにトランプの名前を入れている。曲は全体的にお金に対する愛への厳しい批判であり、それはこのように始まる。


金,金

お金のために嘘をつき

お金のためにスパイをして

殺すことも

殺されることもある


それは「信用」だって、君は言うだろうけど

僕に言わせれば

それはただの悪魔との駆け引きで

物欲と肉欲があるだけ


彼らはなにも気にせず

お金のために僕を利用する


教会に行って

聖書にの尊い言葉を読んでいても

それは処世術に従っているだけ

バカげた話さ


彼らはなんとも思ってない

お金のためなら人を殺すことだってするし

お金のスリルを楽しむのさ


君は国旗に忠誠を誓い

国も君を信用し

君は勲章を身につけ

エリートと呼ばれ

君は戦うことになる

兵士の義務のようにね

僕は、君を裏切ったり

友達をだましたりなんてしない。でも・・


もし、君がお金を見せてくれるのなら

僕は受け取る

泣けと言われれば、泣くふりをするし

握手を求められれば、喜んで応じる

人は金のためならなんでもするんだ


(訳:yomodalite。全訳はこちら→「和訳 Money」)


厳しい告発よね。 そして、3:18 からのバックグラウンド・サウンドを慎重に聞くと、


「もし、金が欲しいのなら、尊厳をもって稼げ」そして、そうしなかった強盗集団のリストとして、ヴァンダービルト、モルガン、トランプ、ロックフェラー、ヒンデ(*2)、ゲッティ、ゲッティ、ゲッティ、... "


リシャ:このセグメントは、国家の歴史のなかで、最も無慈悲で非倫理的なビジネスマンの名前の羅列です。 あなたが言ったように、彼らはしばしば泥棒伯爵と呼ばれ、その言葉はお世辞ではありません。 それは最初、罪人と貴族の両方としてコーネリアス・ヴァンダービルトを批判するために使われました。 悪徳資本家は、彼らの略奪するようなビジネスのやりかたで軽蔑されましたが、彼らの力と富のため、多くの名声も持っていました。例えば、ロックフェラーの名前は、特権と富と同義でもありますが、当時、ジョン・D・ロックフェラーは、アメリカで最も嫌われていて、彼は、ネガティブな宣伝に対抗するために、初めて、広報担当者を採用しました。


ウィラ:それは本当に面白いわ、リシャ。 私は今までそれを知らなかったけど、マイケルが "Money" で、彼を呼び出すのは不思議じゃない!私は、 "Money" の名前のリストが、 "Getty、Getty、Getty、..."の繰り返しで終わっていることにも気づかされた。J. Paul Getty は、石油でお金を稼いで、かつて、アメリカで最も裕福な人だった。 数十年後、彼の孫のマーク・ゲッティは、ゲッティ・イメージズを創設するためにその遺産の一部を使用しました。ゲッティ・イメージズには、マイケルの多くの象徴的な写真と、スキャンダラスなものの両方が含まれている。


リシャ:そのとおり!ゲッティは繰り返されています。 ゲッティ・イメージズが、マイケル・ジャクソンの多くの写真の権利を所有していることを考えれば、偶然ではないわよね。


ウィラ:偶然には見えないわね。 トランプ氏の名前がリストに載っていることも重要だと思う。 私はマイケル・ジャクソンが本当に彼を尊敬したり、彼に大きな愛情を持っていたなら、彼をリストに含めたとは思わない。


リシャ:面白いわね、そうなんじゃない? つまり、影響力という上では、リストに載っている他の企業家や金融業者に比べ、トランプは小者だと思う。 だから、彼らの影響力や社会的卓越性よりもむしろ、これらの人々が富を達成するのに悪徳的なやり方に関するものなんじゃない?ドナルド・トランプの妻、メラニアは、アメリカの超富裕層1%に対応する雑誌「DuJour」とのインタビューで、マイケル・ジャクソンの言葉を引用しました。ローリングストーン誌もまた、マイケルジャクソンと、彼女の魅力的で親密なディナーパーティーについて説明することで、インタビューにコメントしました。 彼女は本当に特権的でパワフルな生活様式に慣れているという印象です。


ウィラ:面白い話だったわよね。 彼女の記憶が正しければ、マイケル・ジャクソンは、彼女と気楽につきあっているように思える。彼女は、「私たちは、意気投合し、楽しい時間を過ごしていた」って。(*3)


リシャ:それはとてもチャーミングなストーリーよね! そして印象的です。 誰もがマイケル・ジャクソンに対して、そのようなアクセスを持っているわけではありません。


ウィラ:それが本当のことなら、彼女が、マイケル・ジャクソンに会った頃は、誰もが彼に会いたがっていなかった。正確なタイミングは分かりませんが、そのエピソードは、2005年1月にドナルド・トランプと結婚した後だったことを意味しています。おそらく、2005年の裁判の後や直前は、マイケル・ジャクソンの公的イメージは最底辺にあり、多くの人が、彼が有毒であるかのように扱っていたと思う。トランプに対して、私は、マイケルジャクソンの人生の中で、最もひどい時代に、彼らの家に招いていたのだと言わざるを得ません。


ここには、ドナルドとメラニア・トランプが、マイケル・ジャクソンのことを語っただけでなく、マイケルの名前を使った動機、そして、亡くなった後のマイケル・ジャクソンのイメージの回復といったすべての状況が含まれている。トランプは、大衆の意見に密接に同調しようとする傾向があります。たとえば、彼は、イラク戦争が大衆に支持されていたときは、それを肯定し、支持が少なくなると、それに反対しました。そして、現在、彼はそうした記録が残っているにも関わらず、ずっとそれに反対していたと主張しています。


トランプが2008年の大統領選に出馬していたら、彼は「非常によい友人である」マイケル・ジャクソンのことをそれほど自慢しなかったでしょうね。今、彼がそうしているという事実は、マイケル・ジャクソンのイメージが、2009年以来、ずいぶんと変化していることを示す強力な指標になっているわね。


リシャ:重要なポイントね。


ウィラ:でも、マイケル・ジャクソンに対する今の一般的な認識はどうなっているのかな。トランプは彼をどう見ているのか。そして、彼と自分を一緒にすることによって、何を得ることを望んでいるのか? そういったことが、私が疑問に思っていたこと...。



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あなたと、スーザン・ウッドワードによる、少し前の洞察的な会話を思わずにはいられない。あなたたちは、マイケル・ジャクソンがあれほどのネガティブ・キャンペーンにさらされるなかで、影響力の本当の意義をどのように伝えようとしたかについて話していたわね。トランプはいま、あそこで話されていた「影響力」や、マスコミは時に不公平で誤解を招きがちだという「語り」を自分のものにしているみたい。トランプはフォックス・ニュースにこう語っている。


マイケル・ジャクソンが亡くなった時を思い出す。私はマイケルと友達で彼のことをよく知っていた。あのとき、みんなが彼についてコメントしていたけど、私は思ったね。えー、この人たちマイケルのこと知らないじゃないかって。でも、そんなもんだよ。政治の世界はすごく奇妙なところだけど、みんなそこに入って、いろんなことを言いたがる。政治家は、自分が何をしゃべっているのかよくわかってない。私はそれを見逃さない。そしてよく聴いてるんだ。


ウィラ:そうね。 メディアは、ドナルド・トランプとマイケル・ジャクソンの長い間の会話の話題に偏っているわよね。例をあげれば、前に触れた1990年に「National Enquirer」を一緒に読んでいたときのようなこと。

リシャ:私はその会話を聞いて、思い出したことがあります。 マイケルのネバーランド・ランチの大半を所有しているトム・バラックは、トランプのトップ経済アドバイザーの1人に選ばれています。 実際、共和党全国大会でトランプと娘を紹介したのはバラックだった。


ウィラ:本当? 私はそのつながりについては知らなかった。 それは私にはショッキングね。それについては説明することができないから。


Lisha:MJエステートがネバーランド・ランチの売却計画に「悲しんでいる」という声明を出したことを考えれば、それは私にとって心地のいい話ではないわ。 マイケルの子供たちが、ネバーランド・ランチを家族に残したがっていることは知っていますが、それは起こりそうにないようです。


ウィラ:ブラッド・サンドバーグとの2つの記事で語ったように、ネバーランドは単なる財産ではない。それはマイケル・ジャクソンの思いが詰まった作品のひとつであり、彼の思い出に満ちたものだけど現在は解体されている。それは非常に多くのレベルで、ただ悲劇という他ないわ。


リシャ:確かに。


ウィラ:まあ、マイケル・ジャクソンは、確かにドナルド・トランプや、クリントンとも長く複雑な歴史を持っていた。 結局、マイケルは、ビル・クリントンの就任式で歌い、そして、長いキャリアの間に、他の多くの大統領との交流があった。 私たちは次回の記事でそれを見ていきます。


リシャ:掘り下げずにはいられないわね!


source : https://dancingwiththeelephant.wordpress.com/


訳者註_________


(*1)2000年11月30日、作曲家のデニス・リッチが創設したガン研究の団体が主催する慈善パーティーで、ラビ・シュムリーに、「ドナルド・トランプがやって来たのは見た?」と聞かれたマイケルは、「彼は面白い人物だね (Now he is an interesting man.)」と答えています。(『MJTapes』恋心と初恋より)


(*2)原文では、 “Vanderbilt, Morgan, Trump, Rockefeller, Hinde, Getty, Getty, Getty, …” なんですが、Hinde(ヒンデ)の素性がわかりません。他サイトでは、Hinde の部分は、Carnegie になっているものが多いようです。

ヴァンダービルト、モルガン、トランプ、ロックフェラー、カーネギー、ゲッティ、ゲッティ、ゲッティ、... "


(*3)トランプと結婚した後、メラニアは多くのセレブと会うようになったが、その中には"キング・オブ・ポップ"も含まれていた。彼らは意気投合し、楽しい時間を過ごしたようだ。「マイケル・ジャクソンに会ったわ」と彼女は説明する。「ここ、ニューヨークのピエール・ホテルだった。彼が招いてくれたので、私たちは出かけてディナーをご一緒したの。食事の後、ソファでみんなでおしゃべりをしていたら、誰かが主人に美術品を見せたいと言って、主人は別の部屋に行ったの。するとマイケルがこう言ったわ。"ねぇ、トランプ氏が戻ってきたらキスしようよ。彼が妬くようにさ"」。結局、キスはしなかった。「しない、しない」と彼女は言う。「でも、抱腹絶倒だったわ」。http://rollingstonejapan.com/articles/detail/26077/1/1/1

(上記の内容とは関係ありませんが、ワシントンDCの国立アフリカ系米国歴史文化博物館が最近オープンし、C-Spanは、Lonnie Bunch監督による、博物館に収蔵されたマイケル・ジャクソンの衣装についての素晴らしいYデオを投稿しました)




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Commented at 2017-02-22 01:38 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by yomodalite at 2017-02-24 14:08
http://nikkidoku.exblog.jp/27460726/ からの続き。

>MJがミケランジェロに興味を持っていたとは・・・MJと羽仁五郎の問題意識が似たようなものであるかはわかりませんが、ますますMJに興味を惹かれます。

MJは自分の作品をシスティナ礼拝堂のようなものにしたいと言っていて、ミケランジェロが自分を「Michael Angel」と名付けたように、MJも自分が「ミカエル」だという意識が強かったようです。

数年前に「ミケルアンヂェロ」と「都市の論理」を手にして、ミケランジェロの築城建築家としての仕事や、フィレンツェノ防衛に携わっていたことや、ルネサンスがただの芸術文化運動ではなかったことがわかったのですが、ミケランジェロが激しい革命の季節の中、権力に反するのではなく、権力を象徴するカトリックの大聖堂の中に、ネオプラトニズムや、ヒューマニズムを持ち込んだこと。また、そこに、ただ素晴らしい絵を描いたというだけなく、天井に絵を描くための足場の設計でさえ、500年経った現在でも驚異的だと言われていることの方に、MJとの共通点を感じます。MJとSONYとの関係もまた、ミケランジェロとユリウス教皇に近いものなんです。

イタリアの街は、今でもミケランジェロによって作られているといっても過言ではなく、このあとの時代が「マニエリスム」と言われるように、ミケランジェロはそれまでのヨーロッパ文化の集大成を体現した「最後の人物」だったと思いますが、私は、MJもそれまでのアメリカ文化の集大成といえる人物で、おそらく将来、米国の文化は「MJ前」と「MJ後」という区分がなされると思っています。今は、MJの「マニエリスム期」にあたるわけです(笑)
Commented by yomodalite at 2017-02-24 14:08
MJの年代記は、ソロアルバムから下記のように呼ばれるのですが、

Off The Wall 期 (1979 - )
Thriller 期(1982 -  Victry Tour 1984〜)
Bad 期(1987 - )
Dangerous 期 (1991- ) 
HIStory 期 (1995 - ) 
Invincible 期(2000 - ※アルバム発売は2001年)

私はミケランジェロの彫像からThriller期を「ダビデ期」と呼んでいます(笑)
ひとりの黒人男性として、あらゆる壁を打ち壊したと言われている時期でもあり、このあたりの写真を見ていただければ、ご納得頂けるのではないかと思います。

http://nikkidoku.exblog.jp/24358170/

そして、Invincible期以降、MJは「バッカス期」に突入します(笑)。
MJのことをよく知らないという人でさえ、彼が児童性的虐待の疑惑をかけられたことも知っている方が多いと思いますが、その裁判のとき、MJが自家用車から降り法廷へと向かうわずかな距離には、いまだかつてないほど大勢の報道陣が世界中から集まっていて、MJはそこで撮られるためだけに、毎回オリジナルデザインの服を着用していました。私はあらゆる意味で、これほどのダンディズムを感じたことはありません。

http://nikkidoku.exblog.jp/13208425/

そして、終生、敬虔なクリスチャンである母への尊敬を口にし、「God bless you」が口癖だったMJの壮絶な死に「ピエタ」を思い浮かべる人も少なくありませんでした。
Commented by yomodalite at 2017-02-24 14:09
MJは尊敬する人物から徹底的に学んでは、そこに追いつき、越えていくということを驚異的な技術や肉体の鍛錬と、旺盛な知識力によって成し遂げてきました。彼がミケランジェロのような永遠の命をもった芸術を目指していたことは確かで、大変な読書家でもある彼は、あらゆる分野のパイオニアから学ぶことを徹底していて、数十歳も年上のレジェンドたちにも愛されてきました。

1899年生まれのフレッド・アステアは亡くなる前、自分の後継者に会えて良かったと言い、1923年生まれのマルセル・マルソーは「マイケルは生まれながらのパントマイム・アーティスト」と言い、1924年生まれで親友でもあったマーロン・ブランドは、晩年のほとんどをMJの自宅「ネバーランド」で過ごし、1932年生まれのエリザベス・テイラーが「The King of Pop, Rock And Soul」と言ったことで、MJは「キング・オブ・ポップ」と呼ばれることになりました。1925年生まれのサミー・デイヴィスJrや、少年MJのアイドルだった1933年生まれのジェームズ・ブラウン・・・MJは、こういった映画界と音楽界のレジェンドたちから多くを学び、また彼らから大きな賞賛も受けています。

そして、スモーキー・ロビンソン、マーヴィン・ゲイ、ダイアナ・ロス、スティーヴィー・ワンダーといった多くの天才を育て、アメリカ音楽の歴史をつくったモータウンレコードの創始者ベリー・ゴーディは、MJのことを、「十年に1人の逸材でもなければ、一時代に1人や、一生に1人現れる程度のスターでもない。彼こそは、この世に1人しか存在し得ない “唯一” のアーティストだ」と。

MJが憧れた人物の中で、最も長くその芸術的遺産が遺されているのはミケランジェロだと思いますが、全世界への拡がりという点から考えれば、MJはそれを凌駕する可能性もあります。また、MJが一番尊敬すると言い、彼がもっとも会いたかったチャップリンも同じように全世界的でしたが。

そんなわけなので、

1945年生まれの鍵コメ様には、ますます「おすすめ」したいアーティストだと思います!
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by yomodalite | 2017-01-24 07:00 | ☆MJアカデミア | Trackback | Comments(4)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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