誰が音楽をタダにした?巨大産業をぶっ潰した男たち

誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち (早川書房)

スティーヴン ウィット/早川書房

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最近では、ついにSpotifyも日本上陸。本当に様々な音楽配信サービスが登場して選択肢に迷うほどですが、音楽をタダにしたというと、昔ナップスターってあったなぁなんてことを思い出す人も多いですよね。結局そのサービスは日本では見られなかったので、当時の米国の実態はよくわからなかったのですが、この本は、そのナップスターを立ち上げた男の話だけではなく、ナップスターが立ち上がる前からネット上にあった音楽ファイルは、そもそもどうやって?という歴史と謎に迫ったもの。

翻訳がとてもスムーズで読みやすく、

・音楽圧縮技術であるmp3の生みの親
・ビッグ3と言われるレコード会社を次々に経営し成功を収めた音楽エグゼクティブ
・音楽をリークするグループで市場最強と言われた男たち

上記の3人を軸として、ナップスター全盛時代に大学生活を送り、パソコンに聴けないぐらい大量の音楽ファイルを溜め込んでいたという著者の軽妙な語り口で、リーク軍団が群雄割拠した時代が描かれています。

すでに販売されている音楽や映画の海賊版が販売されているというのは、販売する人の利益になるので理解出来るのですが、CDの発売前にリークされるということがどうして起こるのか? しかも無料で? ということがずっと不思議だったのですが、この本ではその謎の一端が明かされているだけでなく、マイケルファンにとっては、『インヴィンシブル』以降の音楽シーンを振り返る意味でも興味深い事柄が満載。

とりあえず、マイケルの名前が登場した、本書の主人公の一人である音楽エグゼクティブ、ダグ・モリスの言葉をメモしておくと、
・・モリスは音楽泥棒を牢屋にぶち込むことに大賛成だった。しかし、彼は違法テープ売買の時代からまったく違う教訓を学んでいた。警察を呼んでも問題は解決しない。解決策は「スリラー」を世に出すことだ。モリスから見ると、本当に音楽業界を救ったのは、マイケル・ジャクソンの1982年の大ヒット曲だった。足りないのは法律じゃなくてヒット曲だ。・・・モリスは「スリラー」に関わっていなかったが、ほかの音楽エグゼクティブと同じく、スリラーを特別な1曲として絶賛していた。このアルバムは企業努力の成果を表すもので、歴史に永遠に名を刻む名曲だった。
音楽著作権の危機が、音楽ビジネスを破壊するという認識があったのですが、意外にもレコード会社の重役達はしぶとく生き残り、アーティストには不利益がのしかかる。リークするグループの目的はいったいなんなのか? 業界全体の大混乱を経て、最終的に勝利したのは?

私は、『THIS IS IT』を見た日の帰り道と同じように、またもや、マイケルの完全勝利を感じましたが、そんな結末だったのかどうかは、各自確認してくださいw

1章 mp3が殺される
2章 CD工場に就職する
3章 ヒットを量産する
4章 mp3を世に出す
5章 海賊に出会う
6章 ヒット曲で海賊を蹴散らす
7章 海賊に惚れ込まれる
8章 「シーン」に入る
9章 法廷でmp3と戦う
10章 市場を制す
11章 音楽を盗む
12章 海賊を追う
13章 ビットトレント登場
14章 リークを競い合う
15章 ビジネスモデルを転換する
16章 ハリポタを敵に回す
17章 「シーン」に別れを告げる
18章 金脈を掘り当てる
19章 海賊は正義か
20章 法廷で裁かれる



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by yomodalite | 2016-10-19 06:00 | 現代文化・音楽・訳詞 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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