“You Rock My World”の和訳・・の前に長々と

えっ今頃?って言われそうですが、「You Rock My World」の和訳です。


主語や代名詞がわかりにくいことが多いマイケルの詩の中では、すごくわかりやすい詞で、歌詞を読んでいると、すごく甘いラブソングのように感じるのですが、曲を聴いていると、完璧な愛を見つけたとか、最愛の女性が見つかった、という感じはあまりしないのではないでしょうか。


歌の前のセリフ部分のコメディタッチも、曲の印象とミスマッチな印象で、ふたりの会話はショートフィルムと同様、仲の良いおとこ同士が街でみかけた女性をナンパしようとする内容ですが、マイケルは照れているというか、イマイチその役に入り込めていないという感じでしゃべっていますよね。このシャイな感じにはグッとくるんですが、


「偉大な俳優と言われた人たちの誰よりもさらに上を行く」

(→21歳のマニフェスト)


というほど厳しい研鑽を積んだ結果がこれ?と疑問を抱くのは私だけじゃないはず(笑)


イマイチなのは、台詞回しだけでなく、ショートフィルムの演技もオカシイですよね? あれは、どう考えてもナンパしに行こうという「顔」じゃないし(笑)。この当時の体調の悪さ、SONYとの対立、カシオ本の記述など・・・あらゆる原因についてずいぶんと長く考えたつもりですが、これまで、語られた物語の中に私が納得できるものはありませんでした。


なぜなら、マイケルがあらゆる意味で万全だったとしても、「ナンパ」や、クリスのコメディタッチも、「完璧な愛を見つけた」という内容も、この曲の雰囲気と合っているとは思えませんし、ショートフィルムだけならいざ知らず、アルバムに納めるときでさえ、曲の前に「ナンパ」というシチュエーションが必要な理由がわかりません。


初めに、男たちの会話があって、素敵なガールをナンパするというのは、『The Way You Make Me Feel』のヴィデオと似ていて、このときも、マイケルはダンスによって彼女の心をゲットするのですが、マイケルが『Invincible』で到達していた世界は、素敵な女の子をゲットするのとは別の世界で・・・このときのマイケルのチグハグさは、彼が演技が下手とか、キャラ設定が間違ってるというのではなく・・・


演じられるようなモデルが存在しないような「人間」を表現しようとしているからだと思います。


つまり、それは彼が、「マイケル・ジャクソン」の完成形として創造している人物のことなのですが、マイケルが「偉大な俳優と言われた人たちの誰よりもさらに上を行く」ほど演技を学ぼうとした理由は、優れた俳優になりたいと思う人々とは、かなり違ったものでした。

僕は演技を、演じなければならないものだとは思わない。演技というものが、演じているということなら、リアリズムを模倣していることだけど、リアリズムの方を創造すべきなんだよ。それは、演じるではなくて(acting)信じる(believing)と呼ばれるべきなんだ。あのね、僕は演技について考えているとき、いつもそれに反対だった。僕は演じている人(actor)なんか見たくない。僕は信じる人(believer)が見たいんだ。あたりまえのこと(truth)を模倣するような人なんか見たくない。それは、その時点で本当のこと(real)じゃない。1984年「EBONY」インタビュー)

"You Rock My World”のショートフィルムを見た当時、多勢の人が「人間離れした」と感じた理由は、彼が自分の演技を「リアリズムの模倣」ではない、ということを突き詰めた結果だったから・・・(完璧な愛が見つかることは、現実に生きる人間には起こりえない)

そして、この曲が、クリスとのコメディタッチの会話から始まるのは、

僕を変えてしまった君(You rocked my world)や、完璧な愛や稀少な愛(perfect love、rarest love)が、最愛の女性を指しているのではなく、


ショートフィルムで表現されているように、バディもの、ボーイ・ミーツ・ガール、波止場、ギャング、戦う男・・・といった映画によくある舞台設定。そして最も大きな影響をうけたスターであるフレッド・アステアの強い影響と、マーロン・ブランドが実際に登場し、物語は「Happy End」であり、「To be continued」でもあるという、


マイケルが人生を捧げた「エンターテイメントの世界」を指しているからでしょう。


甘い言葉が並べられていても、この曲に通底しているリズムが切ないのは、そこまでの彼のストイックな歩みが、そう感じさせるからではないでしょうか。


和訳の前にずいぶんと長く書いていますが、


時間がかかったのは、和訳ではなくて、この「まえがき」の方でw、


これをどんな風に書こうか、とか、いつ書くべきかとか、どんな感じにして、どの程度の長さにしようか、・・とか、そんなことがいつまで経ってもよくわからなかったうえに、


会話の最後とDarkchild… I like that までをどうするかも、なかなか決心がつかなかったんですよね(まだ悩んでますけどw)。


それでは長くなったので、和訳は次回。


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Commented by mo8_a29 at 2016-07-01 16:02
はじめまして。
私は『This Is It』からのファンなので にわかファンです。Michael Jackson の INVINCIBLE が一番好きです。このアルバムはMichael自身から乖離しているように思えて…考えるとよく解らなくなってしまう作品なのですが_なんか一番惹かれます。
『You Rock My World』は この中で地声から始まる結構素直な歌い方をしています。だけれどショート・フイルムはアステアとかマーロン・ブランドの映画へのオマージュで、それはそれで完成しています。
Michaelの 不思議な世界… 
なんか 取り留めなくなってしまいましたが…
コチラで深く考えていられて 素晴らしいなと思いました。

失礼します。
Commented by yomodalite at 2016-07-01 23:10
mo8_a29さんはじめまして!

>私は『This Is It』からの・・・

新しいファンが増えることが、マイケルは一番嬉しいんじゃないでしょうか。

>INVINCIBLE が一番好きです。

一番好きなのは決められませんが、私も一番気になっているアルバムです。You Rock〜だけでなく、INVINCIBLEで、マイケル作詞のものは、今後、どんなに今更であっても訳しておきたいと思ってます。

>コチラで・・・思いました。

私も、mo8_a29さんのブログで、町田君とかランビの名前を発見して覗いちゃいました。
私の「フィギュアスケート」記事
http://nikkidoku.exblog.jp/tags/フィギュアスケート/
Commented by dill at 2016-07-02 14:38 x
yomodaliteさんこんにちは。
なるほど、なるほどーー!!!

you rock my world、もちろん好きな曲なのですが、歌の内容とショートフィルムの内容が直結していないような印象があって、この曲が好きなはずなのに、観た後にはいつも腑に落ちないざらざら感があったのです。
この曲、単純に男女の"love"がテーマなんだとばかり思ってましたが(メロディも歌詞も演歌調?と思えるほど)、私もショートフィルムのマイケルに全く「生身の男」を感じられず、フィルムの中のマイケルは実は操り人形で、上で本当のマイケルが人形を操っているんじゃ!?(サウンドオブミュージックの一場面のように)と妄想してしまったほどでした。
なので、yomodaliteさんの解釈に拠って観るととてもすっきりします!「エンターテイメントの世界」への愛を示した作品だったんだなー、と。
Commented by yomodalite at 2016-07-02 22:12
dillさん、限定の方でお世話になっております。

>メロディも歌詞も演歌調?

演歌は思いつかなかったなぁ・・

でも、辛いことや苦しいことを言わず、現実に流されず、絶対に満足しない・・・ということを除けば、どこか、「男はつらいよ」の世界とか、昔のヤクザ映画というか、任侠映画の世界となんか通じる感覚があるよね。フィルムだけじゃなく「音楽」の方も・・・

そんな風に考えてたら、高倉健じゃなくて、鶴田浩二の方がMJぽいなぁとか思い出して(笑)、

You Rock〜のメロディって、この曲をめちゃくちゃカッコよくした感じじゃない?ww

鶴田浩二「街のサンドイッチマン」
https://www.youtube.com/watch?v=V1iW7QY5CG0
Commented by dill at 2016-07-03 22:55 x
>dillさん、限定の方でお世話になっております。

こちらのほうこそ、どうもありがとうございます。土曜日、楽しみにしています!

演歌調だなんて、変なこと書いてしまいましたね(^^);

>でも、辛いことや苦しいことを言わず、現実に流されず、絶>対に満足しない・・・ということを除けば、どこか、「男は>つらいよ」の世界とか、昔のヤクザ映画というか、任侠映画>の世界となんか通じる感覚があるよね。フィルムだけじゃな>く「音楽」の方も・・・

何かちょっと通じる感覚、ありだと思います。単にショートフィルムがギャングものだから、というのではなくて。やっぱりストイックさなんでしょうか。

>You Rock〜のメロディって、この曲をめちゃくちゃカッコよ>くした感じじゃない?ww

相当めちゃくちゃカッコよくしたら、もしかしたら!?う~~ん難しい想像ですww
それにしても鶴田浩二とマイケルを同時に思い描く日が来るとは。You Rockのほうじゃなくて、寧ろ『街のサンドイッチマン』の曲が耳についてしまいそうです(笑)
Commented by yomodalite at 2016-07-04 14:35
>やっぱりストイックさなんでしょうか。

ストイックな人っていっぱいいると思うんだけど、自分の理想に対してっていうんじゃなくて、そもそも、理想自体が、「自分の」っていうのとは違ってるっていうか・・

>それにしても鶴田浩二とマイケル・・・

ここで歌詞を見て、http://www.uta-net.com/song/42693/ ユーロックに合うように、言葉を足したりw、ここは「繰り返し」とか買いてみたりw、コーラスつけてみようとかしているうちにw・・・なんのために?っていう根本的な疑問が湧き上がってきた(遅いわw)。

でも、この曲も「チャップリン」だし、、

MJの、チャプリンとギャングとコメディとダンスとホラーとSF(未来の方)が一体化したミュージカル!っていうセンスの中には、任侠(仁義を重んじ、困っていたり苦しんでいたりする人を見ると放っておけず、彼らを助けるために体を張る自己犠牲的精神を指す)も含まれてるよね。

宗教の「正義」と、イエスの違いは、彼は「正義」じゃなくて「仁義」の人だってことで、マイケルがJehovaと感じているところを、任侠映画とか、勝新の座頭市は「おてんとさん」が見ていると感じているみたいな・・

でも、彼らよりも、MJは言葉にするとなんか違うと思う「感覚」から、トーキー以前のチャップリンの意味や、古いミュージカル映画のダンスを再発見して、今まで誰も見たことがない映画を夢見てたんじゃないかな、と(笑)
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by yomodalite | 2016-07-01 11:30 | マイケルの言葉 | Trackback | Comments(6)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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