『地獄の黙示録』:ミリアスと『闇の奥』(タイトルの由来とワーグナー他)

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[内容を大幅に追加して再投稿しました]私が見た「3Disc コレクターズ・エディション」の1枚目はオリジナル版と特別版、2枚目がコッポラの妻のメイキング『ハート・オブ・ダークネス』で、3枚目は、終盤部分は異なるものの、脚本の90%ぐらいを書いている、ジョン・ミリアスや、主演のマーティン・シーンのインタヴューなどが入っているボーナスディスク。

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「HIStoryと黙示録」の記事内で、コッポラのコメントとして紹介したものは、1枚目のディスクに収録された監督コメンタリーからですが、こちらには、脚本家ミリアスのインタビューから、気になった内容をメモしておきます。


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ミリアス:ベイジル・ポールドゥリス(『レッド・オクトーバーを追え』の作曲者)は、ルーカスとともに、南カリフォルニア大学で同じクラスだった。みんなが好きだったのは、『博士の異常な愛情』で、それは『地獄の黙示録』にも影響を与えた。


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『闇の奥』は英文学の傑作のひとつだったが、偉大な作家たちを悩ませていた。ベン・ヘクトや、アーネスト・レーマンや他の素晴らしい作家たち・・この本は危険信号を発していた。僕は『闇の奥』が大好きで、17歳の時にこの本を読んだ。僕はビーチから遠ざけるために、コロラドの学校へ送られていた。コロラドの山の中に野放しになった僕は、すぐに山男になった。罠を仕掛け、狩りをして、ジム・ブリッジャーになろうとして、それで『闇の奥』を読むのは素晴らしいことだった。寒い冬にジャングルやアフリカ、コンゴ川のことを読む。雪に埋もれ・・凍えて・・でも同時に自分を山男だと感じた。『闇の奥』の映画化は何人もの人が失敗した危険な作品だが、『闇の奥』の素晴らしさは、ジャングル自体に力があること。そして、それは人を脱落させる。人はジャングルを恐れるから。ジャングルは原始そのもので、その力に自分を捧げねばならない。人は、ジャングルでは暗闇を恐れた子供時代と同じことをする。自分を暗闇に従属させるのだ。ジャングルでは、可能な限り、奥へ入っていく。ジャングルの超自然的な力を恐れるがゆえに、戦いの絵の具を顔に塗る。それで、ジャングルの生き物になり、トーテムをもち、動物になる。そして狼か何かのように吠え始める。僕はこれをコロラドでやっていた。イエティが木の反対側にいると信じて、木にもたれて寝たり、猟銃を持って座り、この力を見た。この原始の超自然的な力。この原始のものが木の反対側にいる。襲いかかろうとする熊、猟銃なしでは対処できないが、猟銃は家に置かねばならず、ナイフだけで眠らねばならない。結局僕は、ナイフを木に刺し、丸腰で眠った。このためには完全に身を任せねばならない。これが『闇の奥』の内容だ。ここから、カーツがこの力に身を任せる案が生まれた。さらに彼はそれと仲良くなり、彼はその一部になった。物語を読み、僕はどの文学作品よりも強く惹きつけられた。君に会う前から、これをやらねば・・マイケル・ハーの記事を読んでも、何かをすぐに始めないとと思った。それから、友人たちがベトナムから帰ってきて、色々な話をした。彼らとじっくり話して気づいたのは、話せば情報が得られるということ。それでベトナム帰りの人を探し始めた。


コッポラ:サーファーは?


ミリアス:数人いた。(ベトナムに)行ったサーファーは少ない。徴兵を逃れる方法を知っていたから。『ビッグ・ウェンズ・デー』でわかるよ。これらの人々と話すときは、出来る限りすべてを収集するんだ。物語をね。そして最終的に・・ジョージ・ルーカスが「これを書き始めるべきだ、君は作家だ、君は書くのが仕事だ、他に誰もいない」と。それで、書くときになって、『闇の奥』を思い、これをベトナムで撮るべきだと思った。『闇の奥』を寓話とするので、読み直そうと思ったが、しかし、読むべきじゃないと思い直した。夢のように覚えていて、きっちり読み返しては、それが台無しになると思った。


コッポラ:哨戒艇で『闇の奥』の川を上る案は、君とジョージ・ルーカスが考えたの?それともひとりで考えた?


ミリアス:僕ひとりだ。ジョージは「ヘリを入れろ」と。


コッポラ:彼は監督をするはずだった。


ミリアス:脚本は誰も書きたくなかった。作家はハリウッドではよく扱われない。英雄は監督だ。次が撮影監督。カメラを持っているからだ。カメラは備品で、人々は備品にこだわる。歩兵部隊なら機関銃を持ちたい、カメラは機関銃だった。


コッポラ:ジョージは、君が書いたら、監督すると?


ミリアス:ああ、いつもジョージが案を出していた。当時僕は自分を監督とは考えていなかった。ハリウッドに行ったことがなかったから、監督というのは黒澤やジョン・フォードみたいな人で、彼らみたいになるだなんて、ハリウッドの質の悪い監督たちを見るまで気づかなかった。


コッポラ:『雨の中の女』の撮影からジョージと戻ったとき、ワーナー・ブラザーズの僕の事務所の隣が編集室で、そのときジョージと君に初めて会ったと思う。(あのとき君は)『地獄の黙示録』の脚本を書いていたの?まだだった?


ミリアス:いや、君が契約をまとめて金を受け取るまで僕の収入はなかったから・・そのときから1ページ目を書き始めた。だが、内容や音楽のメモはたくさんあった。映画中の場面とほぼ同じ場面をつくりあげていた。


コッポラ:『地獄の黙示録』の題名を決めるにあたって、君は『サイケデリック・ソルジャー』という題名を・・・


ミリアス:それは他の人。僕の題は最初からこれ。なぜなら、僕はヒッピーを見ていて、ヒッヒーの時代は急に来て、1965年から急に、良くも悪くもね。僕は信じなかった。ビート族は好きだったけど。ヒッヒーの時代は急に来て、1965年から急に、良くも悪くもね。僕は信じなかった。ビート族は好きだったけど。ヒッピーは、ピースマークをつけていて、その意味は「ニルバーナ・ナウ」だった。今こそ、ハイになって苦痛から脱却しよう。ドラッグを使えば、みんながその境地に、禅を学ぶ必要はない、「地獄から脱却しよう」という感じでね。僕は反逆児だから、それが理油だっと思うけど、戦争の方が好きだったから、ピースマークを変えた。ニルバーナ・ナウから、「アポカリプス・ナウ」という題名を思いついた。これを僕の本かなにかに貼って、持ち歩き、皆が気に入っていた。書き始めるずっと前からね。初めからこれが題名だった。



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コッポラ:映画の始めの方のヘリコプターの場面で、ワーグナーの音楽が鳴って、素晴らしいから、どうやったか聞かれるんだが?


ミリアス:僕はワーグナーが好きで、なぜかヘリの場面で効果的だった。


コッポラ:なぜ、あの曲を選んだ?


ミリアス:脚本を書いたとき、2つのことを考えていた。ワーグナーとドアーズ、この2者を聞きながら、脚本を書き上げた。ドアーズのファーストアルバムをひたすらかけていた。擦り切れるまでね。


コッポラ:ドアーズはベトナム戦争時、人気があった。


ミリアス:ああ、ドアーズは常に・・あれは戦争の音楽だった。ドアーズにそう言ったら、びっくりして、「絶対に違う!正反対だ」って言ってたけど、でも、彼らの音楽が有名なのは、この映画によってだ。


コッポラ:ドアーズは、全員UCLAの映画部の出身。レイ・マンザレクや、海軍将校の息子だったジム・モリソンは僕と同じ学校だった。モリソンは極端に静かで、内省的で、読書家で、特にニーチェの大ファンで、詩人だった。


ミリアス:彼は素晴らしい詩人だ。彼の歌を聴くと、いまだに素晴らしくて・・


コッポラ:僕が我々の企画をワーナーに承諾させ、サンフランシスコに行ったときはどうだった?


ミリアス:君が初めて企画を売り込んだ。我々みんな、映画制作の仕事がなければ、CM制作でネガの編集を続けるしかない状況で、君の案は全員に良かった。大勢の仲間が大スタジオに雇われる。そのときには僕はそこから抜けていた。僕はいうなれば補欠メンバー、君たちが道を開いた正規のメンバーだった。


コッポラ:僕は5、6歳年長だ、それは大きい。


ミリアス:君が僕に「1年間の生活費は?」僕は大胆に「1万5千ドル」君は「あげるよ」信じられなかった。


コッポラ:ジョージ(ルーカス)にも同様の金額か、何がしかの金を渡した。彼はそれを『THX1138』の制作にあてた。『地獄の黙示録』の脚本で、ジョージと共同でやったことは?執筆に関して、彼は介入した?君ひとりなのか?


ミリアス:彼は仕事があり、「がんばれ!」とか、「場面を少し話して」とか、彼は6ページくらい書くまで見てない。


コッポラ:僕もやってないけど、脚本家が6人いて、小さなスタジオだったから。脚本がノッてきたときの様子が知りたい。初期の脚本は盛りだくさんだった。ヘリの戦闘や、カーネッジ中佐とか、執筆作業を教えてくれ。カーツ大佐は、最初からカーツだった?


ミリアス:ああ、彼が「カーツ大佐は死んだ」という場面を入れたがった。


コッポラ:作業はどう展開した?


ミリアス:ある程度順序良く展開した。話が始まれば、川を遡ることは決まっていたから。


コッポラ:4人の乗組員をどうやって船に乗せた?


ミリアス:哨戒船だとわかっていたから、チーフが船の責任者で、クリーンは若いあの男、ブロンクス出身だかのロックンロールで踊り、シェフは僕のお気に入りだった。当時でさえ、理不尽な案・・ソーシエの修行をした男、ニューオリンズ出身で海兵隊に入ったが、食べ物がひどく我慢ができなかった。


コッポラ:ランスは実在のモデルが?


ミリアス:サーファーの人物を思いついた。(ランス役の俳優は)家族がサーファーだから、役を理解できたと思う。無邪気さを持ち続けてくれてね。


コッポラ:それらの登場人物と、哨戒艇、ウィラード、ウィラードは君のスターだね。


ミリアス:ウィラードはある意味、とても複雑な登場人物だ。彼は時代に先行していて、今は、彼についてたくさん書かれているが、当時は説明のない人物。攻撃的でないが、戦争で興奮した。戦争が彼のドラッグ。戦争好きで、他に行くところもやることを知らない。ウィラードには戦争のPTSDがあって、最初の場面では、目的も行き先もわからず連れて行かれれる、まるで、彼がそれを待っていたように。そして、彼は任務を与えられ、それで満足する。映画ができたとき、僕は寂しくなった。僕は君に電話で、「僕は任務が必要だ」君は「分かるよ」って。(コッポラにヘリコプターの場面でのワーグナーが素晴らしいと言われて)今や、ヘリコプターの急襲に、ワーグナーの音楽は欠かせない。2003年のイラク侵攻でも、ヘリコプターは、ワーグナーをかけた。


コッポラ:当時、これを指揮したカラヤンからも興奮したという電話があったよ。音楽の他の部分の使われ方について話したいと。あの手紙があったらね、すごく感応してた。脚本は君からだと言っておいたよ。


ミリアス:キルゴアは《キュクロプス》から思いついた。こっちはオデュッセウスで、キュクロプスに会うんだ。プレイボーイのバニーガールは《セイレーン》。通り抜けるにはキュクロプスを騙さないと。キュクロプスが騙されるのは、サーファーによってだ。そこでランスが出てくる。キルゴアはランスを勇気付けて、この川を上るといいサーフポイントがあるという。


コッポラ:「俺の利き足は左だ」が好きだ


ミリアス:ああ、キルゴアが、サーフィンに興味があるのは道理にあう。キルゴア登場の別の理由は、6日戦争の話になるが、アリエル・シャロンの記事を読んだんだ。彼は武装侵入で、アカバに侵攻したとき、武装侵入だ。この攻撃はアカバまで至った。戦車から降り、素潜りをして、アクバ特有の魚をモリでつき、焼いて、指揮官たちとそれを食べた。エジプトの戦車が後ろで火を吹いている、彼は「我々は敵を破壊するだけでなく、敵の魚まで食い尽くした」。そこから敵を全滅させ、敵地でサーフィンする案が生まれたんだ。


僕はカリフォルニアで、戦争が起きることを考えた。ある意味第二次大戦のようで、でも、映画の中で戦うのは、ブロンクス出身者や、ブルックリン、それか中西部で、地元出身者は戦わないんだ。当時の文化の中心はヒッピーのカリフォルニアで、全世界がビーチボーイズで、ドアーズで、すべてがカリフォルニアだった。だから戦争もカリフォルニアで起こる。冒頭でヘリと炎の映像が絶え間なく続く。ロケット弾の爆発で炎上して、でも人々の頭には、ピースマークが描かれているんだ。「平和は武器よりも強し」みたいなね。ヒッピーの音楽を聴いたり、カリフォルニアの文化と、古い歴史の衝突が起きるんだ。チンギス・ハーンに抵抗し、ベトナム、インドネシアはフランスに抵抗した。中国にもすべてに抵抗した。今は共産主義者の薄い皮をかぶっているが、奥底には東洋の神秘主義がある。すばらしく不可解な東洋の性質。それがカリフォルニアにやってきた。ロック音楽やドラッグや武器もある国に対抗する・・


コッポラ:君が書いたセリフで、君も人から聞いた話だそうだが、「爆弾で人を殺せと教えられるが、機体にファックと落書きをするのは許されない」


ミリアス:その数年後、僕は「砂漠の嵐作戦」時に、バーレーンの海兵隊空軍基地へ行った。航空機と海兵隊、彼らは戦いに勝っていたから。航空機は制空戦闘機、どれもぐれーで機体横に番号とかが書いてある。機体を見分ける方法は、書いてあるパイロットの名前だ。バード・なんとか、とか、英国人のところに行くと、裸の女性が助手席にいたり、色々と・・不道徳なことが・・英国人は厳格だったけど、アメリカ人は容認できなかったんだね。一方で人々を焼き殺したりしていたのにね。


コッポラ:君がどうやって脚本を作り上げたかを話そう。初稿を書き上げた。今それを書いている最中とする。「プレイボーイ」のバニーガールは?


ミリアス:ああ、我々は・・ただ理論的に、このショーのアイデアは、セクシーな女の子たちが連れてこられ、明日をも知れぬ命の多くの男の前に提示され、男たちにはなくすものはない。彼女たちを取らない方法はない。この手のことはたくさん起こったに違いない。これは聞いた話ではない。聞いたのは皆、国から来た女の子を見て、すごく幸せだった、見るだけで気持ちがよくなったということ。だが、欲望はあっただろう。彼女たちはセイレーンだから。彼らが触らない、初めのヴァージョンが好きだ。セイレーンに触れたら、岩になるからね。


コッポラ:初めのヴァージョンで編集で抜いた場面だが、でも君の脚本にあったよね?


ミリアス:ああ、最初のヴァージョンにね。あれがなくなってほっとした。(中略)これが映画制作のおもしろさ、映画が作られ、我々はすべてをやった。多くのことをやった。(中略)ジョージは、『アルジェの戦い』のような映画にしようとしていた。でも、彼はすでに『スターウォーズ』が始まっていて、『アメリカン・グラフティ』もあった・・・





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by yomodalite | 2016-02-14 17:44 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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