ヒストリー・ティーザーについての記事を紹介します。

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今年(2015年)はヒストリー20周年。


スリラーも、バッドも時代を超えた傑作アルバムだと思います(MJのアルバムはすべてそうですが)。でも、ヒストリーは、「They Don't Care About Us」や、「Earth Song」など、世界中の人々にとって、まさに “今ここにある” 危機感が歌われていて、20年も経ったとはまったく思えないぐらい「現代」に生きている作品ではないでしょうか。


1995年は、アメリカにとって時代の分岐点だったのだと思います。そして、アメリカに起こったことは、10年、20年の時間差で、日本にも起こるという法則のためか、あの頃、マイケルが感じた感覚は、当時よりも、今の方が身にしみてわかるような気がします。


そして、そんなことを思い始めた頃、「Dancing With The Elephant」で、ヒストリー・ティーザーについての長文の記事(Part 3まである)が目にとまりました。


それは、2014年の後半にアップされ、それまでに、私のブログでもとりあげていた、リーフェンスタールや、チャップリンとの関係、そして、マーロン・ブランドと『地獄の黙示録』といった、マイケル・ジャクソンを考え直すときに、欠かすことのできない話題が詰まっていて、すぐにでも紹介したかったのですが、日本語にするのがすごく大変で、、、


今回も、childspirits先生に多大なご協力をいただいたのですが、、色々と難しい点がいっぱいあって、もたもたしているうちに、結局、一年近く経ってしまいました。


その間、「これを訳すより、こーゆー内容を自分で書いた方が早いのでは?」と何度か思うこともあったのですが、やはり、MJと同じ国に生まれた、同世代のアカデミックな女性二人の会話を紹介する方が価値がある。と思い直し、なんとか、Part 1の訳が出来上がりました。


今回、ウィラと会話しているのは、前回「We've had enough」についても語ってくれたエレノア・バウマンで、マイケル・ジャクソンの文脈(コンテクスト)、帝国主義や「分断して統治する」という、その基本原理に、彼がどう立ち向かったのか。そして、マイケルが体現した「神の内在性」(immanence)、、といった話題にも少しだけ触れています。


ヒストリーがプロモーションされていた頃の私は、『意志の勝利』を大胆にリメイクしたティーザーに興奮し、ヒトラーという悪のカリスマに対して、マイケルは善のカリスマとして、私たちの理想の世界に君臨するのだと理解していただけで、


帝国主義を身近に考えたことも、日本がアメリカに統治されていることさえ意識することなく、帝国が「分断」を求める理由も、日本の中で、様々な組織が「分割」されていくことが、人々のまとまった力を削ぐことだということにも無頓着で、1987年に、中曽根内閣がすすめた国鉄民営化という「分割」が、労働者から「ストライキ」という手段を奪い、労働組合というまとまった勢力をつぶしたことで、その後の自由主義経済への移行がスムーズになり、それが、今の安保法案成立にもつながっていくだなんて、想像もしていませんでした。


そんな風にいうと、政治の話をしているようですが、私は、マイケルが帝国主義を打倒するために立ち上がったのだと言いたいわけではなく、エレノアが話していることの主眼点もそうではないと思います。私はつくづく、マイケルが一度も政治の話をせず、終始、イデオロギーの人ではなかったことを、今、とても重要なことだったと感じています。なぜなら、それも結局「分断」へとつながっていくからです。


(追記:人々の心が「分断」されていくことへの危惧と、私たち自身のことに引きつけて考えたいという主旨から、訳者註は、「分断政治」について、より具体的な内容にしてありますが、私の考えとしてはっきりしていることは、どんな考え方にしろ、「相手の方が、悪であり、敵であり、愚かである」という場に身を置きたくない。ということです。)


その他、ここで取り上げられたテーマの中には、私もおしゃべりしたくなる話がいっぱいあって、それも、またいつか。。と思っているのですが、


とにかく、


明日から「Part 1」の内容を3回に分けて紹介しますね。






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Commented by moro at 2015-09-27 13:10 x
こんにちは。
遅ればせながら、”Heal the world" についてコメントしようとブログを開いたら、素敵なお知らせに興奮しています。
ヒストリー、もう20年なんですね。本当に凄い、素晴らしいアルバムですよね。聴き終った後は、マイケルは最後のアルバムにするつもりだったのではないかと思ってしまうほどです。
ティーザーを初めて観たのは実は「ニコ動」で、パソコンの前で喝采でした。映画館で観たいです。あの壮大なユーモアはたまりません。
リーフェンシュタールはかなり昔に展覧会を観に行ったことがあるのですが、「意志の勝利」は未見で、ティーザーとの関係も深く考えたことはありませんでした。
記事、楽しみにしています。ありがとうございます。
Commented by yomodalite at 2015-09-27 22:37
moroさん、コメントありがとうございます!

>記事、楽しみにしています。ありがとうございます。

そう言っていただけて嬉しいです。

おそらく、これを一番読みたいと思っているのは、私自身なんですけど、、この会話を、これぐらいの日本語にするのは、本当に結構な手間がかかっていて、、、忙しい時間を工面して、授業の合間や、深夜おそくまで、翻訳をしてくれているchildspirits先生に申し訳なくて、「私はすごく読みたいけど、ブログの読者で、そんなに面白いと思ってくれる人はいないかも。。」と言ったら、「☆ちゃん(私の名前)が読みたいんだったら、他に読みたい人がいなくてもやってあげるよ」と。。もう泣きたくなるようなことを言ってくださって、、、

ちょうど今、Part 2をやってるところだったんですが、ヒストリー・ティーザーだけで、Part 3まであるので、すべて読むと、かなり充分な内容になっているかと。

『ヒストリー』の批評には、マイケルのアルバムの中で、もっとも私的で個人的な内容。。みたいなものが多いですけど、ここで語られている内容は、それとは真逆で、ひとりの壮大な歴史観をもっていた男の側からみた、現代史の中の「マイケル・ジャクソン」という「ヒストリー」。なんですよねぇ。。
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by yomodalite | 2015-09-27 06:00 | ☆MJアカデミア | Trackback | Comments(2)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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