映画『ターナー、光に愛を求めて』監督:マイク・リー

ターナー、光に愛を求めて [DVD]

ティモシー・スポール,ドロシー・アトキンソン,マリオン・ベイリー,ポール・ジェッソン,レスリー・マンヴィル




今まで、ターナーの絵を一度も好きだと思ったことがなく、画家個人についてもほとんど知らなかったのですが、この映画は興味をもたせてくれるきっかけになるかも。と思い、劇場に足を運びました。映画館に足を運ぶ理由として、劇場向きの映画かどうかも気になるところですが、ターナーの風景画の魅力は、スクリーンに相応しい気がしたんですね。

ただ、冒頭で彼の絵を思わせる黄色がかった美しい風景の中に、ティモシー・スポールが演じるターナーが登場すると、そのでっぷりした太り方や、まったく教養が感じられない顔立ちだけでなく、常にブヒブヒという、まるで豚のような呼吸の仕方に加えて、市場で豚の頭を買って食する場面さえもあって、ターナーのみならず、彼の父親や、男女関係があった下女なども含めて、リアルな人間像という以上の醜悪さが感じられ、

それが、実際の人物よりも何倍も美しい容姿の俳優たちで創られているハリウッド映画へのアンチテーゼなのか、英国の階級社会へのシニカルな見方からなのか、幼い頃のターナーが通常の学校教育を受けず、父親の元で特殊な教育環境にあったとはいえ、いささか「やり過ぎ」ではないかという思いは、エンディングまで続きました。

英国にはターナー以外の画家はいないと称されるほどの国民画家に対して、マイク・リーが描きたかったのは、美しい風景画が描かれた「背景」でも、画家の「内面」でもなく、

女性の自然科学者サマヴィル夫人によるプリズム実験に感化され、色彩と光についての持論を講義する場面など、ターナー作品を語るうえで重要と思われるエピソードについても、重要視しているように思われませんでしたが、まったく笑いのない『モンティ・パイソン』というか、久しくなかった、純粋なイングリッシュ・メイドだということは強烈に感じました。

私は、下女の演技を見て、何度も「エリック・アイドルか!」とツッコミたくなりましたが、英国の演劇学校では、下女のステロタイプとして、ああいった演技術が確立しているんでしょうか。

この映画の中のターナーに「慣れる」のに時間がかかり、またストーリーに特別なところもないのですが、なぜか150分を長いとは感じず、ターナーについて、今まで以上に興味をもったことも確かで、『秘密と嘘』だけで興味を失っていたマイク・リー監督についても、「こうなったら、すべて観てやる!」と、なにか燃え上がるようなものも感じました。

ほんの一瞬ですけど(笑)



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by yomodalite | 2015-08-02 06:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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