マリファナも銃もバカもOKの国(言霊USA 2015)/町山智浩

マリファナも銃もバカもOKの国 言霊USA2015

町山 智浩/文藝春秋



記録しておきたいと思う良本が溜まる一方なんですが、町山氏の米国カルチャー本は、かの国の歴史をふりかえるときの資料としても欠かせないので、個人的に興味がある部分のみ、ちょっぴりメモ。。

色々と驚いたことの中で、もっとも気軽なきもちでいられたのは、あの「イート・イット」のアル・ヤンコビックが2014年にビルボードで1位になってたことかなw

◎まえがき

「ガンズ&ウィーズ(銃と大麻)自由への道」というドキュメンタリー。

プロ・ガン(銃所持の権利擁護派)は、プロ・ライフ(人工中絶反対派)と共に、保守的で、右翼的で、キリスト教への信仰心が強く、南部や中西部の田舎、共和党支持者が多い「赤い州」に住み、白人のブルーカラーが多い。同性愛者同士の結婚に反対し、進化論を学校で教えることに反対するキリスト教保守と重なる。イメージとしては拳銃をぶらさげたカウボーイ。

マリファナ擁護派は逆で、平和主義でリベラル。同性婚や人工中絶には寛容。東部や西海岸の都会、民主党支持者が多い「青い州」に住む。マイノリティやゲイ、インテリが多い。イメージとしてはピースフルなヒッピー。
この左右の対立は激化している。。。

◎12 O’clock (バイクをウィリーさせて、ほとんど垂直に立たせたまま走ること)

12 O’clock Boysとはモトクロス暴走族のこと。人工に対する殺人率で、シカゴ、デトロイトに次ぐ第3位の危険地帯メリーランド州ボルチモアで問題化している。作家ポーが亡くなった場所で、現在は立派な墓も立てられている。そこから歩いて20分ぐらいの場所が「ウエスト・ボルチモア」というギャング抗争の激しい場所で、2000年代の傑作TVドラマで、オバマ大統領も大好きな『ザ・ワイアー』(彼はオマール・リトルのファン)の舞台だった。

◎Groundhog Day(春の到来を意味する欧米の「啓蟄」のこと)

ゴーストバスターズの主演俳優、ハロルド・ライスミスが監督した映画『Groundhog Day(邦題:恋はデジャブ、ビル・マーレイ主演)』。ラブコメでありながら、カフカ的な不条理ドラマ。ニーチェの永劫回帰にヒントを得て、未来のために現在があるのではなく、今日のために今を生きる。というテーマ。カミュの『シーシュポスの神話』。。。

◎Act of Killing(殺人の演技、殺人という行為)

『アクト・オブ・キリング』は、1965年9月30日から1〜2年の間にインドネシアで100万人が虐殺された出来事を、半世紀後の今、虐殺者自身が演じてみせるドキュメンタリー。当時の大統領スカルノは、宗主国オランダと戦って独立を勝ち取った建国の父だったが、50年代の冷戦下で、米国に追従しない独自路線を取り始め、中国とつながるインドネシア共産党の指示を得るようになった。スカルノが貧しい農民から人気のある共産党を味方につけたのは、大統領と拮抗する勢力である軍部と対抗するためだったが、9・30事件が起こり、スハルトは、スカルノを軟禁して実験を握る。

監督は、虐殺された遺族とは接触できなかったものの、虐殺の実行者たちは、得意気にその経験を語り、虐殺に積極的に加担したインドネシアの新聞経営者は「敵に対する憎しみを煽るのがマスコミの役目だ」と誇らしげに語った。

◎Washington Redskins original Americans Foundation(ワシントン・レッドスキンズ・アメリカ先住民基金)

アメフトのチーム名レッドスキンズは、そのチーム名がずっと問題視されてきた。レッドスキンズとは、インディアンの差別的蔑称だから。改名を拒否してきたオーナーは、抗議運動を交わす目的で「ワシントン・レッドスキンズ・アメリカ先住民基金」を作り、またもや世間は首をかしげた。コメディアンで、「コルベア・レポート」のキャスター、スティーブン・コルベアの対応は、、、

◎Normcore(ノームコア=ノーマル+ハードコア。過激に普通。ファッションの最新トレンド)

オレゴン州ポートランドについて、映画『ベルベット・ゴールドマイン』や『エデンより彼方に』の監督ヘインズは、「僕みたいにニューヨークやハリウッドから引っ越してきたアーティストや作家は多いよ、チャク・パラニュークとか、ガス・バン・サントとか、、」と言う。ポートランドはゲイだけでなく、ヒップスターと呼ばれるアートや音楽が大好きで資本主義と暴力を嫌い、エコロジーやフェミニズムに関心の強い自由人が集まる街。

2011年に始まった『ポートランディア』というコント番組はヒップスターが主役。「あの街には90年代の夢がなだ残っているんだ。覚えているかい?地球を救う歌を歌っていた時代を、ブッシュ政権なんかなくて、かわいい女の子はみんなメガネっ子。。」

彼らは、レストランで野菜の産地や、飼育方法を聞き、ゴミ箱に大量廃棄されている食物に抗議し。。。

◎Backfire Effect(バックファイア〈逆発〉効果/自分が信じるものを否定する証拠を突きつけられると、それを拒絶し、さらに信じるようになる心理)

税金で嫌でイギリスから独立したアメリカでは、国に何か取られるのも国からもらうのも嫌われる。国民健康保険をはじめあらゆるものが「共産主義的」と罵倒される。水道水のフッ素陰謀論、ワクチン陰謀論、今盛り上がっている陰謀論は「アジェンダ21」国連がエコロジーの名のもとに世界国家をつくるための共産党宣言だと騒がれ始めた。

◎Meninism(メニニズム、アンチ・フェミニズム運動)

◎Orange Is The New Black(オレンジ色は新しい黒)

『Orange Is The New Black』は、ネット映像配信サイトがはじめたオリジナル・ドラマ。オレンジは囚人服の色で、黒はファッションの基本という意味で、女子刑務所を舞台にした実録コメディ。レズビアンシーンが多く性転換者をリアルに描いている。

◎China is like Hollywood in the 1920s(中国はまるで1920年代のハリウッドだ。元コロンビア映画会長)

2014年、コメディ映画が消えた。アメリカ人が笑いを求めなくなったのではなく、中国が原因。中国ではシネコンが次々に建設され、スクリーン数で米国を抜いて世界一になるのは確実で、ハリウッドのSFX満載のアクション大作に人気が集中している。コメディは、風刺やゴシップ、時事ネタがわからないと笑えないからウケない。

◎Word Crimes(言葉の犯罪)

あの『今夜はイート・イット』のアル・ヤンコビックのアルバムが2014年の7月、ビルボードNo.1に輝いた!一曲目はHappyの替え歌『Tacky(ダサい)』♪俺は靴下はいてサンダル履く、だってダサいから。デートの勘定でクーポンを出す、だってダサいから、葬式でツイートして、死人とツーショットで写メする、だってダサいから…




ロビン・シックのメガヒット「ブラードライン」の替え歌で『Word Crimes』

間違った英語を使うと「言葉の犯罪だ!」と小うるさい奴の怒りを代弁する「Itの所有格で It'sとアポストロフィをつけるな。それは It is の略だろ」Literally(文字通り)をただの強調につかう奴にもご立腹。「LITERALLY couldn't get out of bed(文字通りベッドから出られなかった)」なんて言う奴の顔を文字通りバールでこじ開けてやりたいよ。バールのようなものじゃなく(笑)。




『ミッション・ステイトメント(企業の経営理念)』の歌詞は、

「常に効率良く企業戦術を機能化させねばなりません。国際規模のテクノロジーに投資し、核となる人材能力にレヴァレッジをかけるのです。並外れたシナジーを全体的に管理するために」歌っているアルも意味がわからないらしく、馬鹿げたダブルスピークやバズワードを歌にしたらしい。




『ファースト・ワールド・プロブレムス』は

「メイドが風呂を掃除しているからシャワーが使えない。満腹でティラミスが入らない。食料品を買いすぎて冷蔵庫に入らない。家が広すぎて無線LANが届かない。Amazonの送料を無料にするために欲しくないものを買わなきゃ。





◎Fappening(ファプニング=ハリウッド女優たちの女優自撮りヌード流出事件)

◎Narco Corrido(ナルコ・コリード=メキシコの麻薬カルテルを賛美する歌謡曲)

腕にはAK-47ライフル、
肩にはバズーカ背負って、
お前らの首を切り落とす
俺は殺しが大好きだぜ

こんな歌をナルコ・コリードと呼ぶ。コリードはスペイン語でバラード、ナルコは麻薬、残虐な現実とかけ離れた陽気な音楽

◎Fresh Off The Boat(船から降ろしたての活きのいい魚。アジア亭移民への蔑称)



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by yomodalite | 2015-06-27 20:00 | 現代文化・音楽・訳詞 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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