迷い鳥たち/ラビンドラナート・タゴール、内山眞里子(訳)

迷い鳥たち

ラビンドラナート タゴール/未知谷

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本書は、『ギタンジャリ』と同じく、タゴール自身が英訳して出版した作品集。

1916年に、タゴールが来日し、横浜の三渓園内にあった松風閣に滞在することになったとき、部屋に案内し、障子を開けると、眼下に東京湾の真っ青な海と房総の山々が窓いっぱいに拡がり、涼しい海風とともに一羽の鳥が窓の中に飛び込んできた。タゴールはそのときの感動から、「さまよえる鳥が私の窓に来る」A stray bird comes to my window という句を作り、それがこの詩集のタイトルにもなった。初版本には、三渓園のオーナーである、原富太郎への献辞も添えられていたようです。

また、この本の詩の形式はアフォリズムというか、2〜3行ほどの短い詩で構成されているのですが、それも日本の俳句に影響を受けたものらしく、タゴールは、早くから日本に関心をもち、日本人の自然を愛する美意識を高く評価していました。

しかし、その後、彼は日本の帝国主義に失望し、来日中の講演でも批判をしたため、当時の日本政府から疎まれるようになり、日本のアジア初のノーベル賞受賞詩人に対する歓迎の熱も潮が引くように冷めていったようです。

でも、マスコミの熱狂は冷めても、本書にはいつの時代にも人の心を動かさずにはいられない「名言」のような言葉があふれていて、

1992年の「EBONY/JETインタヴュー」で、マイケルが引用していたと思われる詩も。。

本書の訳詩に、英詩も併記して、いくつかメモしておきます。

IT is the tears of the earth that keep her smiles in bloom.
大地を花ほころばせるのは、大地の涙があればこそ

IF you shed tears when you miss the sun, you also miss the stars.
太陽をみうしなって涙をながすなら、あなたは星たちをもみうしなう。

"WHAT language is thine, O sea?"
"The language of eternal question."
"What language is thy answer, O sky?
"The language of eternal silence."

「海よ、あなたの言葉はどのような言葉ですか」
「永遠の問い、という言葉です」
「空よ、あなたの答えはどのような言葉ですか」
「永遠の沈黙、という言葉です」

WHAT you are you do not see, what you see is your shadow.
あなたが何者なのか、あなたには見えない、あなたが見るのはあなたの影法師にすぎない。

MAN is a born child, his power is the power of growth.
人間は天性の子どもであるがゆえに、その持てる力とは成長する力のことなのです。

MAN does not reveal himself in his history, he struggles up through it.
人間とは、じぶんの歴史のなかにおのずと姿をあらわすというのではなく、それを通じて努力して進むことそのものなのです。

THE Perfect decks itself in beauty for the love of the Imperfect.
完全者は、不完全者への愛のために、美でもって自身を装う。

WRONG cannot afford defeat but Right can.
悪は敗北する余裕をもつことができないが、正しきことはそれができる

EVERY child comes with the message that God is not yet discouraged of man.
子どもは、どの子も、神はまだ人間に失望していないというメッセージをたずさえて生まれてくる。(*)

TO be outspoken is easy when you do not wait to speak the complete truth.
率直に話してしまうのはたやすい、あなたがほんとうの真理を語りかけたいというのでなければ。

IF you shut your door to all errors truth will be shut out.
あなたがすべての誤りにたいして扉を閉ざすならば、真理も閉め出されることになる。

THE world has kissed my soul with its pain, asking for its return in songs.
世界はそれがもつ苦痛でわたしの魂に口づけし、その返礼を歌にするようもとめた。

THE service of the fruit is precious, the service of the flower is sweet, but let my service be the service of the leaves in its shade of humble devotion.
果実の役目は貴重であり、花の役目は甘美なものであるけれど、わたしの役目は、つつましい献身で木陰をつくる、樹木の葉のようでありますように。

MEN are cruel, but Man is kind.
「人びと」は残酷だ。しかし「人」は優しい

LIFE has become richer by the love that has been lost.
人生は失われた愛によっていっそう豊かになる。

THAT love can ever lose is a fact that we cannot accept as truth.
愛が負ける、などということは事実としても、真理とみとめるわけにはいかない。

MAN'S history is waiting in patience for the triumph of the insulted man.
人間の歴史は忍耐づよく待っている、侮辱された人間が勝利するのを。

LET this be my last word, that I trust in thy love.
わたしはあなたの愛を信じます。これをわたしの最後の言葉とさせてください。

________

(*)マイケルのインタヴューでは、"When I see children, I see that God has not yet given up on man." 「子供たちを見れば、神は人間を見捨ててはいないことがわかる」ですが。。。



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by yomodalite | 2015-05-28 06:00 | ☆マイケルの愛読書 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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