映画『her 世界でひとつの彼女』監督:スパイク・ジョーンズ

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人工知能をテーマにした映画が気になって、『トランセンデンス』だけでなく、こちらも観てみました。

感想を書くために映画の内容に触れています。また、観賞後、結末までのあらすじを晒している記事をいくつか見たところ、自分の感想とは異なるものが多く、かなりのカン違いをして観ている可能性も大いにありますw。


以前は、SFの世界だった A.I. 。現在のところは、統計・確率的な世界から脱してはおらず、人工知能と呼べる段階ではない。というような批判もありましたが、知能テストに表れるような、答えがある問いに対して、最適な回答を導きだすということであれば、ビッグデータの蓄積が容易になった今、人工知能が、人間の「知能」を上回ることは確実だと思うんですよね。

『トランセンデンス』では、人間の能をコンピューター上に移し替えて、成長していくのは、有能な科学者のものでした。人工知能は、人間の智慧には及ばない。という物語は、言葉で表せないものが「智慧」であって、答えのないものを考え続けることが「知性」である。という前提があってのことですが、

現代では与えられる知識や情報が膨大すぎて、「知性」を育てるという環境は悪くなりがちで、コンピューターのスピードに合わせて、人間が対応しなくてはならない状況は加速しています。

そんな中、愛だけは、ゆっくりと育もうなんてことにはなるわけはなく、注目を集めるためには、不安を煽り、嫌いという感情や、不公平を訴える方が簡単なので、ネット社会は、愛よりも憎しみが増える傾向にあります。

知性や智慧と同じく、愛にも答えはないとは言われますが、

自分が、希望しているような「彼(彼女)」が、コンピューターによって実現するのは、かなり近い将来に可能であるというか、むしろ、最適な方法ではないでしょうか?

私はなんとなく、そんなことを思いつつ映画を観に行きました。

で、ここからが、映画を観た感想です。

主人公は優しそうではあるものの、あんまりイケテル感じではない男で、職業は「レター代筆業」。これは、ビジネスレターではなく、個人から依頼されて「心のこもった手紙」を書く仕事で、彼はその仕事を、近代的でおしゃれなオフィスでしています。

このストーリーは、そんなに近未来のことを描いているわけでないのですが、今ある「Siri」よりは、はるかに高性能な人口知能OSが登場します。それなのに、主人公の仕事が「レター代筆」で、しかも、その仕事を、都会のど真ん中にある素晴らしく素敵なビルに、わざわざ出勤して行なっている。

レター代筆だけでなく、確か「LAウィークリー」でも執筆しているとも言っていたような気がするんですが、いずれにしても、近未来の世の中で、ライターが近代的なオフィスに出勤して仕事をするということが信じられなかったので、これはすべて、主人公の脳内世界だと、私は思ったんですね。

同僚も、映画の仕事している友人夫婦も、別居中の妻さえも。。(多くの人の感想ではそうではないようですが)

舞台は、近未来のロスアンジェルスらしいのですが、私には、東京にも、今住んでいる大阪の梅田にも見え、流石は『ロスト・ジェネレーション』を撮ったソフィア・コッポラの元夫!と思うと同時に、この物語が今もっとも現実的なのは日本だということも、スパイクは感じているだろうと思いました。

主役のホアキン・フェニックスは、最初登場したときは、地味で冴えないという印象でしたが、物語が進行するにつれて、心から共感ができる人物を見事に演じていて、

愛をド直球で描いたという感想には大いに共感しました。

ただ、最後にエイミーと、ビルの屋上で肩を寄せあって、美しい夜景を見ながら語り合う場面で、多くの人が癒されたようですが、私はカン違いして見ていたからか、寒気がするほど怖くなって、ひとり住まいでなかったことに、心から感謝したくなりました。

(エイミーは、メグ・ライアンに似ていて、彼女が登場したときから『ユー・ガット・メール』を思い出して。。スパイク・ジョーンズってホント食えない奴って思ったのも私だけ?)

さらに、私にとってラッキーだったのは、その日は自分としてはめずらしく、もう1本映画を観る予定だったことで、この日は、このあと、ホドロフスキーの『リアリティのダンス』も観ました。

その映画については、また別の機会に書くかもしれませんが、ホドロフスキーの映画は、天才による自伝的な作品なので、統計・確率的な世界から真逆で、誰がこんな話を思いつくのかというストーリーで、彼自身の生き方もそうなんですね。それで、私は、この物語も、今のビッグデータの中にあるということに、多少の安堵を感じました。

ブログを始めてから7年が経ち、毎日止めることも考えますし、マイケルのことを考えていると、なぜか、着物を着る時間がないほどw、読書量が増えてしまうことにも悩んでいるのですが、この主人公が、魅力的なOSに恋できたのも、彼の内面がそれを創ったのであって、そもそも「恋」というのは、素晴らしい誰かが現れるというよりは、自分が何かに可能性を見いだすことかもしれないと思うので、

経験のためにも、読書は重要で、それを書いておくことも、きっと重要なのではないか。と、今のところは思う次第です。。




☆私の感想とは異なるプロフェッショナルな方の長い記事。





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by yomodalite | 2014-07-18 08:24 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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