マイケルは、なぜ、あのアルバムを「スリラー」と名付けたのか?[1]

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(以前書いた「スリラーはなぜ高く評価されているのか」のあと、なぜ、MJ自身がずっと特別な作品だと感じていたのか?を考えて書いたものです。)

マイケル・ジャクソンを語るとき、必ずといっていいほど登場する「スリラー」。そして、そのあとには、また必ずといっていいほど、世界一の売上げ枚数という話がつづく。

スリラー期のマイケルにまだあまり興味がなく、あの有名なヴィデオに何の衝撃も受けなかった私にとって、スリラーがMJの絶頂期という話は、整形の次にうんざりする話で、MJはバッドツアーのステージの素晴らしさと、来日プロモーションで人気が沸騰し、それで、スリラーのビデオもお茶の間に浸透したのだから、

少なくとも日本でのMJ絶頂期は「バッド」だったはずなのにと、いつも思っていました。

バッドツアーは日本から始まったので、MJにとっても日本は最初のプロモーションの場で、新幹線に乗り、各地の名所をめぐったり、日本滞在をリラックスして過ごしているようにみえる彼の笑顔は素晴らしいステージや歌と同様に日本のファンを虜にし、世界にもそのニュースが流れた。

スリラー期からバッド期のMJの顔の変化はかなりあるので、もし、日本でも「スリラー」が絶頂期だったら、「バッド」での彼の変化に、もっと拒絶反応があったはずだけど、日本のファンにとってMJは、浅黒い肌の「外人」であって、

日本には「日本人」と「外人」以外の「人種」はなかった。

だから、「バッド」では、よりカッコ良くなったとしか見えなかったし、当時の彼はファンになっても親にとがめられることのない好青年のロックスターだった。それなのに、スリラー期よりももっと爽やかな笑顔を見せるようになった「バッド期」のMJは、

なぜ、あのアルバムを「BAD」と名付けたのだろう?

アーティストが、アルバムをコンセプトで創るようになり、音楽評論もアルバムをそのコンセプトで語るようになった時代に、なぜか、MJだけがいつも売上げだけで語られ、今もそれが続いているのは、その偉業のインパクトのせいではなく、

結局、誰も彼のコンセプトがわからなかったからだと、今は思う。

MJ自身は、何度「スリラー」について聞かれても、うんざりする様子も見せず、いずれ劣らぬ完成度で創り上げた他のアルバムに注目して欲しいと言うこともなく、晩年まで、スリラーの栄光に関しては特別誇りに感じているようだった。すべての作品において、革新的でありながら、高い完成度を保ち、売り上げにおいてさえNo.1にこだわってきたアーティストとしては、その反応も極めて稀だと思う。

確かに、MJは「売れる」ことを誰よりも考えていたし、彼のアルバムは、どれも全体を通しての「物語」や「概念」といったコンセプトは感じられず、シングルヒットを詰め込んだという以外のコンセプトが見当たらないように思える。

そして、そういった場合のアルバムタイトルは、もっとも売れるシングル曲と同じであることがほとんどだ。

アルバム『スリラー』の中で最も有名な曲は、おそらく「スリラー」でしょう。映像と曲が同時に何度もオンエアされた「スリラー」の印象は強く、その後、MJを紹介する場面でも「世界一の売上げ」という言葉と一緒に、いつもこの曲が流れているように思う。

でも、「スリラー」は、このアルバムの7番目のシングルだった。

7番目のシングルなんて、普通はありえない。

当時は1枚のアルバムに対し、シングルは1曲が普通で、どんなに多くても3曲ぐらいだったと思う。オリジナルのアルバム「スリラー」には9曲しか収められていないのに、7番目だなんて… 普通に考えれば、シングルカットする気がなかったとしか思えない。

それなのに、なぜ、あのアルバムは「スリラー」と名付けられたのか?

現在、「スリラー」の歴史的評価は、人種の壁を越え、音楽ビジネスを変えたことと言われています。

「スリラー」がMJの全盛期という定説には異論があるものの、「人類史上最大のヒットアルバム」という歴史的評価が「結果的にそうなった」のではなく、それを可能にしたマイケル自身の明確な意志と「戦略」について振り返ろうと思います。






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by yomodalite | 2014-05-29 16:07 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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