トラウマ恋愛映画入門/町山智浩

トラウマ恋愛映画入門 (集英社文庫)

町山 智浩/集英社

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恋愛映画にちっとも興味が無い人のための、ホラーより怖くて、コメディより笑えて、ミステリーより謎で、AVよりエロくて、アクションより勇気が出る、恋愛映画地獄めぐり!

という、町山氏の2013年に出版された映画本をようやく読むことができました。
紹介されている映画は22本。観ていた映画は、もう一度観たくなり、観ていない映画は、観なくちゃ。。と思わされる本書のまえがき「恋愛オンチのために」には、

『隣の女』には恋愛について奥深い思索に満ちたセリフがちりばめられているが、トリュフォーとつきあった女性たちは「あれって私が彼に言ったことよ!」と言っている。恋愛に関しては世界の巨匠も女性には及ばない。なにしろ男はみんな紙クズとデンデンムシでできているんだから。

と書かれていて、確かに、女は男がどれほど美女に弱く、巨乳や太ももには、確実に惹き付けられることを知っているし、痴漢や露出狂に会ったことがない女性もめずらしい。

でも、美女で、巨乳で、頭も性格にも問題がなく、高収入… それなのに、恋愛下手な女も多く、なんで、この娘が。。という女が意外とモテているということも多い。

私は、女優やモデルの恋愛について取り上げられいても、まったく興味がもてなくて、才能もスキルも違い過ぎる彼女たちの話のどこが参考になるのか。と思うし、そもそも、彼女たちが「本当のこと」を言うわけないと、よく思う。

でも、男が美女が好きという以上に、女は美女が好きで、美女になりたいもので、映画好きの男を理解しようとは・・あまり思わない。

でも、恋愛って、男を知ることだからね。(恋愛対象が同性という人もいると思うけど「他者」ってところが重要だから)

で、知れば、知るほど、知りたくなくなったり、男は裏切るけど、仕事は裏切らない。という結論に至る人も多いけど、裏切られたり、傷ついたり、一見プラスにならないと思えても、上昇するだけのジェットコースターが面白くないように、それでは、人生もつまらなくなってしまうし、「トラウマ」になるぐらい不幸な恋愛をしたって、損するとは限らないのだ。

そんなわけで、

本書で紹介されている22本の映画には、それぞれ素敵なサブタイトルがついているだけでなく、一部、古典からの引用が添えられているものを下記にメモしておきます。

美女になる夢は、一生諦めがつかないまま、終わりそうだけど、
死ぬまでに、古典をざっくり理解することは、少しは叶いそうなのでw。


オクテのオタク男はサセ子の過去を許せるか?
『チェイシング・エイミー』


ウディ・アレンは自分を愛しすぎて愛を失った
『アニー・ホール』


忘却装置で辛い恋を忘れたら幸福か?
『エターナル・サンシャイン』

幸いなるかな科なき尼僧
世界を忘れ 世界に忘れられ
一点の汚れなき心の永遠の陽光(エターナル・サンシャイン)!
すべての祈りは受理され
すべての願いは諦められ

(『エロイーザからアベラードへ』アレクサンダー・ポープ 著者訳)


愛を隠して世界を救いそこなった執事
『日の名残り』

恋愛とは自己から脱け出そうとする欲求である(シャルル・ボードレール)


女たらしは愛を知らない点で童貞と同じである
『アルフィー』


恋するグレアム・グリーンは神をも畏れぬ
『ことの終わり』


ヒッチコックはなぜ金髪美女を殺すのか?
『めまい』


愛は本当に美醜を超えるか?
『パッション・ダモーレ』


嫉妬は恋から生まれ、愛を殺す
『ジェラシー』

映画オープニング
人は恋した時、憂鬱が始まる(トム・ウェイツ「ブルースへの招待」)


トリュフォーも恋愛のアマチュアだった
『隣の女』

恋愛は戦争のようなものだ。始めるのは簡単だが、止めるのは難しい(H.L.メンケン)


不倫とは過ぎ去る青春にしがみつくことである
『リトル・チルドレン』

ボヴァリー夫人は私だ(ギュスターブ・フローベール)


セックスとは二人以外の世界を忘れることである
『ラストタンゴ・イン・パリ』

完璧な恋人は、NOと言わない男である
『愛のコリーダ』

君を抱く 君に触れる 迷い込んだ迷路のなかで
君を思い 君を飲む 僕は盆に盛られて君の食卓に出される
それが毎日続く これでいいの? 
つねってみて きっと夢だ
夢なら覚まさないで 僕は溺れていく 
救わないでいい それが僕の望みだ
半分殺して そうしてくれ 愛のコリーダ
僕は何も考えられない 君の他には何も
何もない (チャズ・ジャンケル『愛のコリーダ』)


愛は勝ってはいけない諜報戦である
『ラスト、コーション』


幸福とは現実から目をそらし続けることである
『幸福』

幸福な家庭は皆、似通っているが、
不幸な家庭はそれぞれに違う(トルストイ『アンナ・カレーニナ』)


最大のホラーは男と女の間にある
『赤い影』


キューブリック最期の言葉はFUCKである
『アイズ ワイド シャット』

結婚前は目を大きく開けて互いのことをよく見ておきたまえ。
そして結婚したら目を半分閉じておくんだ(トーマス・フラー)


結婚は愛のゴールでなく始まりである
『ブルーバレンタイン』

結婚は、熱病と逆に、
発熱で始まり、悪寒で終わる(ゲオルク・クルストフ・リヒテンベルク)


恋におちるのはいつも不意打ちである
『逢びき』

映画オープニング
ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第二番」


フェリーニのジュリエッタ三部作は夫婦漫才である
『道』

※古典ではなく、冒頭ではなく、本文中の言及ですが。。

『道』のジェルソミーナを復活させ大ヒットした『カビリアの夜』。誰もがカビリアを愛したが、石原慎太郎だけはそうではなく、彼が同年に発表した『完全な遊戯』は『カビリアの夜』の反発だと思われる。


認知症の妻に捧げる不実な夫の自己犠牲
『アウェイ・フロム・ハー』

愛されることは素晴らしいが、
愛することのほうがもっと素晴らしい(ヴィクトル・ユーゴー)


苦痛のない愛はないが愛のない人生は無である
『永遠の愛に生きて』

本文から ー
(バスが海兵隊候補生の隊列につっこんだ事故を聞いて)もし、神が実在するなら、なぜバスを止めなかったのか?神は我々をなぜ苦しめるのか?」18世紀の懐疑主義者でヴィッド・ヒュームが『自然宗教に関する対話』で提起した問い。主人公は無神論者だったが、神を信じる人々がそれによって死ぬなら、神は不在だろう。と思っていた。だが、オックスフォード大学の先輩で、世界各国の神話を基に『指輪物語』を書いていたJ・R・R・トールキンが、他の教授との論争中に「神話は嘘ではない。真実だ』と主張するのを聞いて、悩み抜いた末に、30代半ばでキリスト教徒になった。

「神は我々の成長を望んでいるのです。苦痛は人間に与えられた神の励ましです。我々は石の塊として生まれ、苦痛によって人間の形に刻まれるのです」

しかし、人生最大の不幸は、そのあとに訪れる。。

愛しただけ悲しみが大きくなるのに、なぜ人は愛するのか? その問いに、私はもう答えることはできない」

どれほど愛しても別れは必ず来る。でも、愛さずにはいられない。誰も愛さない人生は、誰かを愛して傷つくよりも不幸だから。


◎おわりに

ダメな男たちの品評会みたいになりました。ここで紹介した映画の男たちはみんな、少しづつ自分だと思います。本当にすみません。偉大な映画を作ってきた天才や巨匠ですら、愛についてはどうもわかってない。いや、そもそも愛について人に説教できる達人など、少なくとも男性にはいない、と知ると、ちょっとホッとしませんか? あ、女性はがっかりですね。本当にすみません。(中略)

ウディ・アレンの大ファンだった故・川勝正幸さんに捧げます。
2013年8月 町山智浩



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by yomodalite | 2014-03-28 08:56 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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