反省させると犯罪者になります(新潮新書)

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

岡本 茂樹/新潮社

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今年出版された新書でもっとも重要な本に選びたくなる一冊。

人目を惹く意外なタイトルで釣ろうとする新書は多いですが、本書は、冒頭から「反省させると犯罪者になる」ということを、自分が犯罪者になることなど1ミリも考えたことなく、犯罪者の気持ちを想像したことなどないという人に、丁寧に説明されている本。

凶悪犯罪は年々減っているにも関わらず、現代ほど、犯罪者に厳罰を与えよ。という声が高まった時代はないと思う。

無宗教と言われる日本人の多くに支持されている「人に迷惑をかけない生き方」を、自分に強いてきた人が、迷惑の最たる「犯罪」に対して厳しい態度なのは当然のことで、それは昔から変わらない。

ただ、かつての「プロの物書き」は、独自取材によって、新たな視点を投入し、集約されそうになる意見に、一石を投じることを使命としている人も多かったけど、今はそんな記事は必要とはされていないし、筆名を持ち、記事を有料で書いている人もいなくなった。ネットは無料だし、新聞社の収入は広告であって記事ではない。

あらゆる記事は無料になって、オピニオンリーダーと言える人はひとりもいなくなり、専門知識も、経験もいらず、調べることもしない記事は、ただ対立を煽り、共感者を囲い込み、考える材料ではなく、炎上の燃料ばかりを投入して、加害者への悪感情を爆発させることが、被害者に寄り添うことであり、それが「正義」だと信じさせる。

多くの人が共感し、参加できる「場」を提供さえすれば「広告」を出す場所としては十分だからだ。

本書は、厳罰化に進もうとする現代に警鐘をならし、
犯罪者への対応だけでなく、教育とは何かをも問う良書だと思う。


☆Kindle版もあります!
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by yomodalite | 2013-12-27 21:29 | 裁判・法律・犯罪 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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