2013年 12月 27日
反省させると犯罪者になります(新潮新書) |
今年出版された新書でもっとも重要な本に選びたくなる一冊。
凶悪犯罪は年々減っているにも関わらず、現代ほど、犯罪者に厳罰を与えよ。という声が高まった時代はないと思う。
無宗教と言われる日本人の多くに支持されている「人に迷惑をかけない生き方」を、自分に強いてきた人が、迷惑の最たる「犯罪」に対して厳しい態度なのは当然のことで、それは昔から変わらない。
ただ、かつての「プロの物書き」は、独自取材によって、新たな視点を投入し、集約されそうになる意見に、一石を投じることを使命としている人も多かったけど、今はそんな記事は必要とはされていないし、筆名を持ち、記事を有料で書いている人もいなくなった。ネットは無料だし、新聞社の収入は広告であって記事ではない。
あらゆる記事は無料になって、オピニオンリーダーと言える人はひとりもいなくなり、専門知識も、経験もいらず、調べることもしない記事は、ただ対立を煽り、共感者を囲い込み、考える材料ではなく、炎上の燃料ばかりを投入して、加害者への悪感情を爆発させることが、被害者に寄り添うことであり、それが「正義」だと信じさせる。
多くの人が共感し、参加できる「場」を提供さえすれば「広告」を出す場所としては十分だからだ。
本書は、厳罰化に進もうとする現代に警鐘をならし、
犯罪者への対応だけでなく、教育とは何かをも問う良書だと思う。
☆Kindle版もあります!
◎[Amazon]反省させると犯罪者になります (新潮新書)
by yomodalite
| 2013-12-27 21:29
| 裁判・法律・犯罪
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