和訳 The Weeknd “Belong To The World”

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The Weeknd(エイベル・テスフェイのソロプロジェクト)のPVが素敵だったので、訳詞をしてみました。

冒頭には、百人一首からの引用があり、その部分は、ヴィデオ字幕の英文から現代語に訳しています。また、I know you want ~で始まる[Verse 1]、And I know that ~で始まる[Verse 2]も、かなり悩んで訳していますので、

日本訳部分はご注意のうえ、気になる点は遠慮なくご指摘くださいませ。





Belong To The World
The Weeknd



天つ風 雲のかよひぢ 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ

The wind in the sky
Please gather the clouds
And close the way of the wind.
I need to make the beautiful dancer
Like a muse, so i can keep looking at her.

空を吹く風よ。どうか雲を集めて、風の通り道を閉じて欲しい
美しい女神のような踊り子の姿を見ていたいから(*1)


わすらるる身をば思はずちかひてし人の命のをしくもあるかな

Too bad if you forget about me,
I have to live with it.
We swear by God we will be together forever
Now im worried God will take your soul
Because you broke your promise

君が、僕のことを忘れるのなら仕方がない
僕はそれに耐えなくてはならない
でも、僕たちは永遠に一緒だと、神に誓った
だから、僕は心配なんだ。神が君の魂を奪いはしないかと


みかきもり衛士のたく火の(夜は燃え)昼は消えつつ物をこそ思へ(*2)

Like the fire which guards light up to search things
Burns up in the night
And fades into the daylight
Just as my love and thoughts of you
Burn in the night and fade into the sun.

警備のための明かりが、夜の間に燃え尽きるように
僕の君への思いも、夜に燃え尽き、太陽が昇るとき、陽の光とともに消えていく

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I know you want your money, girl

Cause you do this every day, okay

The way you doubt your feelings

And look the other way

Well, it's something I relate to

Your gift of nonchalance

Nobody's ever made me fall in love

With this amount of touch

僕は君がお金を望んでいることを知ってる
そのために君が毎日やってることも
君のそんな感覚を疑いながらも
見て見ぬ振りをしている
さりげなく君から与えられる何もかもが
自分に関係があると思ってしまう
誰も僕のことを落とせないと思っていたのに
こんなにもわずかなことでね

I'm not a fool

I just love that you're dead inside

I'm not a fool

I'm just lifeless too

僕はおかしくなんかない
ただ君の内面が死んでいるところが好きなんだ
僕はおかしいわけじゃない
僕もただ死んでいるだけさ



But you to taught me how to feel

When nobody ever would

And you taught me how to love

What nobody ever could

誰もそうしてくれなかったけど、
君はどうしたら感じることができるのか教えてくれて
今まで誰もしてくれなかったけど
君は愛する方法も教えてくれた

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I know I should leave you

And learn to mistreat you

Cause you belong to the world

And ooh girl, I want to embrace you

Domesticate you

But you belong to the world

君から離れるべきだってことはわかっているんだ
君を適当に扱ったりすることを学んでね
だって、君は世界のものなんだもの
僕は君を抱きしめて
自分だけのものにしたいけど
君は世界中のひとのものなんだ



And I know that I'm saying too much

Even though I'd rather hold my tongue

And I'll pull you closer holding on to

Every moment till my time is done

And this ain't right, you've been the only one to make me smile

In such long,
I've succumbed to what I've become, baby

僕はもう喋りたくないと思っていながら、多くを語り
そして、自分の時間が許す限り、君のあらゆる瞬間にしがみつくようにして
少しでも君に近づこうとしていた
それはいいことじゃない。
君は長い間、僕を微笑ませてくれる、たったひとりの人で
僕はすっかりやられてしまったんだ、ベイビー

I'm not a fool

I just love that you're dead inside

I'm not a fool

I'm just lifeless too

僕はおかしくなんかない
ただ、君の内面が死んでいるところが好きなんだ
僕はおかしくなんかない
僕もただ死んでいるだけなんだ



I should leave you

And learn to mistreat you

Because you belong to the world

And ooh girl, I wanna embrace you

Domesticate you

But, you belong to the world (x3)

君のことなんか突き放して
ぼくは君から離れるべきなんだ
だって、君は世界のものなんだもの
僕は君を抱きしめて
自分だけのものにしたい
だけど、君は世界中のひとのものなんだ


You belong to the loneliness of filling every need

You belong to the world, you belong to the world

You belong to the temporary moments of a dream

君はすべてのひとの孤独な要求を満たすために
君は世界のもの、君は世界中のひとのもの
君は人の一時の夢のために存在しているんだ

(訳:yomodalite)


(*1)百人一首の現代語訳に関してはコメント欄を参照。

(*2)百人一首にはある「夜は燃え」という部分が、日本語音声からは消えています。英語字幕には、その言葉に相当する「Burns up in the night」があるのですが… 日本語の読み手はそこで一拍おいていますし、、意図があってのことでしょうか。


ヴィデオの魅惑的な女性ダンサーはどなたなんでしょう?和室のシーンに登場している老人(百人一首の朗読も?)は、立体怪談の一龍斉貞水師匠に似てるけど違うのかなぁ。。

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この曲にはポーティスヘッドの “Machine Gun” のリズムがサンプリングされていて、

Portishead - Machine Gun



この動画に使われている映像は、塚本晋也監督の『鉄男』です

◎[動画]Shinya Tsukamoto Film "TETSUO" original long trailer



The Weekndの声は、MJにちょっぴり似てると思った方もいると思いますが、
彼は『Dirty Diana』のカバーもしてます(『D.D.』という曲)。

『D.D.』を基調にした、MJとThe Weekndの『Dirty Diana』マッシュアップ





☆このヴィデオに関する素敵な記事「The Weeknd──未来世紀トーキョー」



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Commented by mitch_hagane at 2013-09-08 23:43
>天つ風 雲のかよひぢ 吹きとぢよ

おおっ、来たーぁ(笑)僧正遍昭ですなぁ。
さあ、ここで問題。雲のかよひぢ(雲の通い路)とは一体なんぞや?
普通に解釈すると、これは、
天女が天と地上を行き来するのに使う道のことで、それは雲の中にあるとされた。
って、とこでしょうね。
もう一つの解釈は、雲が空を通る道筋のこと、ってのもあり得るけど、この場合はちょっとね。

あれっ、すると、この英訳はぁ...ちょっとおかしい(汗)
僧正遍昭(というか、この歌を詠んだ時にはまだ坊主になってないが)は、
『雲を集めて、風の道を塞げ』と言ってるのではなく、
『風を集めて、天女の通路になってる雲を吹き飛ばしてしまえ』と言ってるんだと思います。(笑)

Commented by yomodalite at 2013-09-09 09:26
みっちさん、いつもありがとうございます!

まず最初に、質問(というか、確認?)

字幕の英語から、「風を集めて、天女の通路になってる雲を吹き飛ばしてしまえ」もしくは、「雲の道を吹き閉ざしておくれ」という感じに訳すことは可能ですか?

現在の私訳は、つい英詞の方だけを見てやっちゃってたんですが、
英語の方は、

空を吹く風よ。どうか雲を集めて、風の通り道を閉じて欲しい
美しい女神のような踊り子の姿を見ていたいから

だと思うんですけど。。。

天つ風〜の百人一首で検索(Google)して出てくる現代語訳を上から並べてみると

大空を吹く風よ、雲の中の通路を閉じておくれ。
空を渡る風よ、雲をたくさん吹き寄せて、天上の通り路を塞いでしまっておくれ。
天を吹く風よ、天女たちが帰っていく雲の中の通り道を吹き閉ざしてくれ。
空を吹く風よ。天女が還るという雲の道を吹き閉ざしておくれ。

なんですが「吹き閉ざす」って、勘違いしそうですね。みっちさんが言われるように、「雲を吹き飛ばしてしまえ」なら、英語もclouds away で、わかりやすいですよね。
Commented by mitch_hagane at 2013-09-09 10:09
>空を吹く風よ。どうか雲を集めて、風の通り道を閉じて欲しい

英語の詩の意味はyomodaliteさんの仰るとおりだと思います。
で、気になるのは、『雲を集め』というのは原詩にはない、また塞ぐのは『風の通り道』ではなく、『天女の通り道』である、というところでしょう。

『吹き閉ぢよ』ですが、つくづく考えてみると、雲の中にトンネルのように天女の通り道(空洞)が空いており、それを風の力で雲を押して、閉じてしまえ、ってことかもしれません。
雲の中の天女の通り道がどういう構造になっているのか、寡聞にして知らないので。(笑)遍照に聞いてみる必要があるなぁ。
Commented by mitch_hagane at 2013-09-09 11:14
>このエロ坊主(笑)

ぷっ(笑)だっ、だから、この時はまだ出家する前、お公家さんだった頃でぇ...(笑)

みっちは、さらに考察を巡らす。(笑)

『吹き閉ぢよ』ですが、『吹く』+『閉ぢむ』の命令形ですよね。
『閉ぢむ』をネット上の学研全訳古語辞典で見ると、
①(物事を)なし遂げる。終了する。
②命を終える
だけで、英語のcloseの意味はないですね。
ですから、『吹き閉ぢよ』を『吹いて、閉ざしてしまえ』と訳すのは誤りかもしれません。(汗)
『吹いて、なくしてしまえ』の方が正しいかな。だとすると、『吹きとばせ』が正解かも。

それと、雲の中にエレベーターみたいな通路があるってのは、ちょっと変じゃないですか。やはり、雲の上を渡って、天に昇るんじゃないかなぁ。
Commented by yomodalite at 2013-09-09 11:15
みっちさん、またまたありがとうございます。

とりあえず、私訳部分を修正し、本文に、字幕部分に関しての註記を入れておくことにします。

>雲の中にトンネルのように天女の通り道(空洞)が空いており、それを風の力で雲を押して、閉じてしまえ、ってことかもしれません。

そうかもしれませんね。でも、、天女が舞い踊るには、風はなくてはならぬものでしょう。羽衣は「風の衣装」であり、美しい風に「女性の踊り子」を発見したものが「天女」と言っても過言じゃないですよね。それなのに、雲で閉じ込めよだなんて、彼女の自由を奪ってまで「独り占め」する気だったのか、このエロ坊主(笑)と思ってしまいますよねw。

ま、でも、そーゆー気持ちだったのかな。。別に仏教修行したくて出家したわけじゃないしw、出家したからこそ、の「気持ち」でもあるのかな。

澄み切った風の中で、天女がきもちよく踊るさまを、ずっと見ていたい。という気持ちではなく、留めることが出来ず、また、独り占めすることが絶対に叶わないと知りつつ、あえて「そうしたい」という、まさに現代のオタクにも通じる「男心」。

gather the clouds の群衆見立ても、エイベル解釈は意外といけてる?
Commented by yomodalite at 2013-09-09 11:24
私のコメントは若干修正して、再度送信したため、みっちさんのコメントよりも「下」になってしまいました。みっちさんの、コメント返しがあまりにも早かったからで、「エロ坊主」という失礼な言い方を最初にしてしまったのは、私(yomodalite)です。

みっちさんの考察には、また後で書きます。(^_^;)
Commented by yomodalite at 2013-09-09 21:33
>だとすると、『吹きとばせ』が正解かも。

そうですね。最初に、みっちさんの「吹き飛ばしてしまえ」という解釈を聞いたときから、天女の姿を思い浮かべると、願望も含めて「吹き飛ばしてしまえ」の方が好きです。だって、その方が、澄み切った空の中で、天女が舞っている姿が目に浮かぶでしょう。

>雲の中にエレベーターみたいな通路がある … 変じゃないですか。

うんと、そこは「天女伝説」だから、まぁしかたないかとw。ただ、英語にする場合は、そういった伝説を思い浮かべることが難しいという問題はあるにも関わらず、その割には「直訳」過ぎるのかも。。

ただ、遍昭のきもちというか、、遍昭がこの詩を詠んだのは、天女の「舞」を見たからではなく、この「をとめ」は、本当の天女のことではなく、踊り子の少女のことですよね? たぶん。。。
Commented by mitch_hagane at 2013-09-09 22:35
>天つ風 雲のかよひぢ 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ

さあ、みっち流決定版現代語訳↓(笑)

空をゆく風よ、天女が通うという雲上の道を、吹き飛ばしてしまえ
この天女のような乙女たちの姿を もう少し留めておきたいのだ

あっ、この歌には『五節の舞姫を見て詠める』と解説が付いているので、踊り子の少女を詠んだのは間違いありません。

僧正遍昭は、紀貫之からボロクソに言われていますが、(『歌のさまは得たれども、誠すくなし』、テクはあるけど、誠がないよね、って、この評価ひどくないですかぁ)、みっちは割りと好きです。
小野小町との歌のやりとりなど、流石と思います。
奈良郊外のお寺に、小町一行が泊まる。同じ寺に僧正遍昭も泊まってるらしい。
じゃあ、一つからかってやろうぜ、ということで、
『寒いから、お前の衣を貸せぃ』と歌を送る。
これに対して、遍昭の返し、一歩も譲らず、
『坊主の衣は一重で寒いよ。だったら二人で肌寄せて寝ようぜ』
女房衆がこれを読んで、ダアーッとなってるところが目に浮かぶよう。
(後撰和歌集1195より。本当はもうちょっと雅なやりとりですぅ-笑)
Commented by yomodalite at 2013-09-09 22:58
みっちさん、現代語訳、了解です! (・_・ゞ

ついでと言っては何ですがw、
英語字幕の修正案も、The Weekndに教えてあげられないでしょうか?
Commented by mitch_hagane at 2013-09-09 23:46
みっちに今度は英訳をせよと。(驚)
古語の現代語訳だけでも、大変なのにぃ。(汗)
で、訳してみました。(笑)

The wind in the sky
Please blow out clouds
So close the road to the heaven
I need to keep these heavenly maidens
To catch sight for a little longer

こんなんで、どないでっしゃろ。(疑)
Commented by yomodalite at 2013-09-10 19:00
>古語の現代語訳だけでも、大変なのにぃ。(汗)
>で、訳してみました。(笑)

流石っ!

で、heavenly maidens のための、road to the heaven を塞ぐことになるのね

… なんか、悪じゃね?(笑)

でも、みっちさんの訳を見ていたら、Weeknd の詩の gather the clouds は、この曲のために、あえてオリジナルの解釈をしているなぁという気がしてきて「百人一首」の英訳を検索してみました。

http://etext.lib.virginia.edu/japanese/hyakunin/noJIS/hyaku12.html

Let the winds of heaven
Blow through the paths among the clouds
And close their gates.
Then for a while I could detain
These messengers in maiden form.


http://onethousandsummers.blogspot.jp/search/label/Ogura%20Hyakunin%20Isshu

The sky is the road home for the holy maidens,
may the wind bring clouds to extend their stay.


やっぱ、Weekndよりは、みっちさん訳に近いですね。
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by yomodalite | 2013-09-08 22:02 | 現代文化・音楽・訳詞 | Trackback | Comments(11)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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