エドガー・アラン・ポー(4)おすすめ文庫2冊!

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これから初めてポーを読んでみよう。
もしくは、以前に有名な短編を読んでみたけどピンと来なかったという人に!

八木敏雄氏との共著もあり(未読)、現在日本ポー学会会長もされている、
巽孝之氏による一番新しい新潮文庫版は未読なんですが...

それ以外の、現在手に入る文庫本を比べて、ベスト文庫を2冊セレクト!

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短編ではなく「ショート・ストーリー」と言いたくなる、
ポーの現代性が、訳者のリズム感のいいスマートな訳でスムーズに味わえます!


◎訳者による解説(ほんのちょっぴりだけ紹介)

ポーは自分がどういう書き方をするのか、はっきり表明した人だった。自作への解説や、同時代のホーソンに対する書評などの中で、さかんに創作法を論じている。一口に言えば、理詰めの芸術派なのだ。目標ははっきりしている。ある効果に的を絞って、読者の心を強烈に打つ。

そうであれば作品として出来が良い。その効率が高いのは「恐怖」である。もし「美」を扱うなら、詩の方が韻律があるだけ有利だから、散文では「恐怖」の効果を期待する。また、読み出したら1回で読み切れる長さでなければ、効果は薄れる。(引用終了)

◎訳者あとがき「ポーとコーソン」(めちゃめちゃ大幅に省略してメモ)

19世紀のアメリカ小説をご存知の読者は、右の標題を見て「ポーとホーソン」の間違いではないかとお考えかもしれない。でも誤植ではない。「コーソン」である。ポーが作品を書いていたのは、日本式に言えば江戸時代の後期、ほぼ天保から弘化にかけての時代だった。(中略)

やや脱線した話として、じつはポーを訳しながら、話の運びが落語調だと思うこともあった。枕が長くて怪談物の得意な噺家とでも言おうか、まず一般論、抽象論として、世間の通例を話してから、ようやく本題に入っていく。この枕の部分が訳しにくい。(中略)

明治26年、篁村の向こうを張って、より原文を尊重した『黒猫』は出た。訳者は内田魯庵。この人も下谷の生まれだが、下訳は使っていない。1人で読んで訳したという意味では、これが一匹目の猫である。篁村では「私」だった語り手が、魯庵では「余」になって、まるで漢文を読み下したようなリズム感で書いている。

誤訳がないわけではないが、篁村訳よりは恐怖が内面化して感じられる。ほぼ独学だったという魯庵の英語は、相当のレベルにあったのだろう。いや、慶応が明治になる前に生まれたのだから、訳した当時は二十代半ばではないか。これはすごい。

この魯庵はもちろん、篁村の下訳者にしても、かなりの読解力があったことは間違いない。どんな辞書を使ったのだろう。ろくな資料もない時代に、よくぞここまで、と思っただけで、もう私には明治人の誤訳をあげつらう気持ちはなくなる。

この人たちの系譜に連なる仕事を自分でもしたのか、今度の猫は21世紀の一匹目ではないのか、と思うと泣きたくなるほどうれしい。にゃーお。(引用終了)

・黒猫
・本能VS.理性----黒い猫について
・アモンティリャードの樽
・告げ口心臓
・邪鬼
・ウィリアム・ウィルソン
・早すぎた埋葬
・モルグ街の殺人

◎[Amazon]黒猫/モルグ街の殺人[光文社古典新訳文庫]小川高義(翻訳)


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『アッシャー家の崩壊』『黄金虫』『リジーア』… などのベスト!

八木敏雄氏による滑らかな翻訳だけでなく、各作品の冒頭の解説も訳注も、
日本一のポー研究家ならでは!
扉絵には、当時のイラストも使用されています。

(上記の光文社古典新訳文庫と重複する作品は「アモンティラードの酒樽」のみ)

・メッツェンガーシュタイン
・ボン=ボン
・息の紛失
・『ブラックウッド』誌流の作品の書き方ある苦境
・リジーア
・アッシャー家の崩壊
・群集の人
・赤死病の仮面
・陥穽と振子
・黄金虫
・アモンティラードの酒樽

◎[Amazon]黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇 (岩波文庫)
____________

下記は、八木敏雄氏の著作の個人的メモ。

・破壊と創造 エドガー・アラン・ポオ論(南雲堂 1968)
・ポー グロテスクとアラベスク(冬樹社 1978)
・アメリカの文学 志村正雄共著(南雲堂 1983)
・アメリカン・ゴシックの水脈(研究社出版 1992)

(編著)
・アメリカ! 幻想と現実(編)(研究社 2001)
・エドガ-・アラン・ポーの世紀 ― 生誕200周年記念必携 巽孝之共編(研究社 2009)
・マニエリスムのアメリカ(南雲堂 2011)

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by yomodalite | 2013-08-09 09:28 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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