対訳 ブレイク詩集が疑問だったので自分で訳してみる[2]

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[1]の続き


下記は『無垢の経験の歌』の「無垢の歌」から、[1]で紹介した「人の姿(The Human Abstract)」に対比する

「神の姿(The Divine Image)」という詩です。

英文は、対訳ブレイク詩集(岩波文庫)から書き起しましたが、日本語訳は「私訳」なのでご注意くださいませ。

The Divine Image
神の姿


To Mercy Pity Peace and Love,
All pray in their distress :
And to these virtues of delight
Return their thankfulness.

憐れみ、同情、平和や、愛、
そういった苦悩から人は祈り
そして、それらの美徳の喜びに
人は感謝のきもちを返す

For Mercy Pity Peace and Love,
ls God our father dear :
And Mercy Pity Peace and Love,
ls Man his child and care.

憐れみや、同情、平和や、愛は、
親愛なる父である神からのもので
憐れみや、同情、平和や、愛によって
父の子である人間は受けとめられる

For Mercy has a human heart
Pity, a human face :
And Love, the human form divine,
And Peace, the human dress.

憐れみは、人の心臓であり
同情とは、人の顔
そして愛は、人の神聖をあらわし
平和は、人の衣装である

Then every man of every dime,
That prays in his distress,
Prays to the human form divine
Love Mercy Pity Peace.

誰もがあらゆる場所で
苦しいときに祈りを捧げている姿が
ひとの神聖であり
愛や、憐れみ、同情や、平和でもある

And all must love the human form,
In heathen, Turk or Jew.
Where Mercy, Love&Pity dwell,
There God is dwelling too.

だから、すべての人の姿を愛さなくてはならない
異教徒も、トルコ人も、ユダヤ人も
憐れみや、愛や、同情があるところには
神もまた住んでおられるのだ

(訳:yomodalite)

☆William Blake “A Divine Image”(『無垢の経験の歌』)に続く


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Commented by jean moulin at 2013-07-29 18:39 x
yomodaliteさん、こんにちは

この暑いのに、エマソンなのに、ヒョウ柄なのに、ブレイクでぐずぐずしている私を許して(願)

ここのところ、ご紹介いただいたブレイクの詩とお二人の翻訳をじーっと眺めてて・・。

絵を描く詩人も、詩を書く絵描きも多いけど、ブレイクはひと味違って、
言葉の強さと視覚の明確さを持ち合わせた詩人だとあらためて思いました。
視覚が明確だって書いたけど、その視覚世界そのものは、ものすごく不思議で、不可解なところも多いよね。
お二人のどちらの翻訳も、その言葉の色が伝わってくる素晴らしく魅力的な訳詞だなあと、拝読していました。

で、この3つの詩や、お二人の訳や、岩波の訳を読んで、ちょっとはまとまったコメントをしようと思ったんだけど、そしたら、2年後か3年後になりそうだったので・・。
ばらばらコメントします。
Commented by jean moulin at 2013-07-29 18:42 x
お二人の翻訳とも、表現は違っても、解釈は近いのではと読ませていただきましたが、
この1節
「苦しいときに祈りを捧げていることが
ひとの神聖な姿であり」
ってところ、
「悩んだ時祈りを捧げる 
人の形の神性へ祈る」
ていうみっちさん訳と、少し解釈がちがうよね。
岩波訳は、どうにでも取れる訳になってるし。

まさに人の姿、神の姿なんだろうけけど、祈りを捧げる人の姿は神の姿と交錯し、祈りを捧げられてる神の姿は人の姿と交錯するのかな。

で、yomodaliteさんの写真にも写ってる注釈なんだけど、まさにこの部分のことだよね。
ここには、「神に祈る際に、人は人間のなかで人格化された慈悲、憐憫、平和、愛の美徳の総体に祈る。」となってて、スヴェーデンポリの影響だそうだ。って、スヴェーデンポリって、大テレジア級に難しいんですけどっ
Commented by jean moulin at 2013-07-29 18:44 x
あ、そうそう、ブレイクは多くの芸術家に影響を与えているし、yomodaliteさんやみっちさんならご存じだと思うけど、三島の、初期の実感を伴った美しい告白ともいえる「翼」って短編にブレイクが登場するよね。

で、『翼』の宿題思い出したりして・・。
Commented by mitch_hagane at 2013-07-29 22:10
↑ほほぅ、面白いですね。(嬉)

ブレイクが子供の頃、初めて天使の幻影を見た話ですね。
Alexander Gilchristのブレイク伝Life of William Blake (1863)にある話ですが、『少年は見上げて、一本の木に天使が満ちているのを見た、輝かしい天使の翼が、すべての枝を星のように飾っていたのだ。家に戻って、彼はこの出来事を物語った。彼の正直な父親は、嘘をついているとして打擲しようとし、彼の母親の取りなしで、どうにかそれを免れたのだった。』とあって、三島の「翼」における記述とは、少し異なるようです。
Commented by yomodalite at 2013-07-29 23:57
>岩波訳は、どうにでも取れる訳…

私は、どうにでもとれる訳じゃない訳にしようと思っていて、「英語に変換しても意味がわかる日本語にしよう」というのが目標なの。

>お二人の翻訳とも、表現は違っても、解釈は近いのでは

違うと思っているから、自分でもやってみている。はずなので、みっちさんのことは、みっちさんに聞かなきゃわかんないよ。ちなみに、私には「悩んだ時祈りを捧げる人の形の神性へ祈る」って意味がさっぱりわからないし、

moulinさんの「まさに人の姿、神の姿なんだろうけけど」の、なにが「まさに」なのかわからないし、「祈りを捧げる人の姿は神の姿と交錯し、祈りを捧げられてる神の姿は人の姿と交錯する」という意味も全然わからなくて、スヴェーデンポリ(スウェーデンボルグって言いたいw)や、聖テレジアの方が、まだわかりそうな気がするよ(笑)
Commented by yomodalite at 2013-07-29 23:59
でも、とりあえず、moulinさんのコメント見て、「苦しいときに祈りを捧げていることが、ひとの神聖な姿であり…」から、「苦しいときに祈りを捧げている姿が、ひとの神聖であり…」に直してみたよ。。(また変えるかもしれないけど)

それと、これもとりあえず。ということなんだけど、『翼』のことで、みっちさんが、新たにブレイクの情報を出してくださっているので、明日、数日間寝かせてあった『対訳ポー詩集』をアップするのやめとこうっと(笑)
Commented by mitch_hagane at 2013-07-30 08:56
おおっ、いろいろ議論が出てますねぇ。(愉)
結局、human form divineをどう解釈するか?、という所に尽きるのかと思ってます。
みっちの解釈では、formを姿・形shapeと行動・実績performanceの2重の意味にとり、人が神のような(愛に溢れた)働きをすること、と考えています。
で、このhuman form divineという言葉の使い方は独特なんですが、決してブレイクが最初のオリジナルというわけでもなさそう。ジョン・ミルトンの「失楽園」にもhuman face divineなら、用例があります。(第3巻44句)今岩波文庫の平井正穂訳を見たら、ここを『ゆかしい人の面影』と訳してありました。
Commented by jean moulin at 2013-07-30 18:21 x
yomodaliteさん よくわからない事だらけのコメントでごめんね(謝)
そうなの、自分がよく解っていない事を書いたので、yomodaliteさんが、全然わからないのは、逆に解ってくれてる事かも。
みっちさんがすっきり説明して下さっているように、human form divineの神の姿と人の姿の境界がわからなかったの。
いろいろまだ考え中なので、また、思い出したようにコメントしたら許してね。

スウェーデンボルグ(こっちの方が言いやすいね。)も、勉強します。

みっちさん、「翼」の逸話、出典も教えていただいてありがとうございます。
そうですね、「翼」の中では、母が打擲した話になってますね。
この「打擲される」という事は、この短編の大切な要素だと思うので、敢えて母にしたのかなとも思いました。

そうそう、今日友人(今の最大の関心事は素粒子)にyomodaliteさんとみっちさんのブログを紹介したら、「yomodaliteさんおもしろーい、みっちさんすごーい」と読みふけり、ブレイクが気に入ったらしく、こんなチャットを残して帰ってゆきました。
「素粒子からブレイクまでの充実した1日になったよ。力の大統一論。超ひも理論。虎虎。」
Commented by yomodalite at 2013-07-31 15:43
おともだち、「素粒子」のことわかっていいなぁ。わたしは相変わらずよくわかんないんだけど、例の西村先生の本に科学者にはAtheist が多いって表現あったでしょ。で、私もそういう印象を持っていたので、藤永先生へのメールにもそう書いたところ、先生は「本物の科学者の本当の気持はそうではないと、私はほとんど断言できます。」と、とても強い調子で否定されて驚いたことがあったのね。

それで、そこから、色々調べてみたんだけど、例えば、脳機能学者の苫米地英人氏の『なぜ、脳は神を創ったのか?』という素晴らしいクオリティの新書に「1991年は神が正式に死んだ年」という記述があって、それは数学全般に不完全性が働くというチャイティンの証明の年のことなんだけど、ゲーデルの不完全性定理を、チャイティンが裏付けをしてしまって、2人とも自分はなんと暗い証明をしてしまったんだと嘆いていた。という話を紹介しているのね。

苫米地氏は、認知科学の人だから、そこから宗教もいらないし神も必要ないという話を、それはそれは鮮やかな論理で展開されていて、私も人が宗教や神にすがろうとする気持ちに対しては、全くそのとおりだと思うんだけど、(つづく)
Commented by yomodalite at 2013-07-31 15:43
でも、ヒッグス粒子が見つかって、人間がすべての素粒子をつくれたとしても、MJが言っているように美しい夕日とか、子供の眼とか、世界が美しくある必要はなくて、いったいどうしてそんな創造ができたのかと考えれば、とてつもなく程遠い地点にしか立ってないもんね。

存在してるとも、存在していないとも、どちらの立場のひとも、科学を利用して言いたがるんだけど、

実際に科学的に証明したような科学者には、どれだけ多くの科学者の小さな歩みが積み重なって、そこにたどり着いたのかってこともわかっているし、何がわかっていないかという点も、厳密にわかっているから、むしろ、神に対して畏敬の念をもっているみたい。

藤永先生に教えてもらう前は、私もホーキングのこと「無神論者」ていうイメージがあったけど、ブレイクの「幻視者」とか、スェーデンボルグの「神秘」も、それと同じような「レッテル」で、彼らは対極にいるわけではなくて、みんな真摯な探求者なんだよね。
Commented by yomodalite at 2013-07-31 16:16
それと、、『翼』が入った短編集『真夏の死』なんだけど、、三島が英語訳に期待してたドナルド・キーン氏の翻訳本があることに気づいちゃって、うっかり注文しちゃったよ(まだ届いてないけど)。みっちさんが紹介してくれた『Life of William Blake』は日本語で読めないのかなぁ。。
Commented by jean moulin at 2013-07-31 18:15 x
「素粒子」のお友達、ふつーのママなんだよ。
でも、彼女は人間の精神世界も、宇宙も、そこにある事実を知りたいってタイプなの。
講演会いったり、本読んだりして、自分で勉強してるよ。
>「本物の科学者の本当の気持はそうではないと、

うん、これ、絶対そう思う。
私、MJのバスタブ理論大好き。「神」に対するとても端的で理解しやすい表現だよね。

>私もホーキングのこと「無神論者」
うん、うん、そう思う。
私、前は「無神論」て、すべての神を明確に否定してこそ語れる理論だと思ってたけど、意外と「神」の定義なんて一切せずに、「無神論者でーす。」て言えてしまう事なのかもしれないと最近は思ったりして・・。

>ドナルド・キーン氏の翻訳本
うえぇー そんな素敵な物を・・。
また、紹介してね。
『Life of William Blake』は無料ダウンロードはあるみたいだけど、日本語なさそうだよね。
Commented by yomodalite at 2013-07-31 18:58
>私、MJのバスタブ理論大好き。

藤永先生、MJのそのビッグバン理解に関しては、私なら彼にもう少し良い説明ができたというようなことをおっしゃってて、そのとき、私まだ怖くて聞けなくって、今になって後悔してるんだけどぉ。。

それと、ごめん。。今ね、届いた本を確認してみたんだけど、事前に調べたつもりだったんだけど「翼」入ってなかった。

私が買ったのは、http://goo.gl/9vNSJR で、表紙は違うけど、

http://goo.gl/UItyf5 と、内容は一緒で、収録作品は、http://ja.wikipedia.org/wiki/真夏の死 に書いてあるのと同じで、翻訳者も、エドワード・G・サイデンステッカー、ドナルド・キーン、アイヴァン・モリスほか複数で、ドナルド・キーン氏が翻訳したのは、『橋づくし』(“The Seven Bridges”)、『道成寺』(“Dōjōji”)、『女方』(“Onnagata”)の3作品みたい。

残念!『煙草』の中のお稚児さんをどう訳したかに興味があったのにぃーーw

>『Life of William Blake』は無料ダウンロードはあるみたいだけど、

それどこ??
Commented by jean moulin at 2013-08-01 09:06 x
>「翼」入ってなかった。
 残念!
 でも、おもしろそう
 外国人好みのラインナップかな。

>それどこ??
 ここだっ
 http://archive.org/details/lifewilliamblak01gilcgoog
 天使の場面はみつけられてないけど。
Commented by mitch_hagane at 2013-08-01 09:32
↑天使の場面は、7頁のChildhoodの下のとこです。
http://archive.org/stream/lifewilliamblak01gilcgoog#page/n38/mode/2up
Commented by yomodalite at 2013-08-01 21:56
moulinさんも、みっちさんもありがとーーーー!!!

ここ数日、別の詩で苦しんでて、まだ全然読めそうにないんだけど、、またブレイクのところに帰ったら読んでみよっと。

>スウェーデンボルグ(こっちの方が言いやすいね。)も、勉強します。

彼はものすごい巨人だし、エマソンにも影響を与えてるし、カントも、鈴木大拙も… と、とにかく源流なので、MJから「必ず元を辿れ」という教えを受けている者としては、気になってしかたないんだけど、、全然「良書」が見つけられてないので、いい本があったら、ぜひ紹介してね。
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by yomodalite | 2013-07-19 09:11 | 文学 | Trackback | Comments(16)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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