William Blake “Auguries of Innocence” 無垢の予兆(1)

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[内容を修正しました]

これまで現代においても、欧米でブレイクが愛されていて、頻繁に引用されている理由がよくわからなかったのですが、マイケルと神について考えているうちに、Innocence(無垢)がすごく気になってきて、、ようやく少しはわかってきたような気がしたので訳してみることにしました。

ところが、、

最初にアップしたものは、この詩の半分程度で、まだまだ長い続きがあることを、こちらの「とてもとても素敵なブログ」の方に教えていただきました。(コメント欄参照)

それで漏れていた2行を足し、パラグラフの区切りは、私には判断できないので、
すべて4行で統一し、後半部分を追加したものを再度アップします。

前半だけで、多少わかったような気になっていた私ですが、後半部分を読んで、さらに理解が深まったように感じました。勘違いの可能性は多分にありますが、MJについて4年間毎日考え、泣きながら古典を読んでいるうちに、

教会の教えとは異なる神を理解しようとする、アーティスト達の永い伝統が多少は感じられるようになった気がして....

ウィリアム・ブレイクの「Auguries of Innocence」は『無垢の予兆』として多くの和訳がありますが、私訳では「無垢の気配」にしました。

また、自分が解釈した意味を強調して訳してある部分や、
あまり自信がもてない箇所もありますので、

日本語部分には充分ご注意のうえ、
気になる点は遠慮なくご指摘くださいませ。



下記は、前半部分です。


Auguries of Innocence
William Blake

無垢の気配

To see a World in a grain of sand,
And a Heaven in a wild flower,
Hold Infinity in the palm of your hand,
And Eternity in an hour.

一粒の砂には世界があり
野に咲く花には天国があり
きみの手は無限をつかみ
永遠のひとときを得る

A robin redbreast in a cage
Puts all Heaven in a rage.
A dove-house fill'd with doves and pigeons
Shudders Hell thro' all its regions.

籠の中の1羽のコマドリは
天上の怒りを
せまい鳩舎に押込められた鳩たちは
地獄の震えを

A dog starv'd at his master's gate
Predicts the ruin of the State.
A horse misus'd upon the road
Calls to Heaven for human blood.

一匹の犬が天国の門の前で飢えるなら
それはひとつの地域が滅びる前兆
一頭の馬が路上で酷使されているなら
人の血も流させよと天から命令がくだる

Each outcry of the hunted hare
A fibre from the brain does tear.
A skylark wounded in the wing,
A cherubim does cease to sing.

撃たれたウサギが一匹ずつ抗議の声をあげれば
脳髄の神経の1本1本が引き裂かれ
1羽のひばりが翼を傷つけられたなら
1人の智天使が歌うのをやめる

The game-cock clipt and arm'd for fight
Does the rising sun affright.
Every wolf's and lion's howl
Raises from Hell a Human soul.

闘鶏が戦いに備えて武装すれば

昇る太陽さえも脅かし

狼やライオンが吠えるたび

地獄にいる人々の魂は呼び覚まされる


The wild deer, wandering here and there,
Keeps the Human soul from care.
The lamb misus'd breeds public strife,
And yet forgives the butcher's knife.

野鹿はあちこち彷徨いながら
人の心を癒し
子羊は不法な競りにかけられても
肉屋のナイフを許す

The bat that flits at close of eve
Has left the brain that won't believe.
The owl that calls upon the night
Speaks the unbeliever's fright.

前夜に飛び回ったコウモリは
不信心な考えをもたらし
夜に訪れたフクロウは
無神論者の恐怖を語る

He who shall hurt the little wren
Shall never be belov'd by men.
He who the ox to wrath has mov'd
Shall never be by woman lov'd.

小さな鳥(ミソサザイ)を傷つける者は
決して男たちに愛されず
怒る雄牛を連れて行く者は
決して女に愛されない

The wanton boy that kills the fly
Shall feel the spider's enmity.
He who torments the chafer's sprite
Weaves a bower in endless night.

理由なきハエ殺しの少年は
蜘蛛の敵意を感じ
黄金虫の妖精をいじめる者は
独居で終わりなき夜を過ごす

The caterpillar on the leaf
Repeats to thee thy mother's grief.
Kill not the moth nor butterfly,
For the Last Judgement draweth nigh.

葉の上の毛虫は
汝の母の哀しみを繰り返し
最後の審判が近づいているから
蛾も蝶も殺すなという

He who shall train the horse to war
Shall never pass the polar bar.
The beggar's dog and widow's cat,
Feed them, and thou wilt grow fat.

戦争のために馬を訓練する者は
最終法廷(最後の審判)を通過することができず
落ちぶれた犬や未亡人の猫も
餌を与えれば太ることができる

The gnat that sings his summer's song
Poison gets from Slander's tongue.
The poison of the snake and newt
Is the sweat of Envy's foot.

夏の歌をうたうブヨは
毒から中傷を吸い取り
蛇やイモリの毒は
羨望からにじむ足の汗

The poison of the honey-bee
Is the artist's jealousy.
The prince's robes and beggar's rags
Are toadstools on the miser's bags.

ミツバチの毒は
芸術家の嫉妬で
王子のマントも乞食のぼろ着も
守銭奴のバッグに生えた毒キノコ

A truth that's told with bad intent
Beats all the lies you can invent.
It is right it should be so;
Man was made for joy and woe;

真実も悪意をもって語られれば
でっちあげよりも嘘になる
人がつくり出す喜びも苦しみも
正しくそれとおなじこと

And when this we rightly know,
Thro' the world we safely go.
Joy and woe are woven fine,
A clothing for the soul divine;

そして、このことを正しく知れば
わたしたちの世界は、安らかに進んでいき
喜びと苦しみは織物のように編まれ
神聖な魂の着物となる

Under every grief and pine
Runs a joy with silken twine.
The babe is more than swaddling bands;(*)
Throughout all these human lands;

深い苦しみと狂おしい思いの中には
喜びが柔絹のように編み込まれ
人が住む世界はどこまでもずっと
赤子が生まれたときにきつく巻かれた布以上のもの

_________




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Commented by やんちゃ at 2013-06-16 00:09 x
木登りして、そこから晴れた丘の美しさを眺めているマイケルや子供たちと遊んでいるときの幸福そうなマイケルが浮かんできたのは、私だけではないでしょう?
感性の透明感は持ち続けたいです。ほぼ隊長と同い年ですがww
Commented by yomodalite at 2013-06-16 19:02
やんちゃさん、コメントありがとうございますっ!

>感性の透明感は持ち続けたいです。

ホントに、そうですね。

私は、かつて、MJが、子供の精神が大事だと言ってとき、それは自分の世界に閉じこもっているような印象を受けていましたし、

また、そうではなかったことが解ってからは、あれだけ永年メディアを通じての悪意を受け、尚かつ、ビジネスの最前線に居続けたMJが、それを保ち続けられたことが不思議だったんですが、

やっぱり、それが「無邪気」な感性であるだけなら「信念」にはなり得ないし、苦しいときに、それでは乗り越えられないでしょう。

天才のことを「気まぐれ」だと表現するのは、天才ではない私たちの日常を考えれば、仕方のないことですけど、実際、MJレベルの天才は「気まぐれ」ではなく「Innocence(Godが創った世界)」にとことん忠実であろうとしているんですよね。
Commented by mitch_hagane at 2013-06-20 13:57
みっちです。

yomodaliteさんのブログの記事を見て、みっちも、ブレイクのAuguries of Innocenceを読んでみました。
ブレイクの詩は、不思議な魅力がありますね。よい刺激をありがとうございます。(先日のポーランドの修道院も素敵でした)

フレイクの詩は、拙ブログに、みっち流の訳も掲載中ですので、お暇がありましたら、どうぞ、ご笑覧ください。
Commented by yomodalite at 2013-06-20 22:42
みっちさん訳の「Auguries of Innocence」拝見しました!
http://mitchhaga.exblog.jp/20393936/

私が迷った部分など、参考にある点も多くあり、大体訳詞はアップしてから、何度も修正するので、再考の助けになります。

でも、一番驚いたのは、この続きがまだあったんだってこと(汗!)

それと、パラグラフも結構違って、私訳だとパラグラフの途中で終わってるみたいで、、これは、マズいと思い、その記事には「再考中&未完」の表示を付けておこうと思います。

続きの訳に関しては、今度は、みっちさんの訳を見てから、また、私もやってみようかな。。なんて思ってますので、、

楽しみにしてます!
Commented by mitch_hagane at 2013-06-21 15:41
みっちです。
Auguries of Innocenceの翻訳を済ませて、アップしたのですが、なっ、なんとWikipediaの同項目の記載が不完全であることを発見。(汗)
本来132行あるはずの、この詩が130行しかない!
63行目と64行目の間に2行抜けておりました。
足りない2行は追記しました。行番号も変わってくるのですが、とりあえず、今日のところはそのままです。ああっ、ネット上の情報は裏を取らないと、いけませんね。
今回は、作者自身の手稿Pickering Manuscriptを見ているので、大丈夫と思います。
この手稿を見ると、全くパラグラフの区切りはなく、ベタで書かれています。
参考→http://www.blakearchive.org/exist/blake/archive/work.xq?workid=bb126&java=no
したがって、Wikipediaのパラグラフ区切りの根拠は、相当怪しいです。ここも、次回修正しよう思っています。
Commented by yomodalite at 2013-06-21 22:05
>63行目と64行目の間に2行抜けておりました。

みっちさん、132行の漏れを発見するなんて、素晴らし過ぎますっ!
「The Tyger」と同じように4行詩だと思ってて、132行の四行詩なら、33パラグラフだよね。と、昨日まで思っていました。それとブレイク自身の銅版画と一緒に出版されてると思ってたので、手稿だけでなく、初版と、その後の版を比較してみれば、パラグラフの確認ができると思ったんだけど、

今日初めて、Auguries of Innocence のウィキをチラ読みしてみたら、1803年の「ピカリング草稿」と同時期に書かれたもので、出版されたのは1863年、、てことは、亡くなってから出版されたってことかな。だとすれば、4行詩という形式ではないかもしれないし、パラグラフも、色々と解釈があるのかもしれないですね。そういえば「Pickering」っていうのも何のことかわからないし、、
Commented by yomodalite at 2013-06-21 22:06
この詩は、日本人にとっては、冒頭の「一粒の砂にも世界を … 一時のうちに永遠を」の部分で、すっかりわかったような気分になってる人が多いみたいだけど、、、日本人には、108個の煩悩を数えきろうなんていう伝統はないし、そーゆー国民性と、この詩の132行の「しつこさ」を、あんまり一緒に考えるべきじゃないと思うんだよね。。

手稿の紹介も含めて、本当にご紹介ありがとうございました!すごく刺激を受けました。ちなみに、修道院の方も、まだスッキリしてないところが一杯あって(呆)、今日もちょびっと追記しちゃいました(汗)
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by yomodalite | 2013-07-07 11:51 | 文学 | Trackback | Comments(7)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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