映画『ノルウェイの森』『ハーブ&ドロシー』『人斬り』

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年末とか、お正月に観た映画から良かったものをちょっぴりメモ。HDに溜まっていた録画からなので、新作映画ではありませんが。。

『ノルウェイの森』

私はそんなに村上春樹のファンというわけではないので、映画化と聞いても「むつかしそうだなぁ」と思ったぐらいで、そんなに注目していたわけでもなく、公開後、いくつかのレヴューを目にしているうちに、ますます興味が薄くなっていたのですが・・とても見事な作品でした。

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そんなにファンではないといっても、村上作品は結構多く読んでいて、なかでも「ノルウェイの森」は、もっとも印象に残っている作品。でも、熱心なファンのひとのように、あの場面とか、あのセリフが、ということはなくて、ただ、主人公が、私の「初めての男」によく似ていて、登場人物に、自分が投影できる人物がいて、、それで、他の作品より印象に残っているんですね。

出演された俳優は、全員がこれ以上は考えられないほど、ベストな配役で、観る前は「どうなの?」という感じだった、菊地凛子は、登場した瞬間、彼女でよかった。と思うぐらい素晴らしく、主人公の松山ケンイチは「私の男」にそっくりで、、

わたしは、自分の「恋愛」のことをたくさん思い出して胸が熱くなりました。

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事前に情報を何も知らなかったのだけど、観終わった後、トラン・アン・ユンの脚本・監督だと知って納得。彼の『青いパパイヤの香り』は、その雰囲気が大好きで、めずらしく何度も観てしまった映画。まだ観ていない『夏至』も観てみなくちゃと思いました。

◎映画『ノルウェイの森』オフィシャルサイト



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「ハーブ&ドロシー」

現代アート界のアイドル。といっても作家ではなく、コレクターの老夫婦の話。

郵便局員のハーブと、図書館司書のドロシー、ふたりの楽しみは現代アートを買うこと。購入する作品を選ぶ基準は、自分たちのお給料で買える値段と、1LDKのアパートに収まるサイズであること。そして、彼らは購入した作品を決して売らない。。

30年の間、買い集めた作品は慎ましい部屋の隅々にまですき間もないぐらい詰め込まれ、ソファの置き場所もないぐらいになっていた。そして、ついに、アメリカ国立美術館が動く。これまで、どの美術館からの話も断ってきたふたりでしたが、、



ふたりが買ってきたアートは、いわゆるコンセプチュアルアートとか、ミニマルアートと呼ばれるようなもので、一般的に難解だとか、これが芸術だとは!と、批判されることが多い。

私は、美大出身だとわかったとたんに「どうしてピカソの絵はあんなに高いのか?」という質問をされた経験が何度もあるのだけど、そういう質問を「堂々とする」人は、私の経験では100%、K大の経済学部の人で、

たぶん日経新聞などで、オークションの記事を見て疑問に思ったのだと思うのだけど、株式市場の上下動や、実体経済とはかけ離れた市場を見ていて、どうしてピカソの絵の値段だけを「高い」と思うのか、不思議でしょうがなかったけど、当時は、私自身もよくわからなかったので、大抵の場合は「美術史上の価値なら少しはわかりますが、価格に関しては、マーケットを創っている人たちによるものなので、わかりません」と答えていた。

私が会ったK大経済学部の人たちとはまた別の人たちは、現代アートはユダヤ人による「マーケット」でしかない。と思っている人も多い。

いずれにしても、彼らはそれらの作品に疑問をもっていて、それが不当に高いと思う感情から、嫌悪感を抱き、作品も、作品を創る人も「詐欺」だと感じているのだ。

価値がわからないなら、買うこともないわけで、それなら騙されて買わされるという「詐欺」にあうこともないのに、世の中に、自分の価値観にそぐわないものに高値がついていることが許せないと思う人は多いようで、日本でも、村上隆氏を批判する人は多い。

現代アートは宗教だ。という人も多い。彼らは、概ね宗教を「詐欺」か、前近代的な遺物だと思っていて、意識的か、もしくは無意識に、科学やお金を信仰している。

わずかな収入のほとんどを現代アートを買うことに費やす、
ハーブとドロシーが何を買い、何で魂が満たされていたのか? 
それを知りたい人はぜひ!

◎『ハーブ&ドロシー』公式サイト

◎映画「ハーブ&ドロシー」日本公開版予告編



◎[Amazon]ハーブ&ドロシー(DVD)



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『人斬り』

去年から「日本映画チャンネル」では、やたらと勝新が登場して、今までなかなか見られなかった『警視K』が始まってしまったり、我が家の録画機の、勝新占領率はますます増えていく一方。。

そんな大好きな勝新ですが、座頭市にハマり過ぎているからか、目が開いているときの彼に違和感を感じることが多いんですね。勝新は、顔が可愛らしすぎるというか、子供っぽくて、現代劇でも、時代劇でも、座頭市のような人間的な深みに到達するのは、他の役ではむつかしいと感じてしまうことが多い。。


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この映画で、勝新が演じているのは、司馬遼太郎の小説から「人斬り以蔵」の名で有名になった岡田以蔵。私は司馬史観で、幕末を見ることに飽き飽きしているのですが、この映画では、大好きな勝新が岡田以蔵を演じているだけでなく、大好きな三島由紀夫が「人斬り新兵衛」こと田中新兵衛を演じ、劇中で切腹シーンもあるので、絶対に見逃せない作品だったんです。


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監督は五社英雄、脚本は、黒澤映画の数々の傑作を書いた橋本忍、龍馬役の石原裕次郎や、仲代達矢も重要な役で共演し、その他の豪華キャストが華を添えているだけでなく、すべて意味のある出演となっていて、流石、勝プロダクション制作!

座頭市以外では、なかなか魅せられることができない純真さと凶暴さをあわせもつ、勝新に相応しい役で、1969年の公開当時は8月だったようですが、わたしはお正月映画としてとても満足しました。

◎勝新太郎「人斬り」テレビ初放送
◎『人斬り』goo映画

*全部観たわけではありませんが、この映画の三島は、これまでになく自然な演技で魅力的。切腹シーンも残酷な場面に弱い私が見てもだいじょうぶで、素晴らしい演技でした。

*勝新お奨め情報/作品数が多い勝新ですが、最初に見るべきなのは「座頭市」で「兵隊やくざ」「悪名」は見なくていい。また、座頭市は、初期より後期が完成度が高く、映画より1時間のTVシリーズ『新座頭市』は、マイケル・ジャクソンのダンスに匹敵するような彼の完成された立ち回りと、凝縮された脚本、さらに勝新の監督した回なら、彼の類いまれな音や映像のセンスにも驚かされるはず。

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by yomodalite | 2013-01-06 16:51 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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