映画『華麗なる激情』監督:キャロル・リード

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2012年は、ルネサンスや、ミケランジェロと、ローマ帝国に関する本を、もうお腹いっぱい、吐き気がしそうなぐらい読んだ。と言いたいところなんですが、正確にいえば、大抵は途中で止めた。つまらなかったから。




私のミケランジェロへの興味は、マイケル・ジャクソンへの興味から急激に増しているのだけど、その理由のひとつは、現在、ギボンが『ローマ帝国衰亡史』を書いたときほど歴史的過去にはなっていないものの、アメリカが確実に衰退期に入った時代から最盛期までを眺めることができるからだと思う。

1776年にアメリカ合衆国が建国してから、今年(2013年)で、236年。

副島隆彦氏は『隠されたヨーロッパ』で、ルネサンスのことを、300年間ぐらい続いた文芸・芸術・美術運動ではなく、

フィレンツェで繰り広げられた1439年から60年間の新プラトン主義の人文主義者たちの激しい思想運動のこと

と定義されていましたが、私もそれが妥当だと、今は思う。

フリードリヒ2世がルネサンス時代を先取りするような心性の持ち主だったなどというのは、マイケル・ジャクソンが生まれる前に、リンカーン大統領が奴隷解放宣言をした。というぐらいのことであって、

現在まで、ルネサンスの輝きを人々が感じられるのは、ミケランジェロら、芸術家や、人文主義者たちの仕事によるもので、塩野七生氏が、イタリアやローマ帝国に興味をもったきっかけも、そうであるに違いないと思いますが、そこから探求していって、マキャヴェッリや、チェーザレ・ボルジアの魅力に気がついたからといって、彼らは、どの時代にも存在した戦略家や政治家で、人々がルネサンスに思いを抱くときに、それらを特徴づけた人物ではないでしょう。

チェーザレのことを「容姿ことのほか美しく堂々とし、武器を取れば勇猛果敢であった」だなどと言っているのは、戦略家として雇われていたマキャヴェッリだけではないでしょうか。本当にそのように魅力的な人物なら、どうして、ルネサンスの画家たちは、誰も彼を描いておらず、また、彼も描かせていないのでしょう。

同様に、ミケランジェロといえば、陰鬱な性格だったとか、どの本にも見てきたように書かれていますが、周囲のことを気にせず、絵を描くことばかりに没頭していたような画家ならいざ知らず、ミケランジェロは、ローティーンの頃から、画家として優れた才能を認められただけでなく、彫刻家として、石を削るために、彼が描いた人物像とまではいかないにしても、自身も貧弱な肉体ではなかったはずですし、

少年時代から、メディチ家から絶大な支援を受け、プラトン・アカデミーに参加し、当時の一流文化人たちの中で育ち、建築家としても、数々の傑作を遺している彼の作品は、ひとり孤独にアトリエで完成させたようなものはなく、彼は自分の弟子だけでなく、大勢の人を動かして、フィレンツェの街に、その存在感を遺したのだ。そんな男の見た目が魅力的でなかったなんてあり得るだろうか。

美男子かどうかの基準は、いろいろあるとは思いますが、
私は、間違いなくカッコいい男だったに違いないと思っています。

ミケランジェロに関しては、生前から非常に高い名声を得ていて、そのせいで、歴史上の人物としては、多くの記録が遺されているのですが、、それも、MJのことを考えると、どれだけ信じられるか疑問に感じる部分も多くなってきました。

例えば、、

鼻が曲がっていたなどと言うのは、何かもが優れていたために、極わずかな「瑕」を異常に拡大されたのかもしれない… とかね。

と、長いまえがきはこのぐらいにして、ようやく『華麗なる激情』という映画の話に入りますが、、


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この映画は、システィナ礼拝堂に天井画を描くことを依頼したローマ法皇ユリウス2世と、ミケランジェロの葛藤と、ふたりの奇妙な友情を描いた映画。

原作はアーヴィング・ストーンの伝記小説「苦悩と恍惚 The Agony and the Ecstasy」で、ミケランジェロを演じているのは名優チャールトン・ヘストン。私は『十戒』も『ベン・ハー』も観ておらず、全米ライフル協会の会長だったということしか知りませんでしたし、また、ユリウス2世を演じたレックス・ハリスンも、『マイ・フェア・レディ』のヒギンス教授役で有名な方なのですが、私は、おふたりとも、その魅力をこの映画で初めて知りました。



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現実より、登場人物が何倍も見栄えがよくなりがちな歴史映画について、ハンサムな俳優が演じ過ぎていると不満に思うことが多いのですが、この映画のチャールトン・ヘストンと、レックス・ハリスンに関しては、そうは思いませんでした。


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私には、あのシスティナ礼拝堂に絵を描かせたユリウスも、
ミケランジェロも、両方ともカッコいい男にしか思えないからです。

始まってしばらくは、教育用映画のようなナレーションが続くので、最後まで観られるかどうか不安になりますが、それは最初の方だけ。また、この映画の魅力について書かれている数少ないレヴューには、ユリウス役を演じたレックス・ハリスンが魅力的だと、みなさんおっしゃっておられるようですが、私も同意します。



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この頃の教皇というのは、法衣を着て大聖堂にいるだけでなく、戦闘の指揮官でもあり、この映画でも、軍服ファッションが超ステキで、、私は何度も一時停止をして画面を食い入るように観ました。


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ひとつだけ残念だったのは、美青年を期待してしまいがちなラファエロは、極普通のルックスだったということぐらいかな。。でも、そこは、それが真実ではないかと思うんですよね。 なぜかはわかりませんが(笑)







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by yomodalite | 2013-01-03 01:23 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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