オタクの息子に悩んでいます/岡田斗司夫

明けましておめでとうございます!

ここ数年の新春、第1冊目について振り返ってみたところ、

2012年は、内田樹著『うほほいシネクラブ』、2011年は、ネルソン・ジョージ著『スリラー』、2010年は、副島隆彦監修『悪魔の用語辞典』、2009年は、林真理子著『文学少女』、2008年は、副島隆彦著『中国ー赤い資本主義は平和な大国を目指す』を書いていました。

2011年を除けば、どの本も素晴らしく素敵な本でしたが、本書ほど、年頭に最適な本はないように思います。

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

岡田 斗司夫 FREEex/幻冬舎



別に、、オタクの息子に悩んでないんですけど、と思われた方もご安心ください。

本書は、朝日新聞土曜別刷りbeに掲載されている人生相談コーナー「悩みのるつぼ」に投稿された相談から、岡田氏が回答したものをまとめたものなので、ありとあらゆるお悩みに対応されているんです。

それと、新聞に悩みを投稿するような人にも、新聞が出した回答にも興味がないと思われた方、ごもっともです。

新聞は、毎日人にエラそーなことを言いたいだけの人たちによって、手が汚れるうえに、心まで汚れそうなので、私は極力近づかないようにしていますし、以前、朝日新聞「悩みのレッスン」の回答者だったという森岡正博氏の本を読んだときには吐き気を催したこともありました。

でも、地獄への道は善意で敷き詰められていますが、掃き溜めに鶴がいることも確かなんですよね。

また本書にまとめられているのは、相談と回答だけでなく、

その回答にいたるまでのプロセスや、回答者側の葛藤といった、裏側の話も満載なので、読者は、さまざまな悩みについて回答を得られるだけでなく、自分が回答者の立場だったらどうするか、という点においても、高度なプロの技を学ぶことができるんですね。

本書のタイトルにも使われているように、

岡田斗司夫氏といえば、オタクの元祖としてのイメージが強いのですが、私にとって、そのイメージが少し覆されたきっかけは、岡田氏の「マイケル・ジャクソン考」でした。

それは、マイケルが亡くなったときに発せられた、これまでに素晴らしい仕事をしてきた大勢のサブカル界のスター達による、信じられないほど「薄っぺらい感想」の中で、ごく僅かに存在した「真摯」なもので、「オタキング」の称号をもつ岡田氏には、当時それを書く必要があるとは思えなかった内容でした。

それで、その後、「オタキングex」や「FREEex」といった、非常にユニークな会社設立も、興味深いものとは思っていましたが、詳しくは知らず、本書を読んで、ようやく本当の意味で、岡田氏の器の大きさと、彼が、どうしてマイケルに感動したのかという理由もわかったような気がしました。

共通点など考えたこともなく、似ているなどとは一切感じたことはなかったんですが、、

ふたりの共通点は、やっぱり「キング」なんだと思います。

面白くて、読ませる魅力にあふれた「お悩み相談」なら、これからも個性の強い執筆者によって、書かれることがあるでしょう。でも、女子中学生の悩みから、70代の孫に関する悩み、仕事のことから、恋愛や、育児にいたるまで、岡田氏の回答は、

岡田氏の類いまれな個性によって作られたもの。ではありません。

私は、岡田氏がこれほどさまざまな人の気持ちを想像できる人だとは思ってもみなかったので、とても驚き、そして、私だけでなく誰にとっても学べる内容に深く感動しました。

岡田氏と、MJが似ているかどうかは、どうでもいいことですが、
本書は、間違いなく「キング・オブ・お悩み相談」だと思います。

☆☆☆☆☆(満点)


☆参考ブログ
◎著者インタビュー『オタクの息子に悩んでいます』岡田斗司夫氏(前編)
◎著者インタビュー『オタクの息子に悩んでいます』岡田斗司夫氏(後編)
◎プロの悩み方 - 書評 - オタクの息子に悩んでます(404 Blog Not Found)

☆岡田氏の感想すべてに同意するものではありませんが、多くのファンが、自分のきもちを、MJと重ねあわせて感動しているのとは違い、岡田氏は「自分を変えろ」という一番むつかしいメッセージを受け取っているという点が、わたしが「真摯な」と感じた部分だと思います。

◎岡田斗司夫のひとり夜話vol.6 #13(10/02/19)マイケル・ジャクソンの孤独




◎岡田斗司夫のひとり夜話vol.6 #14(10/02/19)マイケル・ジャクソンの孤独




◎岡田斗司夫のひとり夜話vol.6 #15(10/02/19)マイケル・ジャクソンの孤独




☆1家に1冊!!じゃなくて、、ひとり1冊… かな。。
◎[Amazon]オタクの息子に悩んでます

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Commented by jean moulin at 2013-01-04 18:20 x
yomodaliteさん、明けましておめでとう!
本年もどうぞよろしくね。

今年も早速いろんな本のご紹介ありがとう。

前に新聞を購読していた時、人のお悩みなんて全く興味は無かったのだけど、あまりに、個性的な人選と、驚愕の回答に、ついつい読んでしまっていた「悩みのるつぼ」
その回答者の中でも一番認識がなかったのが、この岡田さんなんだけど、なぜか読んでいるうちに、この人の回答いいな、と思うようになっていました。
今回の紹介記事を読んで、その理由も納得できたような気がします。
「なか身検索」で、この本の冒頭読んでみたけど、他に回答者さんへのスタンスの取り方も見事。
(車谷さんから、美輪明宏さんに交替というのも驚いた・・)
Commented by jean moulin at 2013-01-04 18:28 x
もうひとつ、腑に落ちたのが、「This is it」のはなし

確かに、すべて同意という事はないけれど、とてもすっとするコメントだと思う。

「This is it」が多くの人から評価された時、周りの人たちが、
「This is it見たよ! 感動した! 泣けた!」と感想を言ってくれて、とても、嬉しい事なんだけど、なぜか、全く共有できる事がなくて、凍りつくような感覚はあっても、全く泣けなかった自分を疑ってしまい、今も疑っていたのだけど、その事も少し許された気がしました。
そして、その時「感動した!」といってくれた人たちが、今は全くMJと関係無く生きている事も、納得できたし・・。
今年で、4年目だよね。地球は救われるのかなあ?

新年早々、二齣コメントごめんね。
Commented by yomodalite at 2013-01-04 22:54
mourinさん、こちらこそ、今年もよろしくねっ!

新聞での回答を知ってる人も、ネットで読めるものよりも、本は面白いみたいよ。マジでこれを超える「お悩み相談」って難しいと思う。

>その時「感動した!」といってくれた人たちが、今は全くMJと関係無く生きている….

うん。「THIS IS IT」を何度も見たひとって、どんな人の周囲にも大勢いるけど、そのほとんどの人は、ファンブログなんてチェックしてないよね。。

>今年で、4年目だよね。地球は救われるのかなあ?

もう救われない地点にきてるから、MJは警鐘を鳴らしたんでしょ。普通、地球や、環境のことをいう人は、みんな具体的な問題について必ず語るよね。「こうしなくちゃ」てね。MJの「あと4年」発言に関して、いろいろ調べてみたんだけど、岡田氏が言ってるように、メンバーが信じてないというか、よくわかってないのは、MJの問題意識も、具体的で、個別の問題じゃないからだと思う。
Commented by yomodalite at 2013-01-04 22:54
岡田氏のリンクしたインタヴューで「理屈と論理は違う」という部分面白いよね。ホント、頭が良さげにしゃべってる人が論理的なんてこと全然なくて、よくそんな理屈で納得できるなって人ばっかり。でもって、理屈じゃないんだっていう人は、感情むき出しだから、つくづく論理的な人は少ない。

でも、MJはめったにいない論理的な人だから、公にペラペラしゃべることをしたくなかったんだと思うよ。MJが言いたいのは地球全体の問題であって、温暖化とか、Co2だけに集約されてしまう環境問題じゃないでしょう。

でも、少しでも具体的なことを言っちゃうと、理屈の争いになるうえに、そことは別の感情論にもなって、解決策に至ることってホントにない。そんなこともよくわかっているけど、、なんでも目標をたてて、実行することだけを考えてきたMJは、それでも「あきらめるな」って意味で「あと4年」て言っていたと思う。実際に危機は目前だしね。。いろいろと。
Commented by kuma at 2013-01-07 14:45 x
あけましておめでとうございます。 岡田さんのインタヴューを紹介してくださって、ありがとうございました。2013年も、日々MJを考えつつ生きていこうと思っているので、新年早々こういうMJ論を聞けたことが幸せです。
>「理屈と論理は違う」という部分面白いよね。
うん、私なりに腑に落ちるところがありました。なによりその発言が、借り物でもなく、論理のふりでも知ったかぶりでもなく、発言者自身のきちんとした内省から出ているのがいいなぁと思います。 岡田氏がMJの失望について語っているところについては賛同しきれない感もあるのですが、やたらな上から目線や、下から目線から生じているものの多いMJ論の中で、岡田氏の論には心に響いてくるものがありました。
Commented by yomodalite at 2013-01-07 22:13
kumaさん、おめでとうーーーー!!!

>発言者自身のきちんとした内省から出ているのがいいなぁと思います。

うん。私もそこがグッとくるぅ。。

それと、動画じゃなくてインタヴュー(後編)の方の「正しい上から目線」ていうのも、なんかMJぽくない? MJの謙虚さって、キングとしての自覚をもちつつの「下から目線」だしね。他にも「かしこさ2000」なんて「2000Watts」から来てるとしか思えない言葉だしw、もしかして「インヴィンシブル」めちゃめちゃ聞いてるんじゃないかって気がしてきちゃう。
Commented by kuma at 2013-01-09 22:37 x
ほんとだ~。
100とか150と比べるのに、1000ではなくてわざわざ「2000」にしてるところが、Invincible、聴きこんでるくさい(笑)
MJは確かに「正しい上から目線」だよね。どんなに謙虚でも卑屈さとは無縁だしね。それにしても、「正しい上から目線」って、本当に少ないと思う。それだけ難しいのでしょうね。
我が身を振り返れば、いつもアホな上から目線とダメな下から目線のあいだを行ったり来たりしてること多いもんねぇ。
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by yomodalite | 2013-01-01 22:11 | 精神・教育・自己啓発 | Trackback | Comments(7)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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