ズタボロ/ゲッツ板谷

ズタボロ (幻冬舎文庫)

ゲッツ 板谷/幻冬舎



『ワルボロ』『メタボロ』に続く、待望の板谷家サーガ第3弾『ズタボロ』

大切な人を守らなくてはならない!そう思えば思うほど、大切な人への思いに忠実すぎる少年は、そのデッカい愛に翻弄され、終わりのない暴力の世界に、どこまでもどこまでも進んでいく。。

(下記の「青字」はAmazonレヴューから)

発売後10日余にして、既に、Amazonレヴュー9件。私と同じく、続編を待っていた人が多かったのでしょう。暴力的なものは苦手で… という女子のレヴューだけでなく、ここまでのレヴューすべてに共感し、みんな「ゲッツ」のこと愛しているんだなぁと思って、その「愛」にも、もちろん共感してしまう。確かに『ズタボロ』は、

小説は読んだ事ないとか
しばらく活字から遠ざかっていた …


という人にも読めるし、楽しめるかもしれない。でも、

『ワルボロ』『メタボロ』を読んでいない方でもすぐに入っていけると思います。
「ズタボロ」からいきなり読んでも凄く楽しめる作品だと自分は思いました。


に関しては、これまで、そこそこ小説を読んできた人だったら、
絶対に最初から、この自伝的小説を読んで欲しい。

下記は本書の「プロローグ」から(大幅に省略して引用しています)

このシリーズの2冊目『メタボロ』を書いてる時にオレは突然、脳出血を患った。ある日の昼、原稿を書きはじめたら、ちょっと前まで7時間も眠っていたというのに、またメタメタ眠くなってきたのである。で、しょうがないので再びベッドで横になって目を覚ましたら、あろうことか、2ヶ月も経っていたのだ。

そう、その間にオレは脳の血管が切れ、意識を無くして病院にズッーーと入院していたのである。

人間は頭の血管の肝心なところが切れると、まず顔が曲がってしまう。そう、目や鼻や口が定位置にあるのは、実はいつもその位置を脳が管理しているからなのだ。が、その機能が壊れてしまったオレの脳は、その仕事を放棄してしまった。すると途端に口が右に曲がり、それにつられるようにして鼻やアゴまでも右に大きく曲がっていた。目も左右2つの高さが微妙に違い、しかも焦点が全く定まっていなかった。

ウチの家族は病院の先生に「コーイチさんは、文章を書く仕事に戻るのは難しいと思いますね」と言われていたらしい。

が、ある日、突然オレの意識と記憶が戻ったのである。オレの目、鼻、口の場所は元に戻し始め、日常会話も大分まともになってきたが、日本にある県を全部書けという問題には秋田、山形、熊本の3県しか書けなかった。

それでも2カ月後には、オレは短いエッセイを書き、週刊の連載を始め、途中だった『メタボロ』も書き始めた。オレは、自分が完全復活したと思った。これからまたゲラゲラ笑えて、時には少しシリアスな文章もガンガン書いていけるという自信も戻ってきた。

が、それは甘かった…。自分には高次脳機能障害という、その中でも主に記憶障害が残っていて、いくら文章を書いても次々と思い出せない人や物の名前が出てくるのである。途中で何度も(あれ… あの名前何だったっけ?)とつかえていると、早い話が全然話に乗っていけなくなるのである。

そう、オレは文章をリズムで書く方なので、ポンポンと色々なフレーズが飛び出してきて、それを文章に組み立てているうちにドンドン筆が止まらなくなり、また、自分でも笑ってしまうようなギャグが所々でボコン、ボコン!っと出てくる。が、こうも色々な名前が思い出せないと、そのターボが全然かからないのだ。

そう、オレの脳は85%ぐらいは回復しているのだが、文章を書く作業というのは、その残りの15%を主に使うのである。また、友だちと話していても前のようにギャグが出なくなり、だから電話で話す機会も随分減った。

そして、脳出血を患ってから4年が経った時、オレはネットで自分と同じく脳卒中系の病気で倒れたが、見事に復活している人を調べた。が、本格的に倒れた後、以前と変わらなく再び羽ばたけているのはミスチルの桜井くんぐらいで、自分と同じく脳の血管が切れ、しかも、丸2ヶ月も意識と記憶を失ったという物書きは、遂には見つからなかった。

が、オレは、このシリーズで “ある事” をアピールするために最後まで文章を書かなくてはいけない義務がある。

いや、もっとわかり易く言えば、これがプロとして文章を書く最後の仕事になっても構わないから、オレは “ある事” を一本背負いしなければならないのだ。


果たして、今のオレにソレができるのか…。

ま、本来なら4年前に、脳出血で1度終わった才能である。納得のいく内容が書けなくても、それは仕方のないことだ。

でも、オレは書く。とにかく、書いていくっ。だから、まず最初に叫ばせてくれ。

うををををををををををををを〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!

(引用終了)


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徐々に笑いよりも、涙、そして暴力をも加速してきた「ボロ」シリーズですが、本作は今までよりもさらに笑いが少なく、ゲッツ氏独特のリズム感もあまり感じられません。

でも、物語が終わりに近づくにつれて、やっぱりドンドンと惹き込まれていって、最後には泣かずにはいられなかったし、今、プロローグを書き写しているときも、何度も、涙が込み上げてきました。

そしてこの「ズタボロ」は恐怖のプロフェッショナルも現れて暴力描写もキツイのに作者のはにかみと品、周囲の人との愛の力で、いがらっぽい読後感を持つ事などまるで無い。若い人にも読んでもらいたい。「崖から転がり落ちそうになった子を捕まえるライ麦畑の捕まえ役」ホールデンと同じ慈しみのある人が記した青春の書だと思うから。

激しく同意。。まだ、コーちゃんに出逢っていないひとは、
今すぐ『ワルボロ』から是非!!


☆著者によせられた「コメント」も熱いっ!!!
◎[ゲッツ板谷の波風日記]新刊「ズタボロ」、文庫版「メタボロ」発売!!

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◎Amazon『ズタボロ』

☆真紫のスーツに10センチのシークレットブーツを履き、韓国のカジノで2億円負けた日の翌日、その2億円をやはりギャンブルで取り返すというドラマチックかつ超絶下品な「竹脇」が車の中でいつも聴いているオペラ『道化師』の “衣装をつけろ” のアリア。

Pagliacci - 道化師(Daisuke Takahashi)





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by yomodalite | 2012-10-24 12:31 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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