マイケルと神について「Heal The Kidsとは何だったのか」

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☆「エリ・ヴィーゼル Part 2」の続き

人は、古来から神に捧げる「生贄」という神話を創造してきました。十字架にかけられたイエスを、キリスト教徒が「神の子羊」と呼ぶのも、神は人類のためにイエスの犠牲を必要としたという聖書の解釈によるものです。

ヴィーゼルの『夜』が、ユダヤ民族の「教え」にまで影響を与え、ヴィーゼルが神秘宗教化したのも『夜』で描かれた、子供への残虐な行為を「聖なる犠牲」として受け止めたからで、

それらは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という「アブラハムの宗教」に共通してよく知られている「創世記」にある、アブラハムが自分の子どもイサクを神に捧げようとする話に由来しています。

◎イサクを捧げようとするアブラハム:創世記 20-22章

MJに原稿を依頼したユダヤ教の雑誌編集者が、彼の前で歌った「心に響く歌」も
それと同じテーマでした。

◎The Day I Sang for Michael Jackson(2)

神は、アブラハムの信仰を試した。しかし、イサクを本当に捧げようとしたとき、神はアブラハムの真実を認め、子供を助けた。それならば、なぜ、ユダヤの子供は犠牲にならなければならなかったのか。ナチに奪われた幼い子供たちの命は、なんのために「犠牲」になったのか。我々ユダヤ人は、何かを忘れていたのではないか。我々はエルサレムに帰ることを目指して、エジプトを出たのではなかったのか。

ユダヤ教にとって、聖書と「シオニズム」は分離しがたいものなんだと思います。

民族は流浪し、さまざまな土地で生きるすべを磨いているうちに、彼らには、異教徒にはないリアリズムが身に付き、そのため各地で成功するユダヤ人も増え、その土地に馴染むユダヤ人も多くなった。ところが、異教徒たちも、ユダヤ人を真似て同じようなやり方をしだすと、競争が激しくなった。

排除するターゲットを絞ることで、他のグループをひとつにまとめる。
戦争には、旗印が常に必要とされます。

戦争中、ヒトラーはその感情を利用してドイツ国民をひとつにし、戦後、ヒトラーを絶対悪とすることで、ユダヤ民族は結束を固めた。

ヒトラーや、ホロコーストの真実に「偽り」があったとしても、ユダヤ人の差別の歴史は疑いようもない「事実」です。その拭いがたい罪を「ヒトラー」に集中させたのは、ユダヤ人以外の民族の知恵で、ユダヤ人は「表向き」で、その考えに賛同した。。

MJが少年の頃に教育係だったローズファイン先生が「ドイツに着陸するだけで動揺した」という経験は、そのことを如実に語っていますし、

MJもその頃から、ずっとその問題について考えてきて、ユダヤ人に対して深い同情心と、現状の問題点の両面から、人々の心が癒される方法を考えて、ユダヤ教を学ぼうとしたんだと思います。(勉強自体はシュムリーに会う前からしてたと思う。。)

ヴィーゼルが「ホロコースト」を神聖化できたのは、「ホロコースト」という大きな受難を契機に、約束の地エルサレム(イスラエル)を忘れそうになっていたことへ民族的反省を促し、ユダヤ教にとって、聖書と「シオニズム」は分離できないものだということを再認識させたからで、

一般的なユダヤ人と接する機会のない、日本人にとっては「金融ユダヤ人」というイメージが強く「ユダヤ教」も合理的思考をリードしてきたという印象しかありませんが、特別な成功をしなくては生きていけないという環境を背景にして、何事にも励んできたユダヤ人に成功者が多いのは当然ですが、

黒人がみんな歌がうまかったり、運動神経が良いわけではないことと同じく、不器用で、成功とは無縁のユダヤ人も大勢いて、そこにも「断絶」がある。

でも、ヴィーゼルと「ホロコースト神話」には、その両方から支持される魅力があって、だから、ヴィーゼルは「シオニズム」の旗手となり、シュムリーにとっても、ユダヤ教のプリンスであり、民族的英雄なのでしょう。

ユダヤ人ではない、フランス人のモーリヤックも、また、殺人事件で子どもの命を奪われた母親も「子どもの死」という受け入れがたい哀しみに、どうしても意味を求め、犠牲を無駄にしたくないと考えるのは世界共通です。

最近、日本ではめずらしく大きな抗議行動になった、原発デモも「原発再稼働」によって被害が繰り返されることの「恐怖」によるものでしたが、哀しみや、憎しみ、恐怖というのは、平和を望む気持ちよりも強い感情で、国も、民族も、あらゆる集団は、その方がひとつになれる。

でも、ガンジーは戦争が始まったとき、

ヒトラー主義は、反ヒトラー主義によっては打ち負かされないだろう。反ヒトラー主義は、ただ、ヒトラー主義を無限に昂じさせるだけである。(『わたしの非暴力』より)

と言いました。

どんなに罪のない子どもが犠牲になり、加害者に大きな罰を与えたところで、哀しみを癒すことができるのは、結局は「許す」ことだけで「憎しみ」は必ず、哀しみの連鎖を生み出します。

I would never teach hatred, ever. That's not what I'm about.
僕は憎むことは決して教えない。それは僕が言いたいことじゃない。

◎[参考記事]MJの愛読書『預言者』より “罪と罰”


MJの「Heal The World 財団」は、1992年に設立され、設立当初から「子供たちが一番大切だ」というコンセプトを掲げています。

◎[参考記事]THE HEAL THE WORLD FOUNDATION(Legend of MoonWalk)

それなのに、なぜ、2000年にユダヤ人のメンバーとともに、新たに『Heal the Kids』を設立したんでしょうか?

これは、私の想像でしかありませんが、、

MJは、フィンケルスタインとは真逆なスタイルで「ユダヤ人以外の苦しみに心を開くべき時が来ている」ことを語り、ホロコースト神話によって、生み出されている新たなる不幸によって、またしても「犠牲になっている子どもたち」のことを彼らに感じてもらいたかったのではないでしょうか。

シュムリーが語っているように、ヴィーゼルが同情によって心が動く人間で、人の哀しみがわかり「子供の犠牲」によって動かされた人間なら、ユダヤ人が先頭に立って、犠牲になっている子供たちを救う運動をおこすべきだ。と考えたのではないかと思うんです。

シオニズムや、ホロコースト神話や、ユダヤ人への批判よりも、

まだ、なんの歴史をもたない、未来の子どもたちを救おうという気持ちでひとつになることができたら、今起きている不幸も、これから起きる不幸も、防ぐことができ、世界中の大人たちの心も癒される。。

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『Heal the Kids』のシンボルは、

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「メノーラー」と呼ばれるユダヤ教の象徴に似ていませんか?


私には『Heal the Kids』のシンボルは、メノーラーに子供を組み合わせて図案化されたように見えます。メノーラーは燭台をモチーフにしたユダヤ教の象徴で、ユダヤ教のシンボルと言えば「ダビデの星」が有名ですが、

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イスラエルは、国旗は「ダビデの星」ですが、国章は「メノーラー」が使われています。


結果から言えば、MJの計画は上手く行かなかった… 『Heal the Kids』は1年足らずで破綻したようです。

でも、私は、MJがシュムリーからユダヤ教を学んで、ヴィーゼルに会ってくれたおかげで、歴史と宗教と政治が、常に一体になっていることも、ユダヤの歴史や、聖書を、自分に近づけて考えてみることができて、ノーベル平和賞に「2度もノミネート」されてるのに「6歳も年下」のシュムリーから、MJは低姿勢で自分から学んでいた。なんていう自慢も

余裕で許すことができたので … \(^▽^)/

☆「ディーパック・チョプラ Part 1」続きます。


Diana Ross - If we hold on together(日本語+英語字幕)


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Commented by kuma at 2012-09-13 16:48 x
>ディーパック・チョプラ に続きます。

楽しみにしています。そこらへん全然分かっていない、というか、知らないので。
『ホロコースト産業』、読んでみようかなと思ってます。
しかし、まずは、もうすぐやってくる BAD Michael in Wembleyの美しい姿を見て、残暑を寄り切らなくては。
Commented by yomodalite at 2012-09-13 18:25
kumaさんも、励ましコメントありがとう!

チョプラは、スピリチュアル界の大物で、インド系だから「ホロコースト産業」には、一切関係ないんだけど、、『Dancing the Dream』の出版を進めた人物だし、詩にも影響を与えてるから、MJの神との関係も一応押さえておかないとって思ってるの。。(もうすぐアップします)

>もうすぐやってくる BAD Michael in Wembley

kumaさん予約済みなのね。私ね、DVDは確実に欲しいと思ってるし、未収録曲も、スピードデーモンのリミックスも欲しいんだけど、デラックス版の「ライブCD」をどうしようか迷ってて、、

以前、TIIの全曲目書き出した記事に、お礼コメを頂いた人から、DVDの音声版をもらったんだけど、、TIIの「Human Nature」とか、Drill Versionの「They Don't〜」とか、もう音声だけで何度聴いてもいいの。。でも、なんか、BAD25のデラ・パッケージって、ピクチャーCDにもなってないし、BADすでに2回買ってる身としては、パッケージデザインにイマイチ魅力が足りないような気がしてしまって。。(つづく)
Commented by yomodalite at 2012-09-13 18:29
DVDを何度も見てるうちに、ライブCDも配信で買えないかなぁとか、、

http://www.amazon.com/Bad-25th-Anniversary-Deluxe/dp/B0096Y7STM/ref=tmm_other_meta_binding_title_0

米国では、MP3アルバムにライブ入ってるし(ステレオじゃないみたいだけど)、、
(ただし日本から、米国Amazonでは、本やCDは買えるけどMP3はまだ買えない)

そんなわけで、まだ予約してないの。。どーしよー(焦)
Commented by kuma at 2012-09-13 21:33 x
>BADすでに2回買ってる身としては・・・

そうですよね~(笑)。 購入は、ゆっくり考えてで大丈夫じゃないですか。

>『Dancing the Dream』の出版を進めた人物だし、詩にも影響を与えてるから
以前、タイトルが難しいと話題になった、マイケルのQUANTUM leap
という詩ですが、チョプラさんの著書、Quantum Healing(1989)という著書からの影響があるのでしょうかね。読んでいないので分からないですが。
Commented by yomodalite at 2012-09-13 22:41
『Quantum Healing』一応読みました。この本はタイトルからも想像できますが、どちらかと言えば、医療関係者向けですね。

チョプラは、いわゆるスピリチュアルな導師という感じではなく、医者でもあり、伝統的なアーユルヴェーダや、代替医療を、科学的に証明したいということと、病気を治すということは、患部の治療だけを意味せず、

シンクロニシティが、物理学と心理学のミックスであるように、心身両面が重要という観点から、量子物理学を考えているようです。

なので「Quantum」は『クォンタム・ヒーリング』に限らず、チョプラの本には頻繁に登場してるみたい。

>購入は、ゆっくり考えてで大丈夫じゃないですか。

そうなんだけど、、ウェンブリーDVDは、待ちきれないでしょ(泣)
Commented by kuma at 2012-09-13 23:27 x
教えてくださって、ありがとう。
やっぱり、QUANTUM leapの訳は難しいですね。

>ウェンブリーDVDは、待ちきれないでしょ(泣)

こうなったらもう、目をつぶって飛び込んじゃう(leap!)とか?
Commented by yomodalite at 2012-09-14 09:28
>やっぱり、QUANTUM leapの訳は難しいですね。

そうなんだよね。「QUANTUM leap」(量子飛躍)を信じていたのに、ビッグバン否定するなんて矛盾してるよね?しかも、チョプラはバリバリ「カルマ・セオリー」だし、、そこは、私もまだよくわかんないところなんだけど、、

でも、そこが、MJが「Dengerous」期から「Invincible」に向かう時点で、成長したことなんじゃないかなぁ。それで救済されたり、世界が拡がったりするのは否定しないし、若きMJは「時をかける少年」だった時期もあるけど、、

もう、それは自分には必要ないという境地が「Invincible」に繋がったんじゃないかなぁと。。

この続きは、「チョプラ篇」で、またコメント頂けると嬉しいです。
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by yomodalite | 2012-09-09 10:55 | マイケルと神について | Trackback | Comments(7)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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