マイケルと神について「エリ・ヴィーゼル Part 1」

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☆黄金律に従おう(註釈2)の続き

エリ・ヴィーゼルは、マイケルが信じている人ではなく、シュムリーが信じているだけなので関係ないと思われるかもしれませんが、

MJのオックスフォード・スピーチは「Heal The Kids」財団のスタートに伴って行なわれたもので、そこには、シュムリー、エリ・ヴィーゼル、シモン・ペレス(イスラエル前首相。MJはペレスの後のシャロン首相にも会っている)、ユリ・ゲラー、エリザベス・テーラー、というユダヤ教メンバーが揃っていました。

そんな中、マイケルが「僕ならヒトラーの心に触れることが出来る」と言っていたことに、私と同じように胸が熱くなって欲しいので、エリ・ヴィーゼルについて、しつこく続けます。


◎[参考記事]『Heal the Kids』 関連(Legend of MoonWalk)


シュムリーが心から心酔し、MJも「マンデラのような人だね」と言ったヴィーゼル、そのヴィーゼルに、もっとも先鋭的な批判をしたのがノーマン・フィンケルスタイン!!

この2人の本を、自分がユダヤ人だったらどちらを支持するか?
という視点で考えてみませんか。

ちなみに、2人はともにアシュケナージ(白人系ユダヤ人)で、年齢差はあるものの甲乙つけがたい(いかにも学者風の眉間のしわや、その額にかかる銀髪を掻き揚げる仕草とか、高い鼻がたまらないと思うような女子にとっては…w )魅力があり、カリスマ性も申し分ないと思います。

まずは、フィンケルスタインから。


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フィンケルスタインの『ホロコースト産業』は、

ユダヤ人で、収容所から生還した両親をもつフィンケルスタインによる、同胞の創りだした「ホロコースト神話」から発生した様々な問題点をあぶり出した画期的な著作で、

イスラエルやアメリカのユダヤ人団体が、イスラエルの軍事的優位が明白になった1967年以降、ナチによるホロコーストを突然思い出し、ホロコースト生還者の定義を拡大させ、そのことを理由に過大な賠償請求を行っているとした上で、

受け取った賠償金をホロコースト生還者へ適切に分配せず、自らの事業に流用するなどして私物化しているとも批判し、また、米国政府を動かしてスイスから多額の補償金をゆすりとった経過を分析し、2000年に出版。米国国内では完全に黙殺されたものの、世界各国で大きな反響を呼んだ本。

ユダヤ人以外の著者が書いた、読んでいると知らず知らずのうちに脳が単純化される「ユダヤ陰謀論本」(主にイルミナティを悪魔や宇宙人として描く本で、教養の低いクリスチャンを対象に書かれているため、その稚拙さから権力者には何の打撃も与えず、有名芸能人や罪のない多くのユダヤ人を貶める役割だけは大いに果たしているもの)と違い、

本書は、読むだけで、頭が良くなったような錯覚をしてしまうほど切れ味鋭く、フィンケルスタインは「陰謀論」に関してこう述べています。

いわゆる「陰謀論」なるものは、それ自体ここで改めて語る価値のないものだ。しかし、だからと言って、現実の世界で個人や機関が戦略をめぐらせたり陰謀を企てたりすることがないということにはならない。そんなことを信じるのは、巨大な陰謀組織が世界のできごとを操作していると信じるのと同じぐらい子供じみている。

アダム・スミスは『国富論』で、資本家は気晴らしや娯楽の場さえ滅多に顔を合わせないが、交流すれば結局は、大衆に対する陰謀ないし物価値上げの策略となる」この一文でもって、スミスの古典を「陰謀論」と呼ぶ者がいるだろうか。ところが現実には、事実を「政治的に正しくない」やり方で並べたものがあった場合には、その信用を失墜させるための用語として「陰謀論」という言葉が見境なく使われている。

したがって、強力なアメリカ・ユダヤの組織、機関、個人がクリントン政権と手を組んでスイスの銀行に攻撃を仕掛けたと主張することは、明らかな陰謀論とされる(反ユダヤ主義という批判は言わずもがな、だ)。だが、スイスの銀行が共謀してナチ・ホロコーストのユダヤ人生還者とその相続者を攻撃したと主張することは、陰謀論だとは言われない。(本書の序章より)

☆ホロコースト史の第一人者ラウル・ヒルバーグと、オックスフォード大学のアビ・シュライム教授、ともにユダヤ人学者による、フィンケルスタインの終身在職拒否について

◎[動画]フィンケルスタインはなぜ大学から終身在職を拒否されたか


本書の引用を続けます。

(ヴィーゼルを中心に省略して引用)

序論「ユダヤ人以外の苦しみに心を開くべき時が来ている」

本書はホロコースト産業を分析し、告発するためのものである。(中略)ザ・ホロコーストは、各個人による恣意的なものではなく、内的に首尾一貫した構造物である。その中心教義は、重大な政治的、階級的利益を支えている。実際に、ザ・ホロコーストがイデオロギー兵器として必要不可欠であることは、すでに証明済みだ。これを利用することで、世界でもっとも強力な軍事国家のひとつが、その恐るべき人権蹂躙の歴史にもかかわらず「犠牲者」国家の役どころを手に入れているし、合衆国でもっとも成功した民族グループが同様に「犠牲者」としての地位を獲得している。

この犠牲者は途方もない配当を生み出している。その最たるものが、批判に対する免疫性だ。しかも、この免疫性を享受している者は皆ご多分に漏れず、道徳的腐敗を免れていないと言ってよい。この点から見て、エリ・ヴィーゼルがホロコーストの公式通訳者として活動していることは偶然ではない。彼の地位がその人道的活動や文学的才能によって得られたものでないことは明白だ。

ヴィーゼルが指導的役割を演じていられるのは、むしろ、彼がザ・ホロコーストの教義を誤りなく言語化しているからであり、そのことによって、ザ・ホロコーストの基礎となる利益を支えているからである。(中略)

私の両親は、ワルシャワ・ゲットーとナチ強制収容所からの生還者だった。両親以外の親族は、父方も母方もすべてナチに殺された。(中略)私の両親は、死ぬまで毎日のようにそれぞれの過去を追体験していたが、晩年には、大衆向けの見せ物としてのザ・ホロコーストにまったく関心をしめさなくなっていた。

父の親友にアウシュヴィッツの収容所仲間がいた。買収など考えられない左翼の理想主義者で、戦後のドイツからの補償金も信念に基づいて受け取りを拒否していたのだが、最後にはイスラエルのホロコースト博物館「ヤド・ヴァシェム」の館長になった。

父は心から失望し、最後にはこう言ったーーあいつもホロコースト産業に買収された、権力と金のために信念を曲げたのだと。(中略)両親はよく、ナチの大量殺戮をでっちあげたり利用したりすることについて、なぜ私がこれほど憤るのかわからないと言っていた。

いちばん分りやすい答えは、それがイスラエル国の犯罪的な政策と、その政策へのアメリカの支持を正当化するために使われているから、ということだ。(中略)ホロコースト産業の今のキャンペーンは「困窮するホロコースト犠牲者」の名の下にヨーロッパから金をむしり取るためのものであり、彼らの道徳レベルはモンテカルロのカジノの水準にまで低下してしまっている。


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「第2章・ホロコーストの唯一性をめぐる議論の不毛さ」


ホロコーストの唯一性という主張から、ザ・ホロコーストは合理的に理解不能だという主張までは、ほんの一飛びだ。ザ・ホロコーストが歴史に前例のないものなら、それは歴史を越えたものであり、したがって歴史によって把握できないものである。

まさにホロコーストは、説明不能であるが故に唯一無二であり、唯一無二であるが故に説明不能なのである。

ノヴィックはこれを「ホロコーストの神聖化」と揶揄したが、この神秘化を誰よりもさかんに行なっているのがエリ・ヴィーゼルだ。

ヴィーゼルにとってのザ・ホロコーストは、事実上の「神秘」宗教である、というノヴィックの見解は正しい。よってヴィーゼルは朗誦する ーー

ホロコーストは「暗闇へと導き」「すべての解答を否定し」「歴史を越えてとは言わぬまでも、少なくとも歴史の外にあり」「認識も描写も拒絶し」「説明も視覚化もできず」「理解も伝達も決してできない」ものであり、「歴史の破壊」と「宇宙規模での有為転変」を印するものである。その神秘を垣間みることができるのは、生還者という名の聖職者(=ヴィーゼル)のみである。

しかし ーー とヴィーゼルは明言する ーー ザ・ホロコーストの神秘は「伝達不可能であり」「それについて語ることさえできない」。こうしてヴィーゼルは、通常25000ドルの講演料をもらい、運転付きのリムジンで送り迎えを受けながら、アウシュビッツの「真実」という「神秘は沈黙の中にある」と語るのである。

この見方では、ザ・ホロコーストを合理的に理解することは、突き詰めていけば、ザ・ホロコーストを否定することになる。合理性によってザ・ホロコーストの唯一性と神秘性が否定されるからだ。さらに、ザ・ホロコーストをそれ以外の苦しみと比較することも、ヴィーゼルにとっては「ユダヤ人の歴史に対する全面的裏切り」となる。

数年前にニューヨークのあるタブロイド紙がパロディで、「マイケル・ジャクソン、6000万人と核ホロコーストで死亡」という見出しを載せた。するとヴィーゼルは、「昨日起こったことをホロコーストと呼ぶ神経が分らないホロコーストは一つしかない…」と投書欄に激しい声を寄せた。

また、新しい回想録では、

「アウシュヴィッツとヒロシマは20世紀の “2つのホロコースト” 」だと躊躇なく発言したイスラエルの元首相シモン・ペレス(Shimon Peres)を「言ってはならないことを言った」と非難している。

ヴィーゼルお気に入りの決め文句は「ホロコーストの普遍性はその唯一性にある」だ。しかし、比較も理解もできない唯一無二のザ・ホロコーストが、どうすれば普遍的な次元を持つというのだろう。(p57 中略)

もし、エリ・ヴィーゼルが「解釈の第一人者」でなかったら、「アメリカでのホロコーストをめぐる議論はどうなっていただろう」答えを見つけるのは難しくない。ヴィーゼルは、そのイデオロギー的有用性という機能において傑出していた。

ユダヤ人の苦しみの唯一性、永遠に有罪の異教徒と永遠に無罪のユダヤ人、無条件でのイスラエル擁護と無条件でのユダヤ人利益擁護 ー エリ・ヴィーゼルはザ・ホロコーストそのものなのである。

(p63 引用終了)

読書でも映画でも、突如として、MJが登場して驚くことが多いのですけど・・。また、このヴィーゼルが言ってる「昨日起こったこと」って翌日が911だった、30thのこと? でも、911のときに、そんなパロディ無理だよね?。。


次は、ヴィーゼルの魅力について語りたいと思います。

☆「エリ・ヴィーゼル Part 2」に続く


◎以下は参考資料

☆ユダヤ人監督による、MJを「反ユダヤ」だと非難した「ADL」の実体と、
現在の「反ユダヤ主義」やイスラエルを描いた傑作ドキュメンタリ。
イスラエルの少年少女たちが、マイダネク(アウシュヴィッツに次ぐ規模の収容所)
を訪問する様子や、フィンケルスタイン、ミアシャイマー&ウォルトも
その4から登場しますが、ヴィーゼルは登場しません。

◎[映画Defamation]ユダヤ人と名誉毀損 反ユダヤ主義の実体 その1
◎[映画Defamation]ユダヤ人と名誉毀損 反ユダヤ主義の実体 その2
◎[映画Defamation]ユダヤ人と名誉毀損 反ユダヤ主義の実体 その3

(5:25~フィンケルスタインも登場)
◎[映画Defamation]ユダヤ人と名誉毀損 反ユダヤ主義の実体 その4

(8:12~)ミアシャイマー登場。(12:24)~フィンケルスタイン
◎[映画Defamation]ユダヤ人と名誉毀損 反ユダヤ主義の実体 その5

◎[映画Defamation]ユダヤ人と名誉毀損 反ユダヤ主義の実体 その6(終)

◎[参考記事]アメリカの分裂したユダヤ人

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by yomodalite | 2012-09-05 21:21 | マイケルと神について | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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