人種差別、宗教、反ユダヤ主義[2] 『The Michael Jackson Tapes』

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☆人種差別、宗教、反ユダヤ主義[1]『The Michael Jackson Tapes』の続き

P.123~(中段より下)

SB:君は、大人たちがそうだったとしても、若い世代は、優しい心を持っていると信じ続けているの?

MJ:そうだよ。僕は今日までそれを見つけ出そうとしている。僕はユダヤ人の問題もずっと気にかけて来て、すごく大きな問題だと思ってる。

SB:ユダヤ人問題って?

MJ:ホロコーストで孤独に亡くなった子供たちの数を知ったとき…[泣き崩れる]人は何故そんなことができるんだろう? 僕には理解できない。人種が何であるかが、どうして、そんなに重要なんだ? 何であろうが… そんなことは、全く理解できない。人種にどんな条件があるって言うんだ …

僕には、人種差別なんて理解できないし、誰かが、それらを嫌うように、君の心が憎しみでいっぱいになるように、命令するんだろうか? 申し訳ないけど、彼らには、僕の心をそんなふうに変える事はできないよ。君には悪いけど、彼らは君の心は変えられたの?

SB:私たちが影響を受けやすい自分をつくり、正しいことを要求する神との関係を断っていたとしたら、彼らは、私たちの心を変えることが出来ただろうね。


MJ:ヒトラーは天才的な演説家だった。彼は多くの人々の心を憎しみに変えた。彼はショーマンに違いない。彼は演説の前に、少し間を挟んで、少量の水を飲み、のどをすっきりさせ、周囲を見回す。それは、エンターティナーが観客を惹き付けるためにやることと同じなんだ。彼は、演説の最初の言葉から激高していて、その強い口調で叩き付けるように話す。

でも、彼はどこでそんなことを学んだのだろう?彼は学校を退学しているし、彼はそこでは建築家になろうとしていた。彼は多くの失敗を経験している。僕はそういったことは、すべて刑務所で起こったんだと思う。『我が闘争』(☆)にあるようにね。僕は本当にそう信じているんだ。

☆『我が闘争』(Wikipedia)

(SB註:マイケルは、ヒトラーはショーマンとしては素晴らしいものがあると分析していた。私は後になって、ヒトラーの演説を何本も見たがマイケルの分析は間違いなく正しかった。ヒトラーは演説を始めるとき、少し間を取り、そして観衆の期待が高まった後で、ゆっくりと話し始めるのだ。)

SB:彼がその本を書き始めた場所で、彼の計画は練り上げられたと?


MJ:ああ、そうだね。彼は強い怒りを込めてその計画を練り上げた。ネルソン・マンデラとは真逆だね。彼は刑務所で子羊になり、恨みを持たなかった。彼は青春期が過ぎ去ってしまった80才の今日まで、長い間刑務所で過ごした後悔を口にしない。

SB:彼の青春時代が過ぎ去ってしまっていても?

MJ:そう、彼はかわいいんだよね。すごく子供っぽくて

SB:彼もくすくすと笑うの?(☆註2)

MJ:彼は子供たちが大好きで、僕が彼に会いにいったとき、何人かの子供たちと一緒にいたんだけど、「子供たちはここにいてください。マイケル・ジャクソンさんだけこちらにどうぞ」と言われて、僕は「マンデラ氏は子供たちに会うのを嫌がったりしないよ。子供たちが一緒に行けないのなら、僕も行かない」と行ったんだ。マンデラ氏の代理の人が、険しい表情で、僕の顔を見てきたことを憶えているよ。

そのあと代理の人が戻って来て、「みなさん、お入りください」と言った。マンデラ氏は、初めに子供たちのところにかけよってハグをしたんだ。僕はね、マンデラ氏がそんな優しい人だと知っていたし、彼も子供たちが大好きだった。彼は子供たちに話しかけた後に、僕と握手したんだ。それが正しい順序というものだよ。(☆註3)

SB:君はヒトラーとは真逆なんだろうか? 神は驚異的なカリスマ性を君に与えた。ヒトラーが、人間の獣性を表わすなら、君は人間の純真さや神性を引き出したいと考えている。最強の暗黒の力が、ヒトラーの指示によりドイツから放たれることになり、神は今、君に驚異的なカリスマを与えた。君はそのカリスマ性を、人の心にある純真さや神性を引き出すために使っているの?

MJ:僕はそう信じている。僕のショーに来れば、君も変わることが出来るよ。僕のショーは宗教体験のようなものだから。そこに来る前は君はただの1人の男だけど、そこから出て行く頃には、違う人間になっている。実際そうなるんだから。

SB:君は、ショーの目的のひとつとして、人々からそれらを引出すようにしているということ? ただ、観客を楽しませるだけではなく?

MJ:もちろん。観客も僕もそうなんだ。僕たちがコンサートでやっていることを、君にも見せてあげられたらいいのに。ステージに巨大な戦車が登場して、戦車と兵士が、観客に狙いを定め、それから、彼は僕に対して、銃口を向けると、観客全体からブーイングが起こる。どんな国でもそうなんだ… そして僕が銃を取って、それを下に向けると、兵士たちは嘆き始める。そこに、小さな女の子が登場して ーーいつも貧しい農家の少女なんだけどーー 花をひとつ持っていて、兵士の顔を見て渡す。兵士の膝が折れて泣き崩れると、観衆はいつも熱狂するんだ。

それから、僕のスピーチが始まって、別の少年がやってきて手話をする。君がそこにいたら、観客がみんな泣いているのが見るだろう。それは、どこの国でも起こることで、『Earth Song』という曲でのことなんだ。

僕は親善大使のように、世界中でそういったメッセージを広めて来たんだ。その後『Heal the world』では、全世界の子供たちが巨大な地球を取り巻いて、後ろにある大きなスクリーンには、世界中のリーダーたちが映し出されて、それは驚くよ。

一方、他のシンガーたちは、セックスについてとか「ベイビィ、バスタブの中で、君の体のすべてに触りたい」とか歌っていて、僕だけが、どこかのマスコミに変な奴だと叩かれてる。君はその感覚をどう思う?

SB:それは、もちろん正しくないね。

MJ:おかしいと思うだろう?

SB:君が見たものとは、変わっているね。

(SB註:その頃、マイケルはオックスフォードのような場所でスピーチをしたことによって、彼の周囲には信頼のおける尊敬すべき政治家や、育児の専門家が集まり、彼は良い評価を得るようになり、失われていた尊敬を回復しつつあった)

SB:彼らはなぜ理解できなかったんだろう?なぜ、彼らはナチスのような、邪悪(evil)な人たちになったのだろう。


MJ:僕には、彼らの心に近づく方法がないとは思えない。

SB:それは、君がヒトラーと直接向かい合って話すことができたら、ということ…

MJ:そうだよ。まさにそのとおり!彼の周囲には、彼を恐れていた人々ばかりが大勢いたんだ。

SB:もし君がヒトラーと1時間会うことが出来たら、君は何らかの方法で、彼の心に触れることが出来ると信じているということ?

MJ:僕は、絶対に出来ると確信してる。

SB:ヒトラーだよ。マイケル!君は誰であろうと、心の底から邪悪(evil)な人はいないと思っていて、それで、彼の心にも触れられると信じているんだね。だから、君は不正を罰すること良しとしない…

MJ:僕は彼らのような人たちは救って、セラピーを受けさせなければならないと思う。君は、彼らに教えてあげなくちゃ。人生のどこで、何を間違ったのか、彼らは自分が何をしているかわからなくて、それがどれだけ間違っているかもよくわかっていないんだ。

SB:しかし、マイケル、ヒトラーのように、明確に矯正不可能な人々もいる。彼は悪(evil)そのものだ。君が同席するような人間性の欠片もない人間で、見たことがないような深海や暗闇に話しかけるようなものだ。いったいどれだけ大勢の人を殺したと思っている?彼らに与えるセラピーなんてないだろう?彼らは殺人者なんだから、厳しい罰を与えるべきだよ。

MJ:それは、恐ろしいことだと僕は思う。彼らの心に届くような人がいることを僕は望むね。

SB:彼らがすでに罪を犯していて、彼らが殺した犠牲者がいるのに? 

MJ:彼らがすでに罪を犯してしまっていたとしたら、それは間違っているけどね。

(SB註:これは、馬鹿げた話だ。ヒトラーを1時間で変えられると信じている人がいるとは。ヒトラーは、かつて、この世に存在した中で、最も邪悪(evil)な人間だ。その男は、600万人のユダヤ人の殺害はもちろん、100万人の子供たちも同じように計画的にガス室で殺害した。マイケルは純真だから許すことができるのだろう。

しかし、暗闇を光に、悪(evil)を善(goodness)に変えることができると信じている人間には、通常の善悪のルールは通用しない。マイケルは自分には、子供たちを癒す特別なヒーリングパワーがあると信じていて、その能力は、他の人々には間違って見えたとしても、彼には心地よいものだった。

実際のところ、私は、マイケルのヒトラーへのコメントについて、彼をもっと説得すべきだった。私は、彼に、「マイケル!君は救世主(Messiah)じゃないんだ」と言うべきだった。君は、第二次世界大戦を止められなかったじゃないか。私はそうしなかった自分の臆病を後悔している。しかし、私は重大な判断をせまる問題に対しては、柔軟な姿勢でアプローチすることにした)

SB:ここまでの話をまとめてみると、君が、世界を子供の目を通して見ようという意見は面白い。了解だ。だが一方で、子供にとって、本当に邪悪(truly evil)な人間を見分けることは難しい。それは、子供が人を信じやすいという問題でもあり、同時に、君が抱えている問題でもある。(☆註4)

たとえ、どんなに有害な悪人であっても、君は良いところがあると言いたい。それなら、人を裁くシステムについては誰かに依頼したらどうだろう。それは君が世界に貢献するようなことではなく、率直に言って、その件に関して君は良くない仕事をしてしまう恐れがある。(☆註5)

残酷な行為による「大人の世界」の罪を知れば、君も刑罰が必要だと思うようになる。しかし、子供の世界ではそれらは存在しないので、君は処罰を必要としないなどと言うんだろう。しかし、マイケル、君はヒトラーの心に触れることが出来るなんて、本当に考えているの?


MJ:間違いなくそう思ってるよ。

SB:何らかの方法で、ヒトラーの良いところを見つけることが出来ると?

MJ:うん。僕はできると思っているし、実際に出来るよ。誰も彼と本当に話をしたことがないんだよ。僕が思うに、彼は、こんな言い方は嫌いなんだけど、ご機嫌取りのような連中に囲まれていたと思う。事実、彼らはそんな感じで、それは、ヒトラーが求めたことでもあり、彼の周囲もそうしていた。

SB:ヒトラーには、挑む人間が誰もいなかったということ?

MJ:ドイツには、ヒトラーに反対する人間もいた。彼らはヒトラーを殺すことだって挑戦したよ。憶えてるだろう?

SB:ああ、クラウス・フォン・シュタウフェンベルク(☆)だね。しかし、彼と彼の賛同者は、1千万人の人口のうち、多くても数百人だった。このような話の場合、私と君の意見にはかなりの距離がある。ヒトラーは本質的に邪悪だ(intrinsically evil)。君には彼の心に触れることは出来ない。この問題で人々ができる唯一の方法は、彼らをこの世界から追い出すことだけだ。(☆註6)

☆クラウス・フォン・シュタウフェンベルク(Wikipedia)

◎ヒトラー暗殺計画(Wikipedia)

SB:君は酷い報道をして来た人々や、子供を傷つける人々を除いて、君の心の中のすべての人々を許して来たのかい?

MJ:そうだよ。(☆註7)

☆人種差別、宗教、反ユダヤ主義(註釈)に続く



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Commented by Tocca at 2012-08-21 13:27 x
こんにちは、毎回楽しみに読ませていただいてます。

ヒトラー…ドイツ語はわかりませんが、確かに人を惹きつける話し方を彼はしますね。演説している時の姿勢も絵になっていますし…マイケルがショーマンと評価するのも納得です。
このラビに代表される様に、ユダヤ人のヒトラーやナチスに対する捉え方は(ホロコーストの件で当たり前なんですが)何処か
いつも一辺倒ではありますね。
マイケルはその辺りも含めて、ヒトラーの事を話題にしているのかもしれませんね。

ヒトラーの心を変えられる…マイケルにしか言えないなあ(^_^)
ラビの説明もわかるけど、きっとマイケルは自分の仕事を心から誇りに思っているのでしょうね。
Commented by yomodalite at 2012-08-21 17:27

>ヒトラー…確かに人を惹きつける話し方を彼はしますね

私は、MJが言ってるように、演説の前に、少し間を挟んで … 周囲を見回してから、、という感じの演説を見たことがなくて、ヒトラーのショーマンぶりに関しては、イマイチわからないんですけど、、(それがわかる感じの映像を見つけたら、ぜひ教えてくださいませ)

>このラビに代表される様に、… いつも一辺倒ではありますね。

なんだかね、笑い事じゃないんだけど、、でも、シュムリーは、神よりも、ヒトラーが悪魔だってことの方を信じてるよね(笑)(つづく)
Commented by yomodalite at 2012-08-21 17:27
>ヒトラーの心を変えられる…マイケルにしか言えないなあ(^_^)

うん、、でも、これ読んでると、ヒトラーより、シュムリーを変えることの方が難しいと思えて来ちゃう(そして、たぶん、MJもそう思ったw)

人間に「天使と悪魔」が共存していることがわからなくて、純粋に悪魔(もしくは天使)を信仰している人のことを「偽善者」と言い、偽善にまみれた権威社会から、人々を救おうとする人のことを「救世主」と言う。

だから、シュムリーは、イエスのことも、MJのことも「認めている」ようで、実際はその何倍も「ヒトラー」の方を信じてる。。でも、そんな風にシュムリーのことを笑えないぐらい、私たちも「悪魔」の方を信じていて、それが「知性」だと勘違いしているのだ。
Commented by Tocca at 2012-08-21 23:05 x
そうですね~、ずーっと「悪魔、悪魔」と連呼してますもんね(-。-;
ラビにとってはそのニ文字に尽きるのでしょうね。

ヒトラー自身の評価は、ナチスの集団心理の怖さが背景にあるからこそですよね。
人によっては、誤解される話題をあえてマイケルが話してるのは、やっぱりラビに…ですね。悪い事例に心を奪われてしまうのは、古今東西変わらないのかもしれません。

映像は随分前に民放のとある番組で
「演説の達人」紹介でヒトラーが取り上げられたのを観ました。
大衆の熱狂の渦が頂点になるまで焦らし(どなたかにそっくり^^;) 、静かに話し出して徐々にクライマックスに向けて盛り上げる…な~んて技を紹介してました。ドイツ語がとてもカッコ良く聞こえますね。
ヒストリーCH(CS)の戦争特集とかだと観れるのかもしれませんが、
DVD(あるのかな〜?)とかまではチェックしてないので??
頼りない情報でスミマセン(ーー;)
Commented by yomodalite at 2012-08-22 12:50
>ずーっと「悪魔、悪魔」と連呼してますもんね

Toccaさんに言われて、ハッと気づいたんだけど「悪魔」って言ってたのは、私でした(汗!)

MJは「Devil」を使用してるけど、シュムリーは「evil」と言ってるのね。流石!ユダヤ教のラビと妙なところで感心して、この表現はちゃんと区別しておいた方がいいと思ったので、上の文章の「悪魔」は「邪悪」「悪」に変更しました。

私がコメント内で言った、神よりも悪魔という意味は、神よりも「人の悪」を信じているという意味で問題ないかと、、むしろ正悪、善悪へのこだわりという点を強調したいと思います。

>ヒストリーCH(CS)の戦争特集

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by yomodalite | 2012-08-21 12:17 | マイケルと神について | Trackback | Comments(5)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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