隠された歴史 ー そもそも仏教とは何ものか?/副島隆彦

隠された歴史 そもそも仏教とは何ものか?

副島 隆彦/PHP研究所



猛暑の中、もっと軽いエンタメ本を望んでいたにも関わらず、仏教とは何か?というテーマの本に齧りついてしまいました。

副島氏は、今年の8月までに、『中国は世界恐慌を乗り越える』『ロスチャイルド 200年の栄光と挫折』『国家は有罪(えんざい)をこうして創る』『中国 崩壊か 繁栄か!?』『欧米日 やらせの景気回復』『ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ』 『アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界』などなど、熱心なファンでも読み切れないほど、多くの著作を出版されているのですが、

私は本書に一番期待していて、発売直後に急いで読み、出版社の「仏教についての衝撃の宗教論」という宣伝に嘘はないと思いました。いわゆる日本仏教的な考えに慣れている人だけでなく、日本最高峰のインド哲学者で、仏教学者でもある中村元氏の著者を読んできたような方でも、知的興奮を覚える内容で、衝撃をうける箇所も、人によって様々ではないでしょうか。

副島氏の熱心な読者にとっては、この本は『時代を見通す力』の続編という部分もあり、また、副島氏の先生でもある小室直樹氏の宗教論から、さらに展開された内容になっていると思いました。

本書の中から、副島氏が出した結論を、3つだけ紹介すると、

◎キリスト教と仏教は、同じである

◎般若心経は、ブッダの教えとは異なる

◎ブッダもイエスも大乗仏教ではない

ということ。

副島氏は、ブッダとイエスは同じ思想をもっていて、2人の共通点は、この世のすべての人間を現世の苦しみから救おうとしたという点で、だから、副島氏はブッダとイエスが大好き!だそうです(はぁと)

ですが、、、残念なことに、

ブッダとイエスの「救済」は、失敗に終わり、人類の救済はなく、おそらくこれから先もない(ぐっすん)

とも書いておられるんです。

「人類の救済はない」これからも、、ない。

ということに、ショックを受ける方も多いかと思いますが、

ここが、すごく大事なところで、、

私は、本書を読む前から、私たちが知ることができる人物としては、マイケル・ジャクソンと三島由紀夫だけが、本当にそのことを理解していた。と思っていました。

それは、ここでは書ききれないので「マイケルと神について」という記事を書き始めましたが、ものすごく長いので、くれぐれも副島ファンの方はご覧にならないでくださいw

さて、本書は赤線を引きたいところが、多過ぎる本なのですが、

第六章「般若心経になぜ仏陀の名前は無いのか?」から下記をメモしておきます。

(p142から省略して引用しています)

「中論」は「すべては無である」といっているのではない。「有」とともに「無」を否定しているのである。西洋のアリストテレス以来の実在論では、有か無かどちらかである。有でければ、それは無、無である。無でなければ有なのである。ところがナーガルジュナを始祖とする仏教の論理(副島隆彦註。すなわち、それはブッダその人の教えではない)はそうは考えない。

江戸前期の臨済僧である至道無難(しどうぶなん)が主張した「草木国土、悉皆成仏」
(『仮名法語』)の中に、

草木も 国土もさらに なかりけり 仏といふも なおなかりける

という歌がある。(臨済宗の)祖師の1人である仏教僧が、空(くう)を説明して人々を教え導くために「仏はいない」と公然といっているのである。

破天荒の秀才と言われた法然は、さらに激しい。法然は、どんなに仏法を学んでもどうしても納得することができず、栄西(ようさい)の元を訪れて、仏について質問した。栄西が答えて曰く。

「仏などいない。いるのは狸と狐ばかりである」(中略)

キリスト教はヘレニズム世界(ギリシャ文明)を通過したときにギリシャ思想の洗礼を受けており、アリストテレスの実在論を根強く受継いでいるのである。だからどうしても、「無」であれば「有」ではないと考えてしまう。

しかし、(ナーガルジュナによって作られた西暦2世紀から後の仏教によると)実在論を否定する。実在論と、形式論理学を超えるナーガルジュナの論法を用いる。そのため以後の仏教とは、「無」であると同時に、「有」であっても、それで一向に平然としていられる。「仏なんか無い」といったそばから、仏様を肯定し仏様に礼拝し、仏像をつくってこれにもまた礼拝する。(中略)まさしく、一切は、空であるからである。(中略)

西暦150年にナーガルジュナ(龍樹)によって創られた大乗仏教は、キリスト教のマリアさまが阿弥陀如来と観世音菩薩となって、その中に組み込まれた。「般若心経」=中観派の思想は、ゴータマ・ブッダ(釈迦)その人の思想とは異なるのだ、と強く主張する。私にとっては、このことは重要である。そして「空とは無である」「死ねばすべて無となる」とする法相宗の立場を私は決然として支持する。

小室直樹先生は、この法相宗という、ブッダその人の思いを最も正しく強固に保持している宗派について、次のように鋭く解説した。それはまさしく「輪廻転生」の否定である。

以下、『日本人のための宗教原論』のP208~210から、本書より省略して引用。

法相宗の徹底的解説、これが『豊穣の海』の大切な1つのテーゼなのだが、残念ながら、この点を学者も宗教者も文芸評論家も指摘していない。宗教を知らないからなのだ。これまでの大方の評論家や読者は『豊穣の海』を輪廻転生の物語と理解している。(中略)聡子の言葉を正当に解釈し、理解すれば、三島が言っていることが理解できる、つまり、人間の魂が輪廻することはない、ということである。(中略)

唯識の思想は大変難解だが、一言でいえば、「万物流転」、すべてのものは移り変わる、ということである。(中略)

結論から言えば、魂の輪廻転生を否定した三島は、
生まれ変わって復活するのは何かという宿題を読者に残した。


(小室氏の文章引用終了)

私は、この法相宗の立場を支持し、三島由紀夫を愛惜し追慕する。(中略)

ここから「般若心経」そのものを解説する。まず、このお教の全文を私なりに分かった自分の翻訳文を載せる。(←本書でお読みください)

私の理解では、このお経はブッダの弟子の舎利子(シャーリープトラー)が書いて伝えたもので、さらにその上に龍樹が自分の「空」の思想(中観)を混ぜ入れて書いた、とする。(中略)

このお経には、ついにゴータマ・ブッダその人は現れなかった。ブッダはどこに行ったのだ。観音菩薩(アヴァローキテーシュヴァラ)と舎利子に、説いた(教えた)のはゴータマ・ブッダその人であるだろうか?そんなことは、どこにも書いていない。

(後文略。引用終了)

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___________

[目次]

第1章:お釈迦様の教えはどこへ行ったのか
日本人がうっかり信じ込んでいること
マグダラのマリア?
観音菩薩、弥勒菩薩の「菩薩」とは何か
大仏は大日如来である
チベット仏教の思想
GODは神(かみ)ではなく天(てん)と訳すべきだ
お釈迦様と観音菩薩
ブッダとキリストが望んだ人類の救済はなかった
日本ではブッダと阿弥陀如来の像は区別がつかない
人類の文明は2500年前から下り坂/修行の主流は出家すること
カースト制度を激しく嫌ったお釈迦様)

第2章:2世紀頃、仏教にキリスト教が流れ込んだ
ギリシャ、ローマの影響を受けたガンダーラ美術と仏教伝来
敦煌の仏教壁画
私が2000年にすでに書いていたこと
キリスト教の影響を受けた観音様はマリア様

第3章:ブッダの言葉こそ本当の仏教
釈迦=ブッダの一生
ブッダが必死で修行した町
「無益な苦行を行うことは、どうも無駄なことだ」
ブッダの死語250年を経て現れたアショーカ王
根元のところで仏教を理解する
輪廻転生は仏教思想ではない
仏教を教団化した極悪人デーヴァダッタ

第4章:宗教の中心は「救済を求める思想」
「人間は死んだら全て終わりであり、消滅し、無に帰る」
龍樹がつくった大乗仏教
救済を求める思想
救済を求めない自力としての禅宗

第5章:救済思想の否定として生まれた禅宗
中国人仏僧がさまざまな仏教の宗派を生み出した
「何者も信じない」禅の思想
『臨済録』の真髄/禅は徹底的に自力
密貿易の文書作成係だった日本の臨済宗の僧侶
禅僧の思想が行き着いたもの

第6章:般若心経になぜブッダの名前は無いのか?
262文字の般若心経
小室直樹先生による空の思想の解説
輪廻転生の否定
副島隆彦による般若心経の翻訳
大乗の「四諦八正道」(したいはっしょうどう)などについて

第7章:「悪人正機説」を解体すると見えてくること
「世尊布施論」(せそんふせろん)こそは日本に伝わったキリスト教の「聖書」そのものである
悪人正機説の本当の意味/親鸞の教え
キリスト(教)あるいはブッダ(=仏)教における「愛」
キリスト教と仏教は、同じである

第8章:法華経を通じて見えてくる大乗仏教の正体
法華経について
観音経は法華経の一部

第9章:現代の阿弥陀如来の姿
インドの神さまたち
大日如来はチベット仏教で密教の仏様
現代の阿弥陀如来は何になって生きているか―結論
ハイデガーの「最後の人論」とガルブレイスの「ゆたかな社会」
オタク(ナード)こそが人類の新しい進むべき道である
コミケに行ってわかった現代の阿弥陀如来

第10章:道教とキリスト教
『三国志演義』の義兄弟の思想
中国の道教も起源は伝来したキリスト教であろう
中国を侵略した悪いイギリス
阿弥陀、観音様を信じながら、「キリスト教を信仰している」と言った中国人女性たち
人類のあけぼのはバグダッドのシュメール人

第11章:現代と救済
空海と最澄
空海が言った弥勒下生(みろくげしょう)
キリストの復活と再臨

あとがき



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by yomodalite | 2012-08-03 08:14 | 宗教・哲学・思想 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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