映画『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』監督:若松孝二

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三島作品を読んで、小説も評論も面白いし、素晴らしい作家だということもわかるけど、三島由紀夫の世界にはイマイチよくわからないところがあり、美的感覚が違うというか、特に、右翼のアイコンのような肖像写真や、また、自決という最期にはもっとも受け入れがたい感覚を感じる。と言うひとは、すごく多いと思います。

私もかつてはそうでした。

そこから、異なる「三島由紀夫」が見え始めたのは、歴史に残る天才のことは、かなり後になってからでないとわからないものだと、最近になって、ようやく分ってきたからなんですが、日本で三島を映画にするためには、40年以上を必要とし、そして、今年ついにそのときが来たようです。

この映画は、三島が自決に至るまでのストーリーが詳しくないので、誰にでも「お薦め」とは言えないのだけど、でも、

とてもとても「良い映画」でした。

三島を演じた、井浦新(この役のために、ARATAから改名。いうらあらた)さんは、三島には、まったく似ていないのに、「三島由紀夫」が乗り移っているようで、

そして、それは、新さんだけでなく、森田必勝を演じた、満島真之介さん(満島ひかりさんの実弟)も、そうでした。(満島さんは、アポイントなしで、必勝の生家を訪ねられたのに、玄関で満島さんを見た、実のお兄さんは、必勝が帰ってきたと思われたそうです。こちらも、顔立ちはまったく似ていないのにも関わらず… )


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この映画を一緒に観た、私よりも遥かに三島ファンのアラフォー女子は、若松監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』の描写の激しさから不安を抱いていて、私も彼女も残酷シーンや血の描写にすごく弱いのだけど、三島の最期だけはしっかり見届けないと、、という思いがあって、それで、なんだか緊張していたんです。

でも、映画が始まると、その不安は徐々に消えていって、私たちは二人とも少し泣きながらこの映画を見届けました。

井浦新さんの演技に対して、パンフ(遊学社から近日中に店頭でも発売予定。内容充実1000円)では、

人間・三島由紀夫、若くして苦悩する三島由紀夫がそこに存在していた
(一水会顧問、鈴木邦男)

新さんが、これほどの存在感ある役者さんだったとは。若松監督が三島たちを意気に感じて映画にしようとした、その感覚が、新さんに何ものかを呼び覚まさせたようだ
(社会学者・宮台真司)

とあり、実際に知っている人も、そうでない人も、誰もが、井浦新さんの「三島」に魅せられるようです。私は、三島の精神のバトンが繋がったように感じて、すごく嬉しくなりました。

これは、わたしが観たいと思っていた以上の映画でした。迷っている人は是非!

映画のエンディング曲
◎BELAKISS - ONLY YOU
◎[訳詞]BELAKISS - ONLY YOU

若松プロダクション ‏@wakamatsu_koji
若松孝二ブログ更新:「テアトル新宿ファイナルイベント決定!」"もう一度、劇場でお客様たちと語り合いたいと急遽ファイナルイベントが決定した!日時:7/8(日)14:05回終了後、 場所:テアトル新宿、予定ゲスト:若松孝二、井浦新、鈴木邦男”

「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」予告編
[公式サイト]11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち



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Commented by jean moulin at 2012-06-27 18:16 x
yomodaliteさん、「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」のご紹介どうもありがとう。
やっぱり、良かったんだね。
実は、トレーラーだけでも、結構ぐっときてしまって・・。
何度見て、聴いて、読んだかしれない「東大全共闘」との対話にシーンが、なぜか全然違和感がなく、(井浦新は全然三島に似てないし、全くお金もかかってなさそうにも関わらず・・)。
むしろ、当時の映像より、本意がストレートに伝わってくる気がしてたの。
DVD待ちでいいかなって思ってたけど、やっぱり、無理無理でも見に行こうかな。
Commented by yomodalite at 2012-06-27 18:56
>「東大全共闘」との対話にシーン

そこだけじゃなくて、他にも、知ってるセリフが多くて、グッと来るよ。変な脚色がされてなくて、事実が切り取られていて、そのチョイスが絶妙だから、鈴木邦男氏だけでなく、田原総一郎氏も「人間・三島由紀夫を俳優を使ってドキュメントにした、文句なしの力作」と言ってるし、

三島を実際に知ってる人に、新さんは、違和感を感じさせないだけでなく、本人以上に「三島由紀夫」を正確に表現しているって感じなの。

小品だから、DVDでも良さそうなんだけど、「TII」のDVDを持っていても、映画館で見たくなるのと、同じような感覚で、映画館で見ると、三島に会えるような気がするよ。私ももう一回観に行きたいなって思うのは、三島に会いたいっていう気持ちなんだよね。
Commented by jean moulin at 2013-09-17 18:30 x
Yomodaliteさん、すっごーい今更なんだけど、「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」観たよ!

うん、想像以上に良かった!
三島の言葉のセレクトも構成も見事だったし、井浦新さんも、満島真之介さんも、本当乗り移ってるという言葉が、ぴったり。
徹底して、三島の文学の部分を廃して、「行動」に焦点を当ててるのが、すばらしい。
三島嫌いの旦那さんも、この映画で随分見方が変わったみたい。
もう、三島邸の室内が建て売り住宅みたいでも、井浦新さんの筋肉が足りなくても全然オッケー。
ただ、寺島しのぶさん必要?って思ったのは私だけ?
Commented by yomodalite at 2013-09-17 19:00
>三島嫌いの旦那さんも、この映画で随分見方が変わったみたい。
>三島邸の室内が建て売り住宅みたいでも、井浦新さんの筋肉が足りなくても全然オッケー。

でしょでしょ!今まで「?」て思ってた人の見方も変わるし、元々好きだった人も満足しちゃうし、イイ映画だよね。新さんは、三島に全然似てないんだけど、むしろ、色がついてしまった三島のイメージを覆すことに成功してて、今、新たに蘇った三島には「ピッタリ」なんだよね。

>ただ、寺島しのぶさん必要?って思ったのは私だけ?

うんとね、、そこは私にはよくわかんないけど、たださ、若松監督にとって、寺島さんて、成功の女神なんじゃない。だから、この映画にも絶対必要だったんじゃないかな。でも実際の三島にとっても、奥さんの存在ってミステリアスだよね。そのあたりも、あの人に似てたりしてw
Commented by jean moulin at 2013-09-18 18:30 x
>寺島さんて、成功の女神なんじゃない
うん、何がなんでもっていうのは、伝わってくる。
で、この映画も成功だから、やっぱり必要だったんだね。

>奥さんの存在ってミステリアス
そうだね、三島夫人の人物像って、全く浮かび上がってこないよね。

>あの人に似てたりしてw
うふふ、そう思う・・
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by yomodalite | 2012-06-26 22:02 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(5)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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