米国 ユダヤ人 キリスト教の真実/西村肇

本書の著者の西村肇氏は、2011年4月8日に、福島原発事故から放出された放射能の量を物理計算で測定した方です。

◎[USTREAM]理論物理計算が示す福島原発事故の真相(2011.4.9)

私は、2桁の足し算引き算以上の計算とか、数式とか見るだけで「おえっー」となる方なので、これを見てもよくわかりませんし、西村氏がどんな方なのかも全然知らなかったのですが、原発への意見を述べられる方が、物理計算だけでなく、公害や、ガンの著書もあり、尚かつ、米国にも詳しいということに興味をもち、下記の2冊を読んでみました。

◎見えてきたガンの正体(1999年出版)
◎米国 ユダヤ人 キリスト教の真実(2011.10.31出版)

例えば、放射能は低い線量でもガンを起こすことがある….とか言われても、そもそも癌の原因って特定できるの?とか、煙草がガンに影響するという夥しい量の科学的データはよく見るけど、成人男性の多くが煙草を吸っていた時代と、ほとんど吸わなくなった現代と比べて、目に見えて癌が減ってる?とか、禁煙者が増え、寿命が伸びて、介護が必要な老人は明らかに増えたような気がするけど、それで、世の中は「健康」になったの?とか、もう、とにかく疑問でいっぱいだったんですが

『見えてきたガンの正体』は、ガンの治療法とか、ガンをどう生きるかというような内容ではなく、「ガンとは何か?」という内容で、遺伝子とガン、細胞がガンになる理由、なぜガンになるのか?、ガンは治せるのか?など、科学者による「ガン」をテーマにした類書があまりないような興味深い本。

でも、『米国 ユダヤ人 キリスト教の真実』は、もっとめずらしい本のような気がするので、こちらを紹介します。(下記は「まえがき」から引用)

本書は「ユダヤ人はなぜ優秀なのか」という若い頃のわたしの単純素朴な疑問に発した半世紀の関心と研究の集大成ですが、本書成立の直接の動機は5年前(2006年)に行った講演、将来予測「米国・ユダヤ人・キリスト教」です。「米国」と「ユダヤ人」と「キリスト教」を並列した理由は、米国という国は「ユダヤ人」と「キリスト教白人」(white Protestant)との熾烈な争いの国なので、将来を予測するには両者の戦いを読み切ることが必要だからです。(引用終了)

☆「まえがき」全文はこちらで読めます。

日本人には、アメリカを語る人も、その影響が大きい人も大勢いるのだけど、この3つ全てを語れる人はすごく少ないし、特に「ユダヤ」をお題にした本の「当たり率」の低さはハンパないので、知ろうとすればするほど、アホになるということも多いですよね。

本書のタイトルに挙げられた、この3つのテーマは、多くの日本人が疑問に思っていても、なかなか理解できないテーマではないでしょうか。でも、アメリカでは、とか、ニューヨークタイムスでは… など、私たちは日常的によく聞いてますけど、ユダヤ人や、キリスト教のことがわからずに「アメリカ」のことなんて、わかるわけない。ということを噛み締めたくなるような内容であると同時に、

私たちには理解しにくい、キリスト教や、ユダヤ人ですが、クリスチャンが、ユダヤ人を差別する感情には、私たちとそんなに変わらない点があるように思えたり、また、普通のアメリカ人が「科学が苦手」で「天才が嫌い」であるという事実は、意外なようでありながら、今の日本の閉塞感と似ているような…

第三章「100年前にはじまった技術没落」から省略して引用します。

米国の技術の歴史を見ていて一番の驚きは、この120年の間に起きた2つの「技術革命」について調べると、それ自身の性格と、それを支えた人間の性格がまったく違うことです。第1の革命とは「電化」「自動車」など生活を一変させる産業革命で、エジソン、カーネギー、フォードなど「発明の天才」と「事業の天才」によって支えられました。これらの天才たちはテスラ1人をのぞき、すべて White Protestant でした。

第2の技術革命の始まりは1945年の原子爆弾開発の成功です。これによって米国は、戦後、世界帝国になる道が開かれました。この第2の技術革命の中心になったのは、すべてナチスの迫害を逃れ米国に移住したユダヤ人たちであり、White Protestant 白人はいません。この実績によって米国の技術分野での実質的主導権は、完全に White Protestant の手を離れ、ユダヤ人に移ったと見られます。

この劇的な変化が起こった理由は、原子爆弾以降は、理論物理学を創り上げる「天才的頭脳」が技術革命成功の「決め手」になったのに、当時の米国には、ユダヤ人オッペンハイマー以外には天才級の理論物理学者はいなかったのです。日本でさえ「湯川」「朝永」の二人がいたのに「電化」と「無線通信」で世界の技術革命をリードしていた米国が、なぜ物理学革命では、まったく「かや」の外だったのか。

一般の人に「科学」と「天才」が受け入れがたい最大の理由は、「科学」の性格について誤解があるからと思います。例えば、ガリレオの地動説のように「科学」と「常識」が対立した時、科学が勝つのは、科学が「正しく」「確か」であり、「理論にあっている」からと考えますが、これはまったくの誤解です。

「確か」で「理屈に合っている」のは「常識」の方です。人々の経験から「確か」なのは「大地が平で不動」であるということです。「地動説」がいうように、1日1回自転しているという感覚はまったくありません。「理屈」にも合いません。地球のように巨大な物体が自転したら、すごい「遠心力」が生じ、地表のものはすべて「宇宙空間」に吹き飛ばされてしまう筈です。(中略)

今の人はこれをすべて「万有引力」で説明しますが「万有引力」がこのような「地動説の困難」を解決するために、ガリレオの死後、ニュートンが考えだした「仮説」であって、実験的に証明されたものではありません。(中略)

科学=真理は、最初は「確かでもなく」「理屈にも合わない」主張から始まります。しかしその正しさを確信できる根拠を見つけたら、まっすぐにそれを主張するのが天才です。そのような天才を根絶やしにしては、科学は成り立ちません。

これは理屈を言い合う Debate を好み、つじつまの合った話の方が正しいと思う米国人の弱点です。

(引用終了)


優れた科学者を生み出してきた日本ですけど、科学者を大事にせず、国外流出も気にせず、発明・創造を好む理系創業者から、経営優先のゼネラリストがトップに立ったことで、企業がダメになっただけでなく、その企業に大きな口出しをする官僚もゼネラリスト… なんだか、日本全体が沈没しそうになっている理由と似ているような気がしました。

「つじつまの合う話」が好きなのは、アメリカ人だけでなく、たぶん、日本も、日本人なりの「つじつまのあう話」が好きなのかもしれません。

この本の面白さは多岐にわたっていて、タイトルに記されたとおり「物理学者が発見した米国 ユダヤ人 キリスト教の真実 技術・科学と人間と経済の裏面」という、本当に盛りだくさんの内容から「未来予測」にまで言及されているので、内容を紹介するのも難しいのですが、こういった「切り口」で、本を書ける著者は、他にはおられないのではないでしょうか。

見た目の安っぽさ(失礼)とは真逆で、13ミリほどの厚みに、米国の歴史がギュッと凝縮されていて、10冊以上の本をショートカット出来るような内容。上記引用個所の人名はカタカナ表記にしましたが、本書は、横書きで人名以外の用語も「英語表記」が多く、検索好きとしてはその点も便利だと思いました。

また、第4章「ユダヤ人とは」に登場する(P87)ケストラーの『The Thirteenth Tribe』。私はこの本を読んだときに、日本人だけでなく、白人プロテスタントや、ユダヤ人自身にとっても、ユダヤ人が謎だったなんて!と驚いたんですが、本書によれば、現在でも最も有効な「仮説」のようですね。

◎ユダヤ人とは誰か ― 第十三支族・カザール王国の謎

米国とはどんな国なのか?日ユ同祖論とか、ユダヤの陰謀とか、
ユダヤ人のことを知りもしないで語ってしまう前に、
科学とアメリカへの猜疑心が大きくなっている「今」だからこそ、おすすめの1冊!


☆☆☆☆☆(めったにないタイプの本なので)

◎「目次」詳細
◎「あとがき」全文
____________

☆下記は西村肇氏に言及している副島隆彦「学問道場」掲示板から

☆副島氏が掲示板へのアップを要請したNHKのドキュメンタリー番組
◎1986年のチェルノブイリ原発事故から10年後、
内部被ばくの被害に関するドキュメンタリー番組(1/4)


◎上記の放送(4)の書き起し

◎[406]西村肇・東京大学名誉教授の記者会見に行く。

1) 福島原発から放出された放射能は、チェルノブイリの10万分の1、
最悪でも千分の1程度の規模
2) 津波ではなく地震でタービン間の配管が壊れた事故である
3) 非常用ディーゼル発電機が五時間しか動かなかったことが重大事故の原因

◎[411]4月8日西村肇東大教授の緊急記者会見
「理論物理計算が示す福島原発事故の真相」の内容


◎[425]4/8西村肇教授の会見がUstreamに掲載されました。

◎[428]福島原発で大気に放出された放射線物質の総量は、いったい、いくらなのか?

◎[439]ネコを飼い主に返還して、私たちは昨日も原発の正面玄関まで行ってきました。日本は、大丈夫だってば。心配するな。

◎[486]原発20キロ圏のは立ち入り禁止(警戒区域)となりました。
私は、激しく怒っています。住民をいじめるな。


◎[529]河野太郎という若い政治家の優れた「原子力行政」の文章を載せます。





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by yomodalite | 2012-03-24 11:19 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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