傷痕/桜庭一樹

傷痕

桜庭 一樹/講談社



この本のことは、書こうかどうしようかすごく迷いました。本のことも着物のことも、最近あまり書いていない変なブログではあるものの、一応、本を取り上げるときは「おすすめ」したいという気持ちで書いているのですが(2010.2.4以降のこと)、この本は誰かに薦めたいとは思わない。

これは、桜庭氏が、私のために書いてくれたんだと思ったので、個人的な感想文を書いておくことにします。

「もし日本にマイケル・ジャクソンがいたら....て思いついたんですけど....銀座の廃校になった小学校を、和製MJが買い取って、ネヴァーランドを創るって話で....そこでどうやって生まれたかわからない娘と2人で暮らしているのだが....ある日事件が...っていうものを書いてまして。。」

と桜庭一樹氏が、NHK-BS「週刊ブックレヴュー」で語っているのを聞いて、初めて「桜庭一樹」に興味を持ったという私は小説読みとしても、全然イケてないと思う。

◎ひとりごと ミケランジェロほか(2011.1.24)

マイケルが亡くなったとき、本当に多くの優れた文化人たちから、想像以上に「空虚な言葉」を聞いた。決して鈍感ではなく、若者文化に多くの貢献をしてきた素敵な人たちが、なぜこれほど「マイケル・ジャクソン」を語ることができなかったのか?ということは、マスメディアの嘘や、欺瞞といった、もう語ることすらシラケてしまうこととは違って、強いショックを受けたのだけど、

まだ、そのときは読んだことがなかった、この女性作家の、荒唐無稽としか言いようのない「銀座のMJストーリー」には、不思議と期待してしまった(私がそのあたりに住んでいて、あの小学校の付近を散策したときのことを思い出したからかな… )。

でも、その後、桜庭氏の作品を後追いして、彼女がこれを書くことの必然性が、なんとなくわかってきた。

マイケル・ジャクソンを「文学」で扱うのは難しいと思う。彼に限らず、ダンスも、音楽も、語ることが難しいのだけど、誰もが「天才」と感じつつも、同時に、その親しみやすさと優しい雰囲気で愛されるという、本来「天才」としてはありえない大衆性の弊害で、この天才は音楽やダンス以外の話題に事欠くことがなく、なんとなく彼の音楽を聴いてきた人々は、彼を物語の類型にあてはめ、多くのファンも自分が一番理解しやすい「マイケル・ジャクソン」を求めて、まるで自分のことのように、熱心に彼の真実を語ってきた。

とにかく、考えられないほどの有名人である彼は、まったく関係がないような本を読んでいるときも、突然、想像もしていなかった場面で登場することがあって、その度に、ドキっとしたり、「違和感」を感じてしまうことが多い。

最近読んだ本の中では『ザッツ・ア・プレンティー』という、2011年3月11日から始まる、娘が書いた立川談志の闘病記にも「マイケル・ジャクソン」が登場した。

2011年4月2日

まだ麻酔も効いているだろうに、第一声〈何をしたんだ?〉と紙に書いた。手術内容を一応説明したが、とにかく眠ってほしかったので、皆病室から出た。たぶん眠るだろうということで家に帰った。

また嫌な予感がしてナースステーションに電話すると、家に帰りたいと言っているらしい。眠剤も効かないらしい。とにかく、今日は家族は来ない方がいいと言われた。どうやっても帰れるはずもなく、少しでも早く家に帰るための手術だったのに、なんでわかってくれないんだろう。一週間ぐらいで帰れるのに。「わたしの名前は立川談志」だからなのか?

でもきっと、私たちのほうが父の本当の気持ちがわかっていない。早く死にたいのだろうか? マイケル・ジャクソンと同じなのか?(p20)


この「マイケル・ジャクソンと同じなのか?」という問いが、どういう意味なのか、今でもはっきりわからないのだけど、本書には、毎日、談志が「サイレース」という睡眠導入剤を欲しがっていたことが何度も書かれている。それが、天才落語家としての日々に欠かせなかったということも理解できるし、ましてや、このときは、末期がんの痛みだけでなく、声を奪われるという「立川談志」にはありえない状況。

談志は、マイケルを自分の後継者に指名したフレッド・アステアの大ファンで、弟子にも「音曲」の重要さを厳しく教えていた人なので、談志になりたいとまで言う、弟子の志らくが「マイケル・ジャクソン」をさっぱり理解していなかったことにショックを受け、だから、志らくは、談志にはなれないんだと思ったくらいなので、談志の本にマイケルが登場するのは、不思議じゃない。

だから、たぶん、ギクっとしたんだと思う。娘が、天才の父親に対してまったく普通に接している姿になんだか言いようのない思いを感じて、これは読むべきではなかったと思ったのだ。

本当に不思議なことだけど、私も含めて、MJファンは彼のことを、ものスゴい天才だと思っているにも関わらず、なぜか、自分のことのように考え、彼のことを、まるで家族のように思っていたりする。

そんな対象をテーマに、小説を書こうなんて、すでに高い評価を得ている日本の人気作家としては異例なことで、作品として高い評価を受けにくいことも、きっと承知の上で、それでも、桜庭氏は「キング・オブ・ポップ」の物語を書かなくては!と思われたんじゃないだろうか。

◎『傷跡』を書いているときの『桜庭一樹読書日記』

どうしてそう思うのかは、説明できそうにないけれど、、桜庭氏と、マイケル・ジャクソンは「世界地図の部屋」で繋がっていて、そんな作家は、たぶん、日本では「桜庭一樹」しかいないようにも思う。

『傷跡』は銀座の廃校に住む「キング・オブ・ポップ」の話で、マイケル・ジャクソンを描いているわけではないので、彼の事実とちがう点はいっぱいある。そもそも、これほどの世界的なスターが、日本に住んでいるということに、どうしても違和感を感じる人も多いでしょう。

でも、わたしたちの「マイケル・ジャクソン」は、やっぱり日本に住んでいて、わたしたちと一緒に成長してきているからこそ、わたしたちは、まるで彼のことを、ときどき家族のように感じてしまうんじゃないかな。それに、たぶん「マイケル・ジャクソン」は、あなたが知っているアメリカにだって住んでいない。だから、実際に彼と住んでいたことのある兄弟が、彼のことを話していても、違和感を感じる人が多いのだ。

わたしたちは、彼がカリフォルニアのサンタバーバラに住んでいたことをよく知っているけど、それでも、わたしたちが実際に知っているのは「ハリウッド」に住んでた「マイケル・ジャクソン」でしかない。どうして「銀座」なのかなぁと私も不思議だったけど・・でも、やっぱり「銀座」でいいと思う。だって、一番キラキラしていてキレイな街だから。

私は、巻末に《参考文献》として掲載されている本はもちろん、その他、さまざまの資料も相当見てきたつもりだけど、桜庭氏の描いた「キング・オブ・ポップ」は、私のMJに「遠い」とは思わなかった。

「キング・オブ・ポップ」のことを、なぜか、私も、まるで家族のように感じていることもあったのだけど、でも、よく考えてみると、彼の姉妹だと感じたことはないし、妻になりたいと思ったり、それを望んだこともない。


「残された娘の名前は、傷跡(キズアト)。ーーーー それが、わたしです。」


彼の娘になりたいと思ったことは、もっとなかった。それなのに、なぜか、胸がいっぱいになった。

そうか、私は彼が亡くなってから「傷跡」になっていたのか ---- そんな風に思った。

(引用開始)

プロローグ

彼 ーーー この国が20世紀に生み落した偉大なるポップスター、キング・オブ・ポップ ーーー がとつぜん死んだ夜、報道がこの国のみならず、世界中を黒い光のように飛びまわった。

それから約30分後、アメリカからの報道によると、原子力科学者会報より「終末時計がさらに5分、進んだ」ことが正式に発表された。

おりしも、重たい冬はまだちっとも終わっていないのに、熔けて北海を漂流し始めた氷山の欠片と、その上で悲しげに咆哮し続ける白い牡熊の映像や、南の国を襲った未曾有のゲリラ豪雨が、ダウンタウンの月の街ーー屋根がなくって毎晩月が見えるからだというーーをまるごと押し流していくニュースや、季節外れの奇怪な山火事が悪夢のように南米大陸を広がる事件が続いて、彼の死亡をヒステリックに流し続ける報道の合間に、まるで世界がそれをひどく悲しんでいるかのような錯覚をさせるタイミングで繰り返しはさみこまれた。

彼は “偉大なる変人” とも “世界の友人” とも呼ばれた。ただ、ポップスターでありながら、さまざまな働きかけを通して、この国の歴史で唯一、ノーベル平和賞の候補に挙げられた経験のある男性だった。やがては消えていくだろう、閃光のようなチャイルドスターの1人として40数年間にこの世に現れた後、見事に大人の唯一無二のポップスターとして花開いた。同時に、周囲によってスポイルされた変人とも噂され始めた。20代の後半で、銀座にあった名門小学校の廃校を聞きつけ、大金をはたいて校舎と敷地を買い取ると、奇怪な改造を施した。そこを最後の楽園と呼んで、はじめは1人で、11年前からは2人で、棲み始めた。そして今夜、そう今夜だ、とつぜん死んでしまうまで、コンサート以外のほとんどの時間を奇妙な楽園に引きこもった。

彼は51歳だった。

相棒 ーーー 娘らしき、11歳の子供が、1人、残された。

誰も、彼女がどうやって、誰から生を受けたのかを知らなかった。凄腕のイエロー・ジャーナリズムさえも、ただ、噂を繰り返すばかりで、決定的な真実を捕まえることができないままだった。

パパラッチと世間の目を恐れて、父親は彼女に、バリ島で購入したという魔除けの仮面を被らせていた。老女の如き皺を刻まれた、無表情な木彫りの面だった。50もの要項が並ぶ守秘義務の書類にサインをした、楽園の関係者たち ーーー それはいつも無数にいたが ーーー 以外、“偉大なる変人のひとり娘” の顔を見たものはほとんどいない。11年もの間、パパラッチは敗北し続けていた。なにしろ彼女は学校に行くこともなかったし、父親に連れられて外に出かける以外は、楽園の敷地から一歩たりとも出ることがなかった。魔除けの仮面の奥にある真の表情を知るすべはなかった。

残された娘の名前は、傷跡(キズアト)。

ーーー それが、わたしです。

(第6章以外は、各章の冒頭部分を引用)

一章 終末時計
わたしは、白くって、長いダックスフントの胴みたいに長い、いつもの車に乗せられて病院を出たところだったーーー車に備えつけられたテレビジョンかが、ニュースを流し続けている ーーー「今夜もいるのかなぁ」と誰ともなく聞いた。「親を亡くした孤児の群れみたいな、あの人たち」仮面に開けられた2つの穴越しに外を指差してみせる ーーー「孤児の群れみたいって、傷跡。ファンのことを言ってるの?」スタッフが問い返してくる。ーーー「週末時計っていうのはね、核戦争の危機や環境破壊によって、破滅の日が近づくのに合わせて進んでいく架空の時計のことだよ。確かシカゴの大学にあるんだっけ。地球最後の日までを象徴として示していてね。ひどいことがあるたびに針が動かされるってわけだ」

二章 孤島
キング・オブ・ポップの話をしようと思う。これから、すこしだけ。こんなおじさんが、と若い人には笑われるかもしれないが、でも、このおじさんはね、いつだったか、一度だけ彼と ーーー あの世界的なスターと手をつないことがあるんだよ。それはそんなに昔のことではないのだけれど、でもひとまずは、ずいぶん時を遡って、30年前ほど前。ぼくがまだ大学生だった春のある出来事から話してみたい…

三章 胡蝶
ある政治家 ーーー4、5年も経てば日本史の教科書に写真つきで載ってるレベルの、つまりは有名な元首相だ ーーー の、下半身スキャンダルを、以前、熱心に追ってたことがあるんだ。ずいぶんおかしな話過ぎて、結局のところはお蔵入りになっちまったんだけどな…

四章 風の歌
大騒ぎの末に、この世のどこからか彼の手の中に生れ落ちてきた娘の名前が、よりによって「傷跡」だって聞いたとき、あたしが思ったのは「えっ、なにそれ?」だった。傷跡?その名は、あたしにこそ相応しいのに。冗談じゃないよぉ。まったくね。ーーー もっとも、このあたしには名乗るほどの名前なんて、ない。例の事件のころは未成年だったから、新聞にも週刊誌にも本名なんて書かれなかったし… イエロー・ジャーナリズムは、あたしをこういう通称で呼んでた。「復讐(ベンデッタ)、って。

五章 魔法
あの子が生まれて数ヶ月経って、家の床から床へと元気よくハイハイし始めたとき。パパが鉄工所のクレーン運転仲間から教えてもらった占いを試すと言い出した。わたしは3歳だったから、その不思議な夜のことをかろうじて記憶している…

六章 世界地図
彼 ーーー 偉大なるポップスターにして、長年、私を雇っているボスの弟 ーーー がとつぜんこの世から消えて、2ヶ月が経ったその朝は、一見、いつも通りいやってきたと感じられた。すくなくとも私には、だ。もとろん、こうやっていま私が運転している、リムジンの座席で、腕を組んで黙りこんでいるボスが、はたしてどう思っているのかはわからないが。でも、それはいつも通りのことだ。ボス ーー 孔雀は、車内では寡黙な女だから。

ここ2ヶ月で、セキュリティスタッフの数は3分の1に減らされていたから、1人1人にしわよせがきて、毎日けっこうな負担だ。たとえ、我々がなんとしても守らなくてはならなかったあの男 ーーー 銀狐(シルバーフォックス)がもうどこにもいないとはいえ….

わたしは、青くってダックスフントみたいに長い孔雀用の車に乗せられて武道館から出たところだった。今夜の夜の街は、まるで、水に沈んでしまった古代の廃墟みたいに静かに感じられた。人の姿もほとんど見えなくて。天井のシャンデリアがしゃらりと音を立てて揺れる。隣に座る孔雀は目を閉じて、頬杖をついている。

(新しい、世界地図を…つくる…それぞれの旅に、出なくては……)

(引用終了)

☆参考サイト
http://blogs.yahoo.co.jp/konpeitou_06/52555558.html


オール読物「BOOK TALK」
桜庭一樹「実在した偉大な人物の喪失感を書く」(2012.3 第67号)


「桜庭さんはマイケル・ジャクソンに似ている」版元の担当編集者と飲んでいるときに、そう言われたのが、この作品を書くきっかけになっだそうだ。

「そんなこと言われたら、気になりますよね。それで映画『THIS IS IT』を見に行ったら、自分に似た部分は見つけられなかったけど(笑)、マイケルの今まで知らなかった姿を見ることができた。それから気になって。最初は元は小学校だった場所が女子刑務所になっていて、そこから脱走する小説を考えていたんですが、舞台をそのままに、マイケルの話にしました。一話書いて担当者に見せたら、酔っ払って話したことを忘れてましたけど(笑)」

話は、20世紀が生んだ偉大なるポップスターが突然世を去ったことから始まる。残された“傷跡”という名前の愛娘をはじめ、彼の姉やスタッフたち、ファンや、長く追っていたスキャンダルジャーナリストら複数の視点で彼のことが語られていくーー。

ポップスターが住んでいたのは、銀座の名門小学校の廃校跡。兄弟でグループデビューし、やがてソロで成功した彼はそこに自らの楽園を作る。だが、やがて、彼に楽園で性的暴行を受けたと訴える少女が現れ、莫大な示談金を受け取った。傷跡も誰の子か、実ははっきりしない。そして彼の死の原因も・・・真相は薮の中である。

「でも、そのいかがわしさもスターのうちなんじゃないかな、と」マイケル・ジャクソンをそれほど知らなくても、彼の死に衝撃を受けた人は多いだろう。その喪失感は桜庭さんがかつて体験した、昭和天皇崩御の際に重なるところがあるという。

「ひとつの時代の終わり感と、新しいことが始まる予感とでもいうのでしょうか」ポップスターが日本人かどうか、はっきりとは書かれていないが、この物語の舞台はもちろん日本である。

「マイケル一家をモデルにアメリカを舞台にすると、アメリカの歴史になってしまう。でも私は今まで同様、日本の時代や歴史を書きたかった。なので人種差別や宗教問題など、マイケルを語るうえで大事な要素を入れられなかったこともありますが、実在の人物をモデルにした足枷はなかったかな」

初期の代表作を、と言われて書いたという『赤朽葉家の伝説』と、直木賞を受賞した『私の男』をひとつの到達点とすると、『傷跡』は新たな幕開けを告げる作品と言えるかもしれない。

「昔からの担当者にも、描写が以前と全然違うと言われました。桜庭一樹が変わっていっている、と読む人に感じさせる1冊なのかもしれませんね」(雑誌からの書き起し)

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Commented by kuma at 2012-03-13 17:12 x
yomodaliteさん

『傷痕』のこと、書いて下さってありがとうございました。私はこの作品読んで、ちょっと「困ったなぁ」と思ったんです。
この作品を読む以前、桜庭さんの小説では『私の男』だけを読んでいました。すごいストーリーを書く人だなぁと思いつつ、引き込まれて一気に読みました。
「困ったなぁ」、というのは、これを『私の男』を書いた方の小説として読んだ場合、出来映えに、?マークがいくつもついてしまったからです。読み手として上等ではないから、偉そうなこと言えないのですが、何だか「あれ・・・」っていう作品でした。
でも、一方で、これも勝手に自分に引き寄せちゃってるんですけど、桜庭さんもきっと、MJの死後、彼について広められてきた言説について違和感を持ち、自分なりに調べ直し、考えて、MJについて何か言わなければと思ったのではないか、と感じました。桜庭さんは小説家だから、評論ではなく、小説でそれを表現したのではないか、と。
的外れな思い込みかも知れないけど、私にとってはこの作品はそういう意味を持っていました。で、他の方とこのことについて話してみたいと思ってました。今回、yomodaliteさんの感想を伺えて、すごくうれしいです。
Commented by yomodalite at 2012-03-13 22:00
kumaさんと『傷跡』のことを話せるなんて…(嬉)、私は桜庭氏のことを、どうして、この人はMJのことを書こうと思われたのかなぁという興味で作品を読んでいって、これまでブログに書いた以外では、少女七竈、砂糖菓子、私の男、ファミリーポートレイトを読んだぐらいで、コンプリートにはほど遠いのですが、砂糖菓子と赤朽葉家で、高い評価を経た後の「私の男」は、今後の創作のために、確実に「直木賞」を取りに行ったという感じがしました。

「私の男」はそのテーマが嫌いという人はいても、実力を疑う人はいないというか、確実に力量を証明した作品だと思うんですね。でも、その後も、桜庭氏はライトノベルも続けられていて、そこは、私的には、MJが最後まで子供時代の歌を捨てなかったことと似ているなぁと感じてます。

>出来映えに、?マークがいくつもついてしまったからです。

同感です。小説としての熟成度のようなものは高くないと、わたしも「小説読み」としてはイケてないので、偉そうなことは言えませんが…そう思います。(つづく)
Commented by yomodalite at 2012-03-13 22:00
>自分なりに調べ直し…桜庭さんは小説家だから、評論ではなく、小説でそれを表現したのではないか、と。

同感です。リンクの読書日記にあるように、桜庭氏は「小説という文化全般をわかりたい」という、他の作家からは感じたことのないような「野望w」の持ち主で、マルケスの「百年の孤独」のような作品を書くことを目標とされているようなんですね。だから、そこへ至る道の中で「キング・オブ・ポップ」を見過ごすことが出来なかったと思うんです。(「少年少女」と「世界」という両方のキーワードで)

完成度は低いものの、私は、多忙な中、桜庭氏が、MJに関しての数々の「トラップ」に引っかからずに調べられて、このストーリーにされたことは「流石」だと思いました。これに限らず、桜庭氏は、今は、完成度よりも重要なものがあるという意思で書かれている作品が多いように感じています。
Commented by kuma at 2012-03-13 23:49 x
>完成度よりも重要なものがあるという意思で書かれている

そう、そんな感じですよね。ストーリーとしての完成度については、プロの書き手である桜庭さん自身が一番わかっておられるのではないかと思います。それでも、あえて書かなくてはならない時があるのでしょうね。表現者としての覚悟とか良心の問題でしょうか。
yomodaliteさんが桜庭さんのことを、(MJとの共通項として)求道的とおっしゃっていたのを思い出して納得しています。
Commented by yomodalite at 2012-03-14 07:58
>yomodaliteさんが桜庭さんのことを、(MJとの共通項として)求道的と…

わたし、言ってたかな? でも『読書日記』で、本人はそう言ってたね…

私は、桜庭氏のすごく深いことがわかってて、それでいて、すごく真直ぐで「少女」のことにこだわってて…って、「魔法使い」になろうとしてるところが、MJとなんか似てるなって、今のところは思ってて、作品の好き嫌いや、出来不出来を超えて、惹かれてしまってるみたい。。
Commented by kuma at 2012-03-14 11:36 x
>わたし、言ってたかな? でも『読書日記』で、本人はそう言ってたね…

そうですよね。私の勘違いです!「求道的」は『読書日記』対談の中での桜庭さんの発言でしたよね。失礼しました。
yomodaliteさんのおっしゃる、桜庭さんとMJとの共通項については、私がもっと桜庭さんの作品を読まなきゃわからないかも知れないなと思います。でも、とにかくMJで小説を書くなんて、他の人がやらなかったことをあえてやっているのだから(他にもやっているひといるのかな・・・)やはり桜庭さんとMJの間にはすごくつながりがあるのだと感じます。
Commented by yomodalite at 2012-03-14 12:35
>他にもやっているひといるのかな・・・

未読なんだけど、清涼院流水氏の『キング・イン・ザ・ミラー』は小説かな?その本はMJが語っている体裁になっているらしいんだけど、桜庭氏の本はMJの台詞が「・・・だろ?」っていうアレぐらいなところと、終末時計 ー 世界地図の部屋 ー 残された娘の方がみんなのことを「孤児みたいな人たち…」って言うところがね……「好き」かなぁ。。
Commented by jean moulin at 2012-03-14 17:59 x
この本「傷痕」ね、yomodaliteさんの記事を見てから、どうするか決めようと思っていたんだけど。
なんだか、迷ってしまうね。でも迷った時は「読み」かな。

>未読なんだけど、清涼院流水氏の『キング・イン・ザ・ミラー』は小説かな?
これ読んだよ。随分前だけど。
「傷痕」と比較はできない本だと思う。多分
「This is it」を観て、MJに対する誤解が解け、MJの魅力を知って、いろいろ調べると益々魅力的で、そのうれしさで書いた本って感じかな。
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by yomodalite | 2012-03-13 09:16 | ☆マイケルジャクソン書籍 | Trackback | Comments(8)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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