ピーター・パン写真集 ー ネバーランドの少年たち/鈴木重敏

f0134963_1118625.jpg


表紙の男の子は「マイケル」という名の少年。

本書は日本一のバリ研究家、鈴木重敏氏による「ピーターパン」本。バリが「マイ・ボーイズ」と呼び、戯曲『ピーター・パン』が出版されたとき「五人へ」という長い献辞を送った、ディヴィス家の5人の兄弟と、その両親との物語、また歴代のピーターパンを演じてきた(多くは女性)出演者や舞台の様子などが豊富な写真とともに紹介されています。


f0134963_1128175.jpg


写真集とありますが、読みどころが多く、冒頭では、1904年の『ピーター・パン』初演の日、数々の人気舞台を手がけてきたバリがこれまでにないほど緊張し、演出への悩み、興行成績への不安など、困難を乗り越え、大成功した舞台初日について語られています(バリは当初、この公演を『偉大な白い父』と名づけていた)。

(P19)現実は、大方の予想に反する大当たりだった。幕が上がってダーリング家の子供部屋に犬のナナが現れた瞬間から、観客はバリの魔術の虜になってしまった。ナナが幼い少年の入浴の準備を始めると、観客席はあまりの意外さに一瞬鎮まりかえり、次いで快い笑いに沸き返った。その後は最後の幕が降りるまで、観客はバリの意のままに笑い、恐れ、そして涙を流した。

ロンドンの一流の劇場では、初日に子供連れで来る客は少ない。この夜もデューク・オブ・ヨーク座の観客席を埋めていたのは、社交界のエリートと演劇や文芸の批評家が殆どだった。この、いわゆる知識人たちが、年齢を忘れ地位も職業も忘れ、子供時代に戻ってこのお伽劇を楽しんだのだった。(引用終了)



f0134963_11294585.jpg


1907年の暮れに始まった第4回公演の千秋楽では『ピーターパン』の数千回に及ぶ上演史上ただ1回だけの特別な場面が挿入されている。とか、あのチャップリンもこの舞台の出演者だった?....などの興味深い記述もたっぷり。

(また『小さな白い鳥』では、これがバリの最後の小説作品とありましたが、ここでは、さらに30年後に『ジュリー・ローガン嬢への挽歌』が出版されたとあります)



f0134963_11302823.jpg
フック船長を演じ、少年たちと遊ぶバリ



第二章から、ディヴィス家の5人の少年たちとの話。彼らが赤ちゃんだった頃から、成長した後の彼らが辿った運命....

http://beinecke.library.yale.edu/dl_crosscollex/SetsSearchExecXC.asp?srchtype=ITEM

上記のアーカイブは、バリが撮影した少年たちの写真を中心に、たった2冊のみ出版された『ブラックレイク島少年漂流記』(The Boy Castaways of Black Lake Island)。本書にも詳細な章題とともに紹介されています....(この本こそ『ピーターパン』の劇の底本?....ただし、ピーターパンは登場していない)。

yomodalite註:これをブライアン・マイケル・ストラー流に仕上げたのが『ネバーランディング・ストーリー』(原題:Miss Cast Away)たぶん...w



f0134963_11391721.jpg


第三章は、バリの生涯。スコットランドの生家や街並、少年時代から晩年までが、写真付きで紹介。

本書で使用されている写真は、すべて映画『ネバーランド』(Finding Neverland)の原作でもある『ロストボーイズ』の著者、アンドリュー バーキン氏所蔵のもの。

次は『ロストボーイズ』を読まなくちゃ!(『ロストボーイズ』には本書の内容と重複しているところもあるのかな...)

◎ピーター・パン写真集(アマゾン)

[参考サイト]
◎ピーターパン・バリ文庫(鈴木重敏氏の寄贈によるもの)

[本書の感想]
◎ピーターパン&ジェームズ・バリ
______________

[BOOKデータベース]J・M・バリがピーター・パンを撮影していた。デイヴィス家の五人兄弟に自作『ピーター・パン』を捧げたJ・M・バリ。世界中に愛される「永遠の少年」の誕生秘話。新書館 (1989/10)


[PR]
トラックバックURL : http://nikkidoku.exblog.jp/tb/17175253
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by yomodalite | 2012-02-09 11:48 | マイケルジャクソン資料 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite