人の子イエス/カリール・ジブラーン (著)、小森健太朗 (翻訳) [3]

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☆[2]のつづき

本書の紹介を続けます(省略して紹介しています)


エルサレムの靴直し「偏見のない人」

私はイエスという男を好いていたわけではなく、また嫌っていたわけでもない。あの男の説教を聞いていたのは、その言葉よりも、その声が音楽的で美しいと思ったためだ。彼の声は耳に心地よかった。

あの男が言ったことはすべて、私にはうすぼんやりとしかわからなかった。しかし、彼の声の音楽的な響きは、はっきりと聞き取ることができた。

もしあの男が何を教えているのかを私に教えてくれる人がいなかったならば、本当にあの男がユダヤに味方しているのか敵対しているのかさえ、私にはわからなかったろう。


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ユダの母キボレア

私の息子は品行方正で善良な子だった。私には親切で優しかったし、親族や同郷の者たちにも愛情深かった。あの子は私たちの敵、紫の衣をまとう忌まわしいローマ人を憎悪していた。

息子は17歳のとき、私たちの葡萄園を踏みにじって行軍していたローマ兵士に矢を射たせいで、捕虜された。あの子は私の子、唯一の息子だ。

あの子は、今や干涸びたこの胸から乳を飲んだ。今や震える葦のようにか細くなってしまった私の手の指を握りしめながら、あの子はこの家の庭で初めて歩いた。

私はあの子が自裁して果てたと聞かされた。あの子は、友人のナザレ人イエスを裏切ったという自責に駆られて、レバノンの岩山から身投げしたという。あの子が亡くなったのを知っている。だが、あの子が誰を裏切ったわけでもないことを知っている。なぜならあの子が憎んだのは、ただローマ人だけで、ユダヤの同胞をあの子は深く愛していたからだ。

通りであの子はイエスに出会い、この家を出て、彼に従って行った。そのとき私の心は、あの子が誰かに従うのは間違っていると思っていた。あの子が別れを告げたとき、私はあの子の判断が間違っていると指摘したが、あの子はそれを聞き入れようとはしなかった。

どうか私にこれ以上、息子のことを訊ねるのはおよしください。
私はあの子を愛していたし、これからもずっと愛するだろう。

私はもうこれ以上語りたくない。ユダの母親よりはるかに尊敬されている、別の女のところに聞きに行くがよい。イエスの母親のところに行くが良い。彼女の心にもまた剣があるだろう。

彼女はあなたがたに私の話もするだろう。それで私の言いたいこともわかるだろう。


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最後に、
マグダラのマリアが、イエスの死から30年後に語ったこと。



マグダラのマリア(30年後)「霊の復活について」

いま一度私は語りましょう、死にあってイエスは死を征服したと。墓から蘇り、霊と力をもって復活したと。あの方は私たちの孤独を歩き、私たちの情熱の庭を訪れました。

あなた方があの方を信じていないのを知っています。私もかつてそうでした。信じないあなた方は大勢います。でも、その数はこれからどんどん減っていくでしょう。

言葉を見つけるために、リラや堅琴を壊さないといけないものでしょうか。
果実がなると確信するまえに、樹木を切り倒さないといけないものでしょうか。

あなた方がイエスを嫌うのは、北国出身の誰かがあの方を神の子であると言ったからです。しかし、あなた方はそれぞれが己を誇り、隣人とは兄弟になどなれないと思っているために憎み合っています。

あの方が処女から生まれ、人の種でないと言う者がいるから、あなた方はあの方を嫌います。しかし、あなた方は、墓に赴いた母たちの処女性を知らない。

自らの渇きに咽びながらも、墓地に下りて行った男たちのことも知らない。

大地が太陽と結婚していることをあなた方は知らない。その大地が私たちを山に遣わし、砂漠へと赴かせるのだということをあなた方は知らない。

あの方を愛する者たちとあの方を憎む者たちの間には、そして、あの方を信じる者たちと、あの方を信じない者たちの間には、大きな深淵が口を開けています。

しかし、やがて年月がその隔たりを埋め、あなた方は私たちとともに生きたあの方が不死であることを知るでしょう。

私たちもまた神の子であるのとちょうど同じように、あの方が神の子であることを知るでしょう。あの方が処女から生まれたのは、私たちが夫のない大地から生まれたのと同様に真実です。

不信者たちは大地から、その乳房を吸うために根を与えられず、高く飛ぶための翼を与えられず、この世界を満たす愛の滴を飲むこともできず、満たされることもない ー たいそう奇妙なことではありませんか。

しかし、私は自分が知っていることを知っています。それだけで充分なのです。


(引用終了)


なんとなくですが、私は、この本を読んでいるうちに、神を信じることが、
宗教でなくてもいいのではないかと思いました。



◎『人の子イエス』カリール・ジブラーン(アマゾン)
◎全国図書館蔵書検索サイト「カーリル」




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Commented by やんちゃ at 2011-12-26 21:34 x
私たちも最も美しい唯一の自分を作り上げて、天国に行って、そして、mjと会いたい。
Commented by やんちゃ at 2011-12-26 21:56 x
つづき、だから、今をがんばる。少なくとも自分という一人はしあわせにして。できたらそれ以上の人をもしあわせに。
Commented by yomodalite at 2011-12-26 22:46
わたしも「Better Place」でMJに会えたときに、色々話しが出来るようになりたいなぁと思って本読んだり、映画観たりしてるんだと思う。あと、彼に落語の噺を説明したいんだよね。
Commented by やんちゃ at 2011-12-27 08:29 x
きっと、mjは、興味深く聞いて、それから、あの笑い声で笑い転げて、もっとたくさん話してって言って、yomodaliteさんを見つめるんだね。妄想だけど。私たちも、その周りに座って聞かせてもらいたいでっす。その光景は、なぜだか容易に目に浮かぶ。
イメージできてあきらめず望めば叶うよね。妄想だけど。
この目標なら、ずっとたのしみに、一生今の努力に意味を感じられる。じゃ、やっぱり、英語も要る!
Commented by yomodalite at 2011-12-27 21:26
>yomodaliteさんを見つめる......容易に目に浮かぶ。

そ、そんな素敵過ぎる想像をしてくれて、やんちゃさん、ありがとぉー!!!(ぶちゅ)

>イメージできてあきらめず望めば叶うよね。妄想だけど。

名越先生も、「現実を芯のところで捉えるような研ぎ澄まされた“認識”には、そのまま現実を変える力があるんじゃないか」って言ってたし「ロマン派」の運動も、MJのアーティストとしての信念も「夢みる力」だよね。

>この目標なら、ずっとたのしみに、一生今の努力に意味を感じられる。
中居くんも「成功は約束されていないけど成長は絶対に約束されている」って言ってた!!!(今後、中居くんのことは「中居師匠」と呼ぶべ)
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by yomodalite | 2011-12-25 12:09 | ☆マイケルの愛読書 | Trackback | Comments(5)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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