映画『空気人形』監督:是枝裕和、主演:ペ・ドゥナ

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この映画のことは、 今年の初めに観たときも、お気に入りだったのですが、昨日、日本映画チャンネルで「映画『空気人形』ができるまで」を見ていたら、再び「ラブリー」な気持ちになったので.....

わたしがこの映画がお気に入りなのは、映画のロケ地が家の近所(広い意味で)だからということもあると思います。

ただ、、家の近所がロケ地になっているのはめずらしいことではなく、というか、TVに映っていない日がないと言っても過言でないぐらい、毎日クルーの姿も見かけるんですが、

この映画で映っているのは、そういった表舞台ではなく、

住む場所を選ぶときにいつも綿密にロケハンをして、今、住んでいる場所も周辺の路地裏など細かい表情に魅せられて移り住んだのですが、その、まさにポイントになったところが映っていたり、映画の中で、人形が古いビルの屋上から町を眺めるシーンがあるんですが、私も近くのビルにこっそり忍び込んで屋上に上がったりしたこともあって、なんとなく、そのときの気持ちと重なるような気がするからかもしれません。


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でも「映画『空気人形』ができるまで」を見ていたら、やっぱりそんな個人的な思い出がなくても、切なくてキュンとする「ファンタジー」で、一人暮らしの中年男性(板尾創路)が買った「ダッチワイフ」との話でありながら、意外とガーリッシュでもあり、ひとりで観ても、ふたりでも観てもイイ映画でのような(ただし「せつない」ということは、頭に入れておいてね)。

メイキング(「映画『空気人形』ができるまで」)では、人形役のぺ・ドゥナさんが、カットの後、毎回メイクの人に涙を押さえられている(感情がすぐに顔に出てしまうというドゥナさんが、感情を押さえた演技のためにガマンしている)様子や、映画では、原作とは異なる切ないクライマックスがあって、そのシーンを心配する原作者の業田良家氏に対して、是枝監督が書いた手紙とか、

(手紙の一部)そのシーンをどうしても撮りたいと思ったのは、人間が傷つくことを恐れて、人と関わらなくなっている変化を身に染みて感じていて...人が人を関わろうとする、その行為の動機がたとえ愛であったとしても、それは、ある種の危険性を結果的にははらむのだということを、キレイごとではなく描いてみたい....

他にも、さまざまな魅力的なシーンのことが語られていたのですが、

映画の中で、朗読される「詩」は、2008年に仙台の教育関係者によって行われた『誰も知らない』の上映会主催者からの手紙がきっかけで、そこには、

是枝監督の作品世界は、ある種の「欠如性」を特徴としている。

とあって、その世界観と通じるものとして紹介されていた「詩」だったようです。

下記に、その詩をメモしておきます。


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「生命(いのち)は」吉野弘


生命は

自分自身だけでは完結できないように

つくられているらしい


花も

めしべとおしべが揃っているだけでは

不充分で

虫や風が訪れて

めしべとおしべを仲立ちする

生命は

そのなかに欠如を抱き

それを他者から満たしてもらうのだ

私は今日、
どこかの花のための
虹だったかもしれない

世界は多分

他者の総和


しかし

互いに

欠如を満たすなどとは

知りもせず

知らされもせず


ばらまかれている者同士

無関心でいられる間柄


ときに

うとましく思うことさえも許されている間柄


そのように

世界がゆるやかに構成されているのは

なぜ?

花が咲いている

すぐ近くまで

虻の姿をした他者が

光をまとって飛んできている

私も 
あるとき

誰かのための虻だったろう

あなたも 
あるとき

私のための風だったかもしれない


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by yomodalite | 2011-12-02 16:13 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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